株式市場でにわかに注目を集める「バラスト水」とは

海の生態系を守る世界条約の締結がきっかけに

「船舶バラスト水規制管理条約」が1年後に発効

最近、株式市場の一部で話題を集めている投資テーマに「バラスト水処理関連」というものがあります。

2016年9月9日に、国土交通省が「船舶バラスト水規制管理条約」が1年後の2017年9月8日に発効が決まったと発表したことが注目を集めるきっかけとなりました。

そもそも船舶バラスト水とは

バラスト水とは、船舶のバランスを保つための重しとして使う海水のことです。大型のタンカーや貨物船は、荷物を下ろした後、空荷になると船体が浮いてしまい安全に航行することができません。このため、重しとなるバラスト水を積むタンクを備えています。

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ただし、バラスト水が使われるのは空荷の場合だけで、新たな荷物を積む時にはその港で排出されます。ここで問題となるのが、バラスト水に含まれるプランクトン、菌類、泥、砂です。これらが、そのまま採水国とは異なる国の港で排出されてしまうと、生態系が破壊されてしまい、漁業に悪影響を与えたり、コレラなどの細菌が拡散されたりしてしまう恐れがあるのです。

こうした問題を解消するために、2004年に国際海事機関(IMO)は、排出時のバラスト水を浄化する処理装置の設置を新造船及び就航済船に義務付ける国際条約を採択しています。

ただし、船主側からすれば大幅なコストアップを強いられるため、各国政府との利害調整に時間を要してしまい、条約は採択されたものの、発効要件注1を満たすことができませんでした。それが、今回フィンランドが同条約に締結したことにより、ようやく発効要件が満たされることになったのです。

注1:発効要件:30か国以上が締結し、かつ、合計商船船腹量が世界の商船船腹量の35%以上となった日の12か月後に発効

バラスト水処理の関連銘柄は?

では、どのような企業がこの事業に関連しているのでしょうか。

代表的な企業としては、鉄鋼大手のJFEホールディングス(5411)があげられます(JFEエンジアリングが担当)。同社の決算資料によると、船舶用バラスト管理システム(商品名:バラストエース)の受注は、2015年3月期が256隻分、2016年3月期は168隻分に達しており、条約締結前から着実に受注を積み上げてきていることが読み取れます。

ボイラー専業の三浦工業(6005)も同事業に注力する考えを示しており、同社では2018年度計画として処理装置取り付け720台、売上予想額100億円という目標を開示しています。

また、日立製作所(6501)も装置開発に取り組んできており、船舶への取り付けを担う三菱重工(7011)とタッグを組み事業化を進めています。さらに、パナソニック(6752)の子会社のパナソニック環境エンジナリングも、フィルターを使わず電気分解でバラスト水を浄化する装置を発表しています。

なお、上記以外でも水処理機器メーカーの栗田工業(6370)、造船メーカーの内海造船(7018)、ポンプメーカーのタクミナ(6322)なども関連事業を手掛けています。

バラスト水処理関連については、一時的な特需である可能性は高いものの、地球環境を守るという観点から注目できるテーマです。関連企業の活躍には大いに期待したいと思います。

 

投信1編集部

投信1編集部は、証券アナリストやファンドマネージャーとして長年の調査経験を持つメンバーで構成されており、金融・経済ニュースや投資に関する知識・アイデアをわかりやすくお届けします。