米早期利上げ観測後退を、原油安とドイツ銀株急落が帳消しにした1週間

先週(2016年9月12日‐9月16日)の世界の株式市場では、米・タイを除いてほぼ全面安に終わりました。週間騰落率はTOPIXが▲2.4%、S&P500が+0.5%、DAXは▲2.8%、上海総合が▲2.5%でした。

週初に、ブレイナード米連邦準備制度理事会理事の講演が利上げに慎重な内容になり、米国の9月利上げ観測は後退しました。

しかし、今後の日銀の金融政策が長期金利よりも短中期の金利を重点的に低くするようになるとの思惑などから長期金利がじり高基調を続け、国際エネルギー機関(IEA)が原油需給の改善に時間がかかるとの見通しを示し原油価格が急落しました。さらに、米司法省がドイツ銀行に対して多額の和解金を請求したことで欧州銀行株を中心に銀行株が急落しました(日本の銀行株はマイナス金利の深堀観測もネガティブに働いています)。

この結果、米・タイを除きほぼ全面安になりました。とくに欧州株の下落が目立ちます。個別ではアップルとその関連株が好調で、半導体関連もしっかりでした。

先週の主要市場の動き

注:現地通貨ベース、為替は円安がプラス、円高がマイナス

年初来の主要市場の動き

注:現地通貨ベース、為替は円安がプラス、円高がマイナス

アウトルック:米日の金融政策イベント後、米大統領選や企業業績に関心が移りそう

今週(9月19日‐9月23日)は、9月20‐21日に近づいた米FOMCと日銀の金融政策決定会合を週央に控えているため、動きが出るのは週後半になりそうです。

今のところ、米国は利上げなし、日本はマイナス金利の深堀と短中期金利の低下促進などが柱になりそうです。しかし日銀は政策の実質的な余地が狭まりつつあり、サプライズよりも市場とのコミュニケーションに戦術を移行しつつあります。金利市場も金融株もすでにこうした意向を織り込んでいると思われますので、サプライズを期待しすぎないほうがよいでしょう。

その他の注目材料は、米国の8月の住宅着工、欧州中央銀行ドラギ総裁の発言、欧米のPMIなどです。ただし筆者はフェデックスの決算に注目しておきたいと思います。

週後半はアク抜けの後のラリーを期待したいところですが、実は決算期も近づきつつあり米大統領選が佳境に入ります。先週のアップル株上昇に見られるように、株式市場は業績ないししっかりしたストーリーを渇望しているようですので、アップルや任天堂などへの物色意欲を見守りたいところです。

LIMO編集部