海外投資家の消極姿勢が浮き彫りに【2016年8月後半の投資家動向】

信託銀行と事業法人に続く買いの主体が現れなかった東京株式市場

8月後半になっても海外投資家は消極姿勢

日本取引所グループは、9月1日に2016年8月第4週(8月22日‐26日)の投資主体別売買動向を発表しました。このところ数回にわたり、株式市場で買い上がっていくような積極的な投資主体が不在であると指摘してきましたが、変化はあったのでしょうか。8月第3週までの推移と合わせて見てみましょう。

相場の推移を振り返ると、8月の日経平均株価は上旬に一旦16,000円まで下落しましたが、その後、7月の高値と同じ水準の17,000円を伺いました。しかし、17,000円を突破することなく、このレンジを行ったり来たりとなりました。

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さて、海外投資家の現物株の売買動向ですが、8月は第1週が▲4,587億円の売り越し、第2週が+484億円の買い越し、第3週が▲1,667億円の売り越し、第4週が+1,714億円の買い越しとなりました。第1週は7月末の日銀の追加緩和策に対する失望を背景に売りが嵩みましたが、その後は売り買いが交錯し、様子見状態と言えそうです。

なお、第4週に日経平均先物で▲4,625億円の売り越しがあるため、これを加味すると海外投資家全体としては日本株に消極的姿勢と言えそうです。

買いの主体は引き続き信託銀行と事業法人

一方、買いの主体は引き続き信託銀行と事業法人です。信託銀行は8月第1週が+1,726億円の買い越し、第2週が+1,205億円の買い越し、第3週が+1,080億円の買い越し、第4週が+653億円の買い越しとなりました。事業法人は8月第1週が+705億円の買い越し、第2週が+231億円の買い越し、第3週が+865億円の買い越し、第4週が+730億円の買い越しとなりました。

このように、信託銀行と事業法人はコンスタントに買い手として登場していますが、個人は様子見姿勢です。8月は第1週が+2,238億円の買い越し、第2週が▲2,114億円の売り越し、第3週が+767億円の買い越し、第4週が+187億円の買い越しとなり、月後半に相場が膠着していくにつれて買い越し額が小さくなりました。

投資信託は8週連続で売り越しており、個人が投信での売買も手控えていることが伺えます。

米国の利上げ接近でドルが上昇。海外投資家のスタンスに変化はあるか

以上のように、8月第4週まで見てみても、上値を買い上がるような積極的な投資主体は登場しませんでした。信託銀行と事業法人だけでは力不足のようです。

信託銀行は、従来に比べて買い越し姿勢が強化されていますが、上値追いを信託銀行だけに託すには少し荷が重そうです。事業法人は自社株買いが中心と見られますが、自社株買いは「自社株が安い」時に行われることが原則ですので、株価の上昇につれて買い越し額は少なくなると予想するのが順当でしょう。

しかし、8月26日のジャクソンホールでのイエレンFRB議長の発言以降、米国の利上げが近づくとの観測からドルが上昇し、これが日本株に好影響を与えて、このところの上値であった17,000円を突破する気配が出てきました。待ちわびた海外投資家と個人投資家が動き出してくるのか、9月の投資家動向が大いに注目されそうです。

 

投信1編集部

投信1編集部は、証券アナリストやファンドマネージャーとして長年の調査経験を持つメンバーで構成されており、金融・経済ニュースや投資に関する知識・アイデアをわかりやすくお届けします。