「男の大人買い」に照準? 百貨店のポスト・インバウンド戦略

インバウンド消費一服に苦戦する百貨店の次のターゲットは

インバウンド消費の反動に苦戦する百貨店

百貨店の売上が冴えません。8月の全国百貨店売上高概況によれば、売上高総額は約4,092億円で対前年同月比▲6%減(店舗数調整後)、これは6か月連続のマイナスです。

内訳も、国内市場売上が同▲5%減、インバウンドが同▲27%減となっており、天候不順、土日祝日が1日減といった環境要因に加えて、個人消費・インバウンド消費共に厳しい環境が続いているようです。9月26日には松屋(8237)が業績の下方修正を出しています。

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訪日外客数は減速しているとはいえ、まだ2桁増のペースです。しかし消費行動は相当変容したようです。転売目的の高額品の大量買い付けも沈静化しており、これが百貨店の売上に今しばらくネガティブに作用しそうです。

ポスト・インバウンドで狙われる中高年男性!?

ところで、ある夏の朝、筆者の郵便受けに1枚の百貨店チラシが舞い込んでいました。いつもは女性向けがメインで筆者には縁のない内容なのですが、この日は違いました。子供の頃からあこがれの名車の写真が目に飛び込んできました。映画007シリーズでボンドカーにもなったトヨタ2000GTです。

チラシには「はじめての大人買い」とあります。

さすがにこの車はビンテージカーですので、お小遣いでは買えないとあきらめましたが、チラシを処分する前によく見ると、なんと精巧にできた模型でした。値段もなんとか手が出ます。

チラシを食卓に持ちこみ、お小遣いとはいえ、大蔵大臣に予算申請をしました。厳しい査定とさまざまな付帯条件が付きましたが、必死に説得して承認をもらいました。そこでさっそく百貨店に足を運びました。

売り切れでメーカー在庫確認扱いに

筆者は発売日から2日目の午後に出向いたのですが、なんとお目当てのトヨタ2000GTは売り切れでした。メーカーに在庫が残っていれば手配してくれると言います。実はさまざまな車種のモデルが発売されていたのですが、トヨタ2000GTは圧倒的な人気ですぐに売り切れてしまったようです。

欲しいのはトヨタ2000GTです。他のモデルはそこまで欲しいとは思いません。メーカー在庫を確認して、あるなら買います、と言って店を後にしました。

約1週間後、夢かなう

それから数日後、お店から入荷予定の連絡が来ました。もちろん、気持ちは固まっていますので購入することにしました。こうして手元にやってきたのがこのモデルカーです。

本当によくできています。ボンネットやドアはしっかり開閉しますし、ヘッドランプも出すことができます。普段はしっかり箱にしまっていますが、ときどき取り出しては四方八方から眺めてニヤニヤしています。

今の百貨店には男性顧客の深堀りも必要

こうして見事に「はじめての大人買い」に乗せられてしまいましたが、楽しい買い物になりました。「2回目の大人買い」もありかなぁと感じています。ついコレクションを始めたくなる商品を提案するのはナイスな手法だと思います。

とはいえ、導線についてはまだまだ手探り感が否めません。今回の売り場は1階の紳士小物のコーナーでしたが、そのコーナー以外は女性向けの化粧品、ブランドものなどで占められていました。本来ならば紳士物のフロアで販売し、ついでにさまざまな商品へ回遊してもらうべきだったのではないでしょうか。

消費不振と言われる百貨店業界ですが、実際に店舗に行ってみると老若男女を問わず来店客はかなりいます。商品提案を工夫すれば、まだまだ商売繁盛にできるのではないかと感じました。

さて、次の「大人買い」提案のチラシはいつ来るでしょうか。楽しみに待つことにしましょう。

 

投信1編集部

投信1編集部は、証券アナリストやファンドマネージャーとして長年の調査経験を持つメンバーで構成されており、金融・経済ニュースや投資に関する知識・アイデアをわかりやすくお届けします。