F1の人気凋落は深刻、天国のセナも泣いている?

視聴率20%超のドル箱コンテンツも過去の遺物に

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今年も開催されていたF1日本グランプリ大会

10月7日~9日に鈴鹿サーキットで開催されていた「2016 FIA F1世界選手権シリーズ第17戦」(以下、F1日本グランプリ)が終了しました。

最終結果は、ニコ・ロズベルグ(メルセデスAMGペトロナス)が優勝したのに対し、地元開催で好成績が期待されていたマクラーレン・ホンダは16位(フェルナンド・アロンソ)と18位(ジェンソン・バトン)の惨敗という残念な結果になりました(選手名は敬称略、以下同)。

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ところで、皆さんの中には“えっ? F1日本グランプリが開催されていたの?”と驚いた人がいるかもしれません。また、それ以上に“あっ、そう。興味ないね”と冷めた見方をしている人の方が多いかもしれません。

深刻なF1人気の凋落

近年、日本におけるモータースポーツは興行的な不振が目立っていますが、その中でも、世界最高峰の自動車レースと言われているF1(フォーミュラ1)の人気凋落は著しいものがあります。

先ずは、日本のF1人気の歴史を簡単に振り返ってみましょう。

25年前はテレビ局のドル箱コンテンツだったF1レース

F1レースは長期間にわたって日本開催が見送りとなっていましたが、フジテレビがスポンサーとなり1987年に復活します。

世界的スターのアイルトン・セナやアラン・プロストなどに加え、中嶋悟や鈴木亜久里など日本人ドライバーが活躍したこともあり、F1は大ブームになりました。そのピークだった90年代前半、日本グランプリのテレビ視聴率は20%超になるドル箱コンテンツだったのです(1991年)。

その後、熱狂的なブームは一段落しますが、佐藤琢磨など日本人ドライバーの活躍、ホンダに続いてトヨタ自動車の参入などもあり、2006年には再び大人気となりました。同年10月に鈴鹿サーキットで開催されたF1日本グランプリには36万1千人(3日間合計、以下同)という過去最高の観客数を記録しています。

リーマンショック発生後に日本企業は次々と撤退

しかし、2008年秋に発生したリーマンショックで様相が一転します。F1は膨大なコスト・資金を必要とします。急激な業績悪化に見舞われたトヨタ、ホンダが相次いでF1から撤退し、関連スポンサーとなっていた他の日本企業も続々と撤収したのです。

こうして、資金力のある日本企業が撤退したため、欧州など海外のF1チームは日本人ドライバーを採用しなくなり、いつの間にか日本人ドライバーは皆無となりました。

2016年はついにテレビ放送が事実上打ち切りに

それでも、根強いF1ファンも少なくなかったため、フジテレビによる地上波の放送は続いていました。しかし、そのフジテレビも地上波放送を打ち切り、2012年からBS放送へと縮小し、ついには2015年でBS放送も終了して撤退となりました。2016年からはCS有料放送局による小規模な中継のみとなっています(録画ダイジェストを除く)。

つまり、事実上、F1日本グランプリのテレビ放送が消滅したことになります。放映権料の値上がりなど事情はありますが、F1グランプリはもはやドル箱コンテンツではなくなったのです。

F1日本グランプリの観客動員数は10年間で▲60%超の激減

今回から実質的にテレビ放送をしていないわけですから、日本で開催していたことを知らなかった人がいても不思議ではありません。また、テレビ放送とは別に、今回の観客数は14万5千人となり、台風の直撃を受けた2014年を下回り、過去最低の数字となりました。

ピークだった2006年から僅か10年で▲60%以上の激減状態ですが、復活の兆しが見られないため、数字以上に深刻な雰囲気があります。

では、日本でのF1人気復活に向けて何が必要なのでしょうか。そもそも、F1を含めたモータースポーツ人気を復活させる必要はあるのでしょうか?

自動車メーカーやメディアの一貫した姿勢が求められる

賛否両論だとは思いますが、まずは、自動車メーカーを始めとした企業のスタンス次第になります。モータースポーツに多額の資金を要するのは分かりますが、ホンダやトヨタに限らず、収益好調の時は大々的に推進する一方で、収益悪化に陥ると撤退を含めて極端に縮小する企業が目立ちます。

こうした大きな波を繰り返した結果、ファン離れが進んだと考えられます。また、日本人ドライバーの育成が遅れた原因の1つとも言えましょう。

やるならばコツコツと地道に続ける、やらないならスパッと止めて戻ってこない、というような姿勢が求められるのではないでしょうか。また、これはフジテレビを始めとしたメディアにも言えることだと考えられます。

アイルトン・セナは嘆き悲しんでいる

日本のF1ブームの火付け役となり、今でも日本のF1ファンに絶大な人気を誇るのは、1994年の事故で亡くなった天才ドライバーのアイルトン・セナ(ブラジル)でしょう。ホンダを愛し、日本を愛したと言われています。

現在、セナはサンパウロ市郊外の墓地に静かに眠っていますが、今のF1人気の凋落を見て嘆き悲しんでいるかもしれません。

セナが眠るサンパウロ市郊外のモルンビー墓地。ブラジルの英雄とは思えない質素な墓で、誰でも見ることができる

 

投信1編集部

投信1編集部は、証券アナリストやファンドマネージャーとして長年の調査経験を持つメンバーで構成されており、金融・経済ニュースや投資に関する知識・アイデアをわかりやすくお届けします。