好調の建機メーカー株は年初来高値も。今後の注目点は?

中国油圧ショベル需要に回復の兆し。ただし業績は見極めが必要

Roman Korotkov / Shutterstock.com

この記事の読みどころ

  • 夏場以降、建機メーカーの株価が好調に推移しており、年初来高値を更新する日も多く見られます。
  • 大幅減少が続いてきた中国の油圧ショベル需要に、回復の兆しが見え始めたことが最大の理由と考えられます。
  • 業績修正の有無を含めた、10月下旬から始まる上期決算発表に注目が集まるでしょう。
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夏場以降、建機メーカーの株価が好調に推移

2016年に入って以降、円高進行や新興国経済の回復遅れなどにより、自動車メーカーのみならず機械メーカーの収益悪化も厳しくなっています。ただ、一口に機械メーカーと言ってもその範囲は非常に広く、用途などを細かく分類するのが大変です。

その機械メーカーの中で、夏場以降、株価が好調に推移しているのが建設機械メーカーです。この建機メーカーの代表格であるコマツ(6301)や日立建機(6305)は、9月に入ってからも年初来高値を更新する日が多く見られており、他の機械メーカーの株価低迷が続いているのとは対照的と言えます。

また、建設機械に関連した他の企業にも、株価が好調に推移している例が少なくありません。建設機械業界に何か起きたのでしょうか。

コマツ(青線)と日立建機(赤線)の過去1年間の株価推移

中国における油圧ショベル需要に回復の兆しが出始めた

結論から言うと、建機メーカーの株価好調の最大の要因は、中国における建機需要に回復の兆しが見え始めたことです。ただ、現時点では、あくまでも“回復の兆し”に過ぎず、まだ本格回復とは言い切れません。したがって、この先の株価は“恐る恐る”上値を試していく展開が予想されます。

中国の油圧ショベル需要はピークの2010年から▲80%超の減少に

実は、「建設機械」といっても範囲が広いのですが、コマツや日立建機の主力製品は大きく「油圧ショベル」と「鉱山(マイニング)機械」の2つです。このうち、油圧ショベルに関しては、採算的に見ても重要な地域が中国です。

その中国における油圧ショベル市場は、2010年をピークに減少傾向が止まらず、とりわけ2014年以降は大幅減少が加速しています。昨年2015年の中国需要は、ピークの2010年から▲80%以上の減少に陥った模様です(注:中国の現地企業分を除く)。

ピークだった2010年の需要がやや異常な高水準だったことを差し引いても、そこから2割の水準まで激減したのですから、業績に大きな影響が出て当然です。コマツを始めとする建機メーカーは大幅な収益悪化を強いられ、特に終わった2016年3月期は厳しいものでした。それに伴い、株価も低迷を余儀なくされていたのです。

直近の月次需要は前年超えが続き、8月は+60%超のプラス

しかし、一部の大手建機メーカーが自社サイトで開示する中国需要の月次データを見ると、2016年3月以降は4月を除きプラス転換基調となっています(対前年同月比)。

特に直近は、7月が+30%弱、8月は+60%強の大幅増加になったようです。中国の場合、需要動向の季節性要因が大きいために注意が必要ですが、長期にわたって減少してきた油圧ショベル需要が底打ちした可能性を示唆していることは事実です。

現時点ではあくまでも回復の“兆し”、上期決算に注目

一方、中国における油圧ショベルなど資本財需要は、2月上旬から始まる春節以降の3~4月が最需要期となります。この春節商戦が全てと言っても過言ではないくらい重要です。したがって、まだ本格回復に至ったとは言い切れないのが実情ではないでしょうか。

また、テクニカルな話になりますが、約5年にわたり大幅減少が続いてきたため、前年同月が極端に低い水準となっています。その数字との比較ですから、イレギュラーに高い増加率が出ても不思議ではないと言えます。

中国市場での需要動向は、建機メーカーの収益決定への大きな要因となりますが、その他にも重要な要因は数多くあります。しかし、中国需要に関して回復の兆候を表す数字が出てきたことにより、低迷が続いた建機メーカーの業績回復に対する期待は高まりつつあります。

直近の好調な株価は、一足早く業績回復を織り込んだ動きなのか、それとも、春節商戦を前にした勇み足なのか、先ずは上期決算発表時における会社予想に注目しましょう。

 

投信1編集部

投信1編集部は、証券アナリストやファンドマネージャーとして長年の調査経験を持つメンバーで構成されており、金融・経済ニュースや投資に関する知識・アイデアをわかりやすくお届けします。