2017年の就職活動のスケジュールが決まりました。経団連ルールでは企業説明会の解禁日が3月1日、採用面接の解禁日が6月1日で、2016年と同じ日程となります。そんな中、そろそろ来年の就職活動に向けてどのようなエントリーシート(以下、ES)の構成にしようかと考えている方もいるかと思います。

一方で、自分の経歴はそれほど派手ではない、目立つものがない、という方も多いでしょう。そんな場合でも、誰の経歴にも本来は十二分に魅力的なポイントはあるはずです。表現方法を工夫すると、ESは見違えるように良くなるものです。今回は、自分の経験をどうすれば面白く魅力的に表現できるかについて解説します。

初めに

ESは、多い場合には1社で数万人分が集まることもあるでしょう。採用担当者・関係者が、その中からこれはという内容を見出すには、ESのコンテンツが相当とがっていなければなりません。

そんなに興味深い人生を過ごした人がどれだけいるのか、と思われるかもしれません。ただ、自分の周りを見渡すと、けっこう面白いなぁと思う人がいませんでしょうか。人生のエピソードは、切り口次第で面白くもつまらなくもなります。

今回は、一般的な大学生のイベントをもとに、ESを面白くする公式を学んでいただきたいと思います。ぜひご自分のESに当てはめてみてください。

公式1:アルバイトのネタはマネジメント・チームワーク・好奇心で置き換える

アルバイトほどESに向かないコンテンツはないという指摘もあります。しかし、決してそんなことはありません。アルバイトも、考え方によっては大企業の採用担当者にとって非常に魅力的に映るコンテンツとなります。ただし、アルバイトの話をそのまま具体的に書くだけではアピール力が足りないかもしれません。

その際に織り込むキーワードは、マネジメント、チームワーク、好奇心です。

たとえば、バイトとしてであっても誰かをマネージした経験があるのなら、管理能力を強調しましょう。また、チームで行動していたのなら、チームとして乗り越えた困難を具体的に書きましょう。その際に、チームワークを意識しながら自分は最後まで何かをやり切った点を強調できるといいでしょう。

そして、最後になぜそのバイトを選んだのかを示しましょう。単にバイト代が高かったからとか、家から近かったというのが実際の理由だったとしても、それがアピールにならないのはお分かりだと思います。どうしてそのバイトに興味を持ったのか、自分の知的好奇心などと絡めながら説明するといいでしょう。

以前、大手生命保険会社を希望する都内中堅私大の就活男子学生と会ったことがあります。その学生は、大学で特に勉強熱心だったわけでもなく、学生時代に頑張ってきたことはバイトしかないといいます。そのバイトに関しても格別面白いエピソードもないというのです。

ただ、話を聞いてみると、彼はバイトでありながら複数のスタッフを管理するポジションでした。ここで考えてほしいのは、生命保険会社の総合職の主な仕事は、全国の支社が抱える生保レディのマネジメントだということです。そして、生保会社で出世するのは支社で実績を上げた人材です。

生保会社には、莫大な金額を運用する資産運用や法人営業など見栄えのする職種もありますが、核となる仕事は全国での事業展開と人材管理です。生保会社が求めるのはそのために必要な管理能力のある人材です。そのことを伝えると、その学生はそれ以降、バイトでの人材管理の経験を伝えることにしたといいます。

結果は、志望する生命保険会社に入社することになりました。その会社は、まず東京大学、慶應義塾大学、早稲田大学から同じくらいの人数を採用し、次いで京都大学、一橋大学を同程度、その他に旧帝大組、首都圏中堅私大組というグルーピングと順番で採用をしていました。中堅私大のその学生は、年に1人いるかいないかの枠を獲得することができたのです。

公式2:ゼミのネタで勉強したことを最優先にアピールする

一般企業に就職を希望する学生の多くは、ゼミや研究室に所属していると思います。それについてESに記載する時に気を付けたいのが、何をどこまで勉強したかを明確にすることです。

企業に勤めるようになると、基本は知らないことばかりです。周りが丁寧に教えてくれることもありますが、初めて対処するケースであれば、自ら調べて結論付けなければならないことなどはしょっちゅうあります。こうした際に、前例がないからとか、やったことがないからという言い訳をするような人材であれば企業にとってはお荷物です。

こうした基本的な勉強姿勢は就職してから身につくわけではなく、学生時代の取り組み方を見れば分かるものです。ですので、ゼミネタを盛り込む際には、卒論でどのようなテーマを扱い、どのように研究し、どのような結論に至ったかを明確に整理して強調しましょう。

ある私大文系で金融機関を希望する就活学生は、大学生にもかかわらずゼミで勉強しているテーマをレポートにし、その内容が大手ビジネス誌に2回も掲載されました。その学生は、そうした実績をESにふんだんに盛り込んで就活に臨み、希望する外資系・国内金融機関から複数の内定を獲得しました。

余談ですが、採用担当者も社会人になってしばらく時間が経過していることが多く、アカデミックなネタに飢えている人も少なくありません。加えて、各企業の採用担当者は、多くの場合その企業のエース級が割り当てられることが多く、基本的には勉強熱心です。こんなことをご存知ですかと、研究テーマや内容を丁寧に説明すると意外に話も盛り上がります。

公式3:サークルのネタは徹底的に知的好奇心とチームワークを強調する

サークル活動のネタでは、ややもすればチームワークをアピールしがちですが、意外性を強調するならばなぜそのサークルを選んだかを説明できるといいでしょう。今の企業の競争は、何かのテーマを深堀りすることが多くなっています。一般的な知識は、当然誰もがネットを使って簡単に手に入ります。そこで役立ち度が高いのが知識のオタクとも呼べるような人材です。

知識は深ければ深い方が良いですし、自分で何かをしてきた経験に基づいた知識であれば企業には重宝されるはずです。そうした知識をベースに、チームワークを重視することができ、他人ともうまくコミュニケーションができる人材であれば二重丸です。

特に文化系サークルは何を書こうか迷う人も多いと思いますが、知識が豊富で研究熱心ということが伝えられるといいでしょう。

番外編:海外留学ネタは諸刃の剣

海外留学ネタは、グローバルで事業を展開する企業にとっては最も興味のあるところでしょう。ただし、短期留学など中途半端なネタはネガティブに受け取られがちなので、それに加えてTOEFLでハイスコアを獲得して説明力を増しましょう。

採用担当者もTOEFLとTOEICの難易度の差は十分に理解しているので、お金に余裕がある学生はTOEFLを受験しておくといいでしょう。TOEICより、その後に何かと役に立つはずです。

まとめ

企業がESで何を見るかといえば、その学生が突出した人材かどうかというのが第一です。採用担当者も情報が多すぎてネット応募だけでは捌き切れず、最終的には直接面談した上での判断を重視するというような、一昔前の採用スタンスにならざるを得ない企業も存在していることでしょう。

一方、非常に多数のESが企業に集まるわけですから、そこで目立つにはどうすればよいかを考えるのが、学生の戦略立案に必要な要素です。他の学生と重複するネタは読み飛ばされてしまう可能性が高いので、どうせ時間をかけるなら、ある程度奇をてらいましょう。

最後に、一番重要なのは、どれほど優れたESも埋もれてしまうリスクがあると知ることです。ですから、あらゆるコネを使い、その会社の採用部署に近い関係者と直接会って話を聞きましょう。最後のひと押しがカギです。

 

LIMO編集部