東国原ブームも今は昔、苦戦中の宮崎県

観光キャンペーンの認知拡大による活性化に期待

この記事の読みどころ

  • 宮崎県を訪問する機会がありましたが、南国という印象がピッタリです。
  • しかし、東国原ブームの後、宮崎県の経済は苦戦している印象を受けました。
  • 「日本のひなた」「神話のふるさと」など、新しい観光振興策に注目したいと思います。
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九州の宮崎県に持つイメージとは?

皆さんは「宮崎県」にどのようなイメージをお持ちでしょうか?

九州出身の方は別として、そうでない人にとっては、あまり強い印象がないかもしれません。その宮崎県が全国的に有名となったのは、やはり、タレントでお笑い芸人の東国原英夫氏が県知事に就任した時ではないでしょうか。今でも、“宮崎県=東国原知事、そのまんま東”というイメージが残っているような気もします。

東国原知事時代のPRで人気となった宮崎マンゴーの果肉入りシェイクと地頭鶏(じとっこ)の炭焼き

東国原知事の時代、宮崎県は一躍全国区に

確かに、東国原知事の時代(2007年1月~2011年1月の4年間)には、鶏インフルエンザ問題、畜産口蹄疫問題など深刻な事案への対処、自民党総裁選への出馬騒動などで大きなニュースになった一方、地鶏やマンゴーなど宮崎特産物の売り込みに自ら出向く、いわゆる“トップセールス活動”などで大きな貢献を果たしています。

この期間、東国原知事のパフォーマンスに依存していたとは言え、宮崎県が“全国区”になったことは事実でしょう。では、東国原知事の退任(任期満了)から5年半以上が経過した現在、宮崎県はどのような状況なのでしょうか。

宮崎県の気候とは

宮崎県は九州の東側にあり、温暖な気候が特徴です。年平均気温17.4℃(全国第3位)、年間快晴日数47日(同4位)であり、宮崎市内には県の木であるフェニックス(ヤシ科)が至る所に植えられており、否応なしに南国のイメージです。

筆者も実際に、日差しも強いと感じました。一方で、日照時間は2,072時間(同19位)と極端に多くはなく、降水量2,732mm(同3位)は全国有数です。そのため、山岳地域を中心に県内には緑が広がっており、優良な芝が育つためゴルフ場でも有名です。

県の木であるフェニックスが南国らしさを醸し出す宮崎駅前

宮崎県は農業・畜産業が盛ん

産業では、農業が盛んで、とりわけ、畜産業は重要産業です。飼養頭数(羽数)では、肉用牛(同3位)、豚(同2位)、肉用若鳥(同2位)はいずれも全国ブランドになっています。他にも、林業や漁業も全国で上位にランクされています。

一方で、鉱工業の水準が低いこともあり、実質総生産額や1人当たり県民所得は、全国で下位10位以内に止まっています。

宮崎県庁見学ツアーに参加するが…

筆者は毎週水曜日に実施されている「宮崎県庁見学ツアー」に参加しました。この宮崎県庁は戦前から残る県庁舎で、全国で4番目に古いものです。戦前には、正面に鉄城門が備わっていたようですが、戦時中に軍から砲弾にするため徴収され、現在も復旧していません。

さて、東国原知事の時代は常に満員盛況だった県庁見学ツアーですが、この日は、何と筆者1人だけでした。ガイドさんも寂しい様子でしたが、その分、色々と話が聞けた感じです。

宮崎県庁見学ツアーのチラシ

宮崎県の経済は苦戦している印象

その宮崎県の経済は苦戦しているようでした。“東国原ブーム”が終わってから観光客が減り始め、九州新幹線が西側ルート(佐賀~熊本~鹿児島)になった影響も大きいようです。そこに、今回の熊本地震が追い打ちをかけた模様であり、ホテルの稼働率も苦戦しています(注:熊本地震前の1~2年、観光客数は小幅増加傾向にある)。

また、観光産業の書き入れ時でもある2月に、ここ数年間はプロ野球巨人軍の宮崎キャンプ日程が半減になったことも逆風となっています。

宮崎県には延岡工業団地を始めとした生産拠点も少なくないのですが、電機産業の不振、自動車産業の誘致遅れなどにより、こちらも苦戦が続いている印象です。

そして、何よりも懸案なのが、人口減少です。宮崎県は、合計特殊出生率では全国第2位にも拘らず、年間▲0.5%の減少が続いています。これは、単純に考えると、県外への流出が多いということです。消費者物価は全国有数の低さでも、所得が伸びずに低迷したままでは生活し難いのでしょうか?

宮崎市内の中心的な繁華街である橘通3丁目付近

著名人のパフォーマンスに頼らない宮崎県へ

こうした状況で、宮崎県も様々な施策を打ち出しており、現在は「日本のひなた」キャンペーンを中心に、「神話のふるさと」など、観光客の増加に注力しています。しかし、いずれも筆者は宮崎に行って初めて知ったことばかりであり、全国的なアピールが弱いという印象は拭えません。ただ、今後の展開に注目したいと思います。

宮崎県が、著名人のパフォーマンスに頼らなくても、再び全国で注目されるような活気溢れる地方自治体になることを切に願っています。

注:文章中の経済データは可能な限り最新版ですが、一部に古い数値も混ざっています。

 

投信1編集部

投信1編集部は、証券アナリストやファンドマネージャーとして長年の調査経験を持つメンバーで構成されており、金融・経済ニュースや投資に関する知識・アイデアをわかりやすくお届けします。