株式市場の振り返り-円安進行などを受けて上昇するも、後場に入ってから尻窄みに

2016年9月5日(金)の東京株式市場は上昇となりました。日経平均株価は前日比+0.7%の上昇、TOPIXも+0.2%の上昇で引けています。一方、新興株式市場の東証マザーズ総合指数は+2.1%上昇して6日続伸となりました。

日経平均株価は、円安進行の流れなどを受けて前日比+205円高で寄り付き、前場の終盤には+230円高まで上昇しました。しかし、後場に入ってから様相が徐々に変わり、上げ幅を縮小していきます。大引け前には一時+83円高まで下落しましたが、最後はやや切り返して+111円高の17,037円で終わりました。終値で17,000円台は5月31日以来ですが、後場に売りに押されるなど、やや期待外れの結果だったと言えましょう。

東証1部で上昇したのは1,098銘柄、値下がり702銘柄、変わらず173銘柄でした。東証1部の出来高は17億5,010万株、売買代金は1兆7,400億円(概算)となっています。期待外れの薄商いに終わりました。

セクター動向と主要銘柄の動き-25業種が上昇、多くの主力セクターは小幅上昇に止まる

東証1部(33業種)で上昇したのは25業種、下落したのは8業種でした。上昇率の上位には、海運や電力・ガス等の内需関連、ディフェンシブ業種が名を連ねました。他方、下落した業種には、金融関連セクターが上位を占めています。大幅に上昇した業種に、主力セクターが全く見当たらないのが大きな特徴と言えましょう。

個別銘柄では、ファーストリティリング(9983)が唯一、大幅高となり株価指数上昇を牽引しました。ソフトバンクグループ(9984)やエーザイ(4523)なども堅調に推移し、電通(4324)も大きく値を上げました。また、三菱商事(8058)が年初来高値を更新するなど、商社株の大幅上昇が目立っています。一方、東京エレクトロン(8035)やオリンパス(7733)が値を下げ、三菱UFJフィナンシャル・グループ(8306)も下落しました。電子部品株では、TDK(6762)やアルプス電気(6770)が値を上げたのに対して、村田製作所(6981)が大幅下落するなど明暗が分かれています。

東証マザーズ市場の動き-材料不足の中、あれよあれよという間に総合指数は6連騰

東証マザーズ総合指数は、寄り付きから高く始まり、取引時間を通してほぼ一貫して上昇基調となりました。終わってみれば+2%超の上昇となる、約2ヶ月ぶりの6連騰です。また、出来高は8,151万株、売買代金は975億円となり、いずれも前日より大幅増加となりました。特に、売買代金は久々に1,000億円に迫る水準で約3週間ぶりです。なお、騰落状況は、値上がり142銘柄、値下がりは73銘柄、変わらず9銘柄となりました。新興市場に目立った物色テーマが登場した訳ではありませんが、この予想外の強さが持続するのかどうか注視していく必要がありそうです。

個別銘柄では、そーせいグループ(4565)を始めとする医療バイオ関連銘柄が軒並み上昇しました。また、時価総額の大きいCYBERDYNE(7779)やミクシィ(2121)も堅調に推移しました。特に、CYBERDYNEに関しては、株価の下落基調は終わったと考えてよさそうです。その他では、ブランジスタ(6176)やCRI・ミドルウェア(3698)が値を飛ばした一方で、アクセルマーク(3624)が急落するなど、新興市場らしい値動きが見られた模様です。

本日(9月6日)の注目点-米国市場の休場明けで、東京市場も静かな動きになる可能性

先週末の米国雇用統計の発表を受け、堅調にスタートした東京株式市場でしたが、終わってみれば小幅上昇に止まり、やや期待外れの感が残りました。5日(月)が米国の祝日だったため、外国人投資家が少なかった影響もあったとは思いますが、9月後半のイベントを見据えた様子見スタンスが早くも始まった可能性があります。そうなると暫くの間は短期筋による揺さ振りが仕掛けられ、本格上昇が見込めなくなります。6日(火)以降の動きに注視したいところです。

米国株式市場が休場明けとなる6日は、5日に終了したG20首脳会議でも大きな材料が出なかったことから、静かな値動きとなる可能性があります。為替相場の円安進行も一服した感もあるため、無理に冒険する必要はないでしょう。「休むも相場」を実施するのも一考です。

新興株式市場は想定外の強さが続いています。大型株への本格的な買い上げ時期が延びる場合、一旦、新興市場に資金が向かうことも考えなくてはいけなくなります。その動きが強まるかどうか、6日以降の新興市場の動きには要注目と言えましょう。

青山 諭志