お菓子の森永、株価は絶好調

森永製菓(2201)の株価が急上昇しています。最近は年初来高値を更新する日が続きます。現在の株価は1,000円目前の964円(2016年9月26日終値)です。同日には一時年初来高値である996円まで付け、1,000円まであと一歩となりました。

2年前には200円近辺で推移していましたので、わずか2年で約5倍近くまで株価は急騰しています。

森永製菓(2201)の過去2年間の株価推移

株価チャートの右側、最近の推移を見ていただければわかりますが、8月以降の株価の動きが目立ちます。7月末に678円でしたので、約2カ月で+42%の上昇です。なぜ、これだけの評価の高まりが起きているのか考えてみます。

過去3年間に目覚ましい業績改善

株価上昇の背景にあるのは、何といっても業績改善です。2013年3月期と2016年3月期を比較すると、売上高は1,529億円から1,819億円へ+19%増加、経常利益は30億円から121億円へ約4倍に増加しました。ROE(自己資本利益率)も2.7%から11.5%に改善しています。

この間の好調の理由としては、主力の食料品製造事業がしっかりと売上・利益を伸ばしたことがあげられます。チョコレート(ダース、チョコボール等)、ソフトキャンディー(ハイチュー等)、ココア(ミルクココア等)、ホットケーキなどで構成される菓子食品部門、アイスクリーム(チョコモナカジャンボ等)などの冷菓部門、そして健康部門(ウイダーinゼリー等)が、いずれも2桁増収を達成しています。

特に目を引くのは2016年3月期です。2015年3月期は売上高が対前期比で+8%増、経常利益が同+47%増だったのに対して、2016年3月期は売上高が同+2%増、経常利益が同+85%増となりました。売上高の伸びが鈍る中で利益の増加が加速しています。

消費者の健康志向や機能志向が強まる環境下で、チョコレートの健康効果に脚光が当たったことも追い風だったと思います。しかし、強い商品をしっかり訴求しつつ値上げを実現し、さらに原材料が高騰する中で原価改善努力を進めたこと、さらに販売管理費の効率運用も実現できています。

一言でいえば、強い商品をしっかりブランド化し、その価値を訴求して価格支配力を高める好循環に入っているのです。

2017年3月期業績予想は実質横ばい予想だったが

このように、2016年5月13日に発表された2016年3月期は絶好調の決算でした。しかし、同時に会社が発表した2017年3月期の業績予想は売上高が対前期比+2%増、経常利益が同▲1%減と示され、市場では株価に一服感が出ました。

しかし、2016年8月10日に発表された4-6月期決算では売上高が対前年同期比+7%増、経常利益が同+81%増と好調を持続し、さらに通期の会社予想を売上高で対前期比+4%増、経常利益で同+23%増と増益見通しに引き上げました。

これで再び株価が着火し、8月以降の急騰劇につながっています。この間、原価低下余地、経費の効率運用の余地が広がっていると見られますし、円高基調も定着しそうです。

疑似サプリ化する菓子市場で付加価値を高められるか

筆者も疲れを言い訳に甘いものを食しますが、特にチョコレートについては罪悪感が以前より低下し、どうせなら健康に悪くないものを選びたい、と考えるようになりました。

自分に甘いだけかもしれませんが、しかし菓子メーカーにとっては付加価値訴求のチャンスです。たとえば、当社のカレ・ド・ショコラなどはこうしたニーズにうまく答えているのではないでしょうか。

業績、そして収益力が大幅に高まっている当社ですが、先ほど触れた会社予想に基づく当期の営業利益率は7.6%です。日本を代表する菓子メーカーのひとつとしてぜひ10%を早急に達成し、味も、品質も、収益性も世界に誇れるメーカーになってグローバル展開を進めてほしいと思います。

注:同社は9月末に5株を1株に併合の予定です。株価は5倍の水準に変わりますのでご注意ください。なお、単元株式数は従来の1,000株単位から100株単位に変わります。

 

LIMO編集部