【資産運用】いま国際分散投資をするならどこの国?

最も有望なのはインド。ハイリターンが見込めるのはどこか

国際通貨基金(IMF)は10月4日、最新の世界経済見通し(WEO:World Economic Outlook)を公表しました。世界全体の成長見通しは据え置きとなりましたが、国ごとに見ると上方修正された国もあれば下方修正された国もあり、見通しには温度差があります。

今回発表された数字を参考に国際分散投資を考えた場合、最も有望な投資先はインド、避けるべきは英国ということになりそうです。

来年にかけては低成長が「改善」へ

続きを読む

まず、現状を確認すると、2016年の世界経済の成長見通しは3.1%と前回7月の見通しからは据え置きとなりました。

2015年の3.2%からは0.1%ポイント低下し、2010年以降では最も低い成長となり、トレンドも低下しています。IMFは世界経済の成長率が3.0%を下回ると事実上の景気後退局面にあると認識していますので、世界経済は景気後退の淵にいるとも言えるでしょう。

とはいえ、2017年の成長見通しは3.4%と2016年を0.3%ポイント上回り、今年から来年にかけては成長が加速すること見込まれています。IMFは今後の世界経済の成長は「改善する」としていますので、景気がボトムアウトするのであれば、いまが投資のチャンスと捉えることもできそうです。

リスクは保護貿易の台頭、低インフレ、米利上げ

昨年10月時点の2016年の成長見通しは3.6%と、今回より0.5%ポイントも高い成長が期待されていました。2017年に成長が加速するというシナリオも予想通りとはいかない可能性があります。

世界経済のリスクとしてIMFが最も警戒しているのが、保護貿易主義の台頭です。6月に英国がEUからの離脱を決定した影響もあり、既に減速している国際貿易の取引量がさらに弱くなる可能性があります。米国の大統領選でのキャンペーンにおいて、保護主義的な政策が主張されていることも懸念されています。

また、世界的な低インフレも危惧されています。世界各国の政策金利は事実上の下限に達していることから、インフレ率が低下すると名目金利とインフレ率の差である実質金利が上昇することになります。実質金利の上昇により、消費が縮小してさらに成長率とインフレ率の低下を招く、負のスパイラルに陥る可能性が指摘されています。

加えて、昨年6月に年内の利上げは見送るよう米連邦準備理事会(FRB)に提言するなど、IMFは米利上げに対してかなり神経を尖らせています。米利上げは新興国からの資金流出を招き、世界経済が混乱するきっかけとなる可能性があるとしています。

投資を検討したい国、安定感ならインド

IMFの経済見通しを投資判断の参考にするのであれば、前回からの修正幅の大きさ、そして今年と来年の成長率の差の2つがポイントとして挙げられます。

今回の見通しで2017年の成長率が前回7月から最も大きく上方修正されたのは日本で、0.5%ポイント上方修正されました。日本に続くのがドイツとインドで、ともに0.2%ポイント上方修正されています。

しかし、ドイツの2017年の成長見通しは1.4%と2016年の1.7%を下回っていますので、景気は減速することになり、積極的な投資は控えたいところです。日本は2017年が0.6%と今年の0.5%をわずかに上回っていますが、水準が低いことから景気は停滞を継続するイメージです。

一方、インドは2017年が7.6%と今年からは横ばいとなりますが、水準が高く、こちらは好景気を維持することになります。IMFもインドは「耐久性のある成長をみせている」としており、安定感のあるインドには投資を検討する価値がありそうです。

ハイリターンを狙うならブラジル、ロシア

IMFは、先進国では低成長が続く一方で、いくつかの新興国で回復の勢いが増すとしています。こうした観点から、成長の加速が大きく期待できるのがブラジルとロシアになります。

ブラジルの2017年の成長率は0.5%と、2016年のマイナス3.3%からプラス転換する見通しです。同様に、ロシアもマイナス0.8%から1.1%へとプラス転換が見込まれています。

この両国は近い将来に景気後退からの脱却が予想されていますので、現在の厳しい経済状況を考えるとハイリスクであることは否めませんが、リスクに見合うリターンも期待できそうです。

こうしたリスクの高い国へ投資する際には、政治情勢など経済以外の要因にもしっかりと目を向けてリスク管理をする必要があります。リスクとリターンはコインの裏表でもありますので、高いリターンを期待する場合には思わぬ損失を被るリスクも大きくなります。

買ってはいけないのは英国

見通しが下方修正された国を見ると、最も大きかったのがナイジェリアのマイナス0.5%ポイント、続いてメキシコと米国がともにマイナス0.3%ポイント、さらに英国、カナダ、南アフリカがマイナス0.2%ポイントとなっています。

この中で、まずアフリカへの投資はハードルが高いので投資対象から外しておきます。

メキシコと米国は大きく下方修正されましたが、これは2016年が下方修正されたことが影響しています。両国の2017年の成長率は2016年を上回る見通しとなっており、今後は成長の加速が期待されています。また、カナダも来年の成長率が今年を上回る見通しです。

したがって、この3カ国については、見通しは下方修正されましたが、来年に向けて景気の拡大が見込まれていますので、むしろ買い場を探すほうが相応しいかも知れません。

一方、英国は2017年が1.1%と、2016年の1.8%から大きく失速する見通しとなっています。IMFも「EU離脱交渉をめぐる不確実性が投資を一段と阻害する恐れがある」としており、先行きが最も不透明な英国への投資は避けるのが無難と言えるでしょう。

 

投信1編集部

投信1編集部は、証券アナリストやファンドマネージャーとして長年の調査経験を持つメンバーで構成されており、金融・経済ニュースや投資に関する知識・アイデアをわかりやすくお届けします。