“ラーメン県”として人気の山形県。宣伝しないことが宣伝に?

ネットの世界とのギャップが印象的なご当地ラーメン界隈

この記事の読みどころ

  • 今、山形県では多彩なご当地ラーメンが有名で、“ラーメン県”と呼ばれています。
  • しかし、実際に行って見ると、ラーメンを前面に出す宣伝やPRは非常に少なく、やや拍子抜けしました。
  • ネットの世界における“ザワザワ感”を狙っていると見るのは深読みし過ぎでしょうか。
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山形県は美味しい食べ物で有名

所用で山形県に行ってきました。訪れたのは県庁所在地の山形市と、さくらんぼで有名な東根市です。ところで、皆さんは山形県と聞いて、どのようなイメージをお持ちでしょうか? スキー愛好家にとって、蔵王は絶対に外せないゲレンデですが、どちらかと言うと、美味しい食べ物で有名だと思われます。

さくらんぼ、山形牛、米沢牛、「平田牧場」で有名な三元豚も山形県です。また、種類豊富な地酒や、「つや姫」ブランドのお米も広く知られています。

山形県酒田市に本社を置く平田牧場の金華豚ロースカツ

今一番ホットなのはラーメン、山形はラーメン県

しかし、現在一番ホットな山形の食べ物は、何と言ってもラーメンでしょう。“山形でラーメン?”と腑に落ちない方もいるかもしれませんが、ネットで検索すると、山形のラーメン情報は溢れんばかりです。

確かに、ラーメンは代表的な“国民食”の1つですから、極端な話、どの都市に行っても有名なラーメン店があります。しかし、山形県は「人口10万人当たりのラーメン店件数ランキングでダントツの第1位」というキャッチフレーズで(注)、ネットの世界では“ラーメン県”として大人気なのです(注:このデータに関して筆者は未検証)。

筆者もラーメンは大好物です。山形のラーメンを思う存分堪能しようと、意気揚々と山形に乗り込みました。全国のラーメン好きが集まって、多くの有名ラーメン店が激しい競争を繰り広げて、大いに盛り上がっているに違いないと思っていました。

山形駅の周辺にラーメン県の様相は感じられず

しかし、実際に行って見ると、“拍子抜けした”というのが偽らざる感想です。JR山形駅や駅周辺にも、ラーメン県を思わせるようなポスターは何もありません。また、筆者が山形市内を散策した限りですが、ラーメン店の激戦状況を見ることができませんでした。

少なくとも、札幌の「ラーメン横丁」のような場所が見当たりません。観光客をターゲットにした集客効果が見込めるはずですが、ネットで検索しても、その類の“観光名所”を探せませんでした。

最上義光像。出羽の虎将と呼ばれ、戦国時代から江戸時代初期にかけて今の山形の礎を築いた

山形県のホームページにもラーメンは見当たらず

もちろん、市内に多くのラーメン店はありますが、他の都市に比べて極端に多いという印象はなく、“ラーメン県”というのは本当なのか疑問が残りました。念のために山形県のホームページを見てみると、ご当地ラーメンをPRするようなコンテンツは全く見られず、ふるさと納税に対する御礼リストにも載っていません。

しかし、ネットではラーメン県として全国レベルの人気になっており、数多くの情報雑誌も発行されています。筆者も、情報誌片手に歩く観光客らしき人を数多く見かけました。

これを普通に考えると、自治体や地元の商工組合等がラーメン人気を認識していないということになります。しかし、現代のネット社会において、そこまでアンテナが低いとは考え難いものがあります。山形県も人口減少に苦しむ自治体の1つですので、果たして、このように大きな商機を見逃すようなことをするでしょうか。

某自動車メーカーが採った戦略を思い出す

ここで筆者が思い出したのは、ずいぶん昔、某大手自動車メーカーが採った広告戦略です。国内販売市場が厳しい時、その自動車メーカーが投入したモデルが予想外の大ヒットになりました。

しかし、それは既存モデルの派生車種(特別仕様車)であり、デザインを思い切ったレトロ調にしただけで、基本性能は同じです。正直、メーカー側も大きな期待は持っていなかったようで、広告宣伝にも注力していなかった印象がありましたが、そういう車種に限って大ヒットするのが不思議なところです。最後は増産対応が間に合わないくらい売れました。

その時、その自動車メーカーは、その大ヒットを後押しする宣伝は一切行わず、敢えて何もしなかったのです。表現が難しいですが、“意図的な非積極的宣伝”となるのでしょうか。結果的には、何もしないことが最善策となりました。もし、あの時、メーカー側が広告宣伝をバンバン打ったとしたら、購入者の興味が薄れてしまった可能性もあります。

消費者の“ザワザワ感”を狙った?

もしかしたら、山形県は、意図的にラーメンを宣伝していないかもしれません。SNSを始めとするネットの世界における消費者の“ザワザワ感”こそが、最大の広告宣伝と考えたと推測するのは、あまりに深読みし過ぎでしょうか? 結局、真相を確かめることはできずにいますが、今後の山形県のラーメン事情の行方を注視していきたいと思っています。

 

投信1編集部

投信1編集部は、証券アナリストやファンドマネージャーとして長年の調査経験を持つメンバーで構成されており、金融・経済ニュースや投資に関する知識・アイデアをわかりやすくお届けします。