急落のアルコア株、ダウ平均との相関性はあるのか?

米国市場でQ3決算後の株価は2008年以上の下落に

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Q3決算後に急落したアルコアの株価

日本市場よりも一足早く、米国市場では2016年7-9月期の決算発表が始まりました。

今回もトップバッターはアルミ大手のアルコアでしたが、10月11日、米国市場が開く直前に発表された同社の決算は、実績の売上高が市場予想を下回ったことや、10-12月期の売上高予想が下方修正されたことから、決算発表を受けた11日の同社の株価は前日比▲11%と急落しました。

常に注目を浴びるアルコアの決算

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アルコアは、売上高が約2兆円、時価総額が約1.2兆円と大企業ではあるものの、超巨大企業がひしめく米国市場では、中堅的な存在です。

それでも、同社の決算が注目される理由は、AAというティッカー(銘柄名の略称)が覚えやすいこと、決算発表がいつも先頭バッターであることに加え、アルミというあらゆる産業に使われるコモディティ製品が主力事業であることから、足元の景気動向を占う指標的な役割を果たしているためです。

よって、アルコアの決算が良く発表日の株価が上昇すると、「今四半期決算は幸先の良いスタートとなり、今後に期待が持てる」と表現され、今回のようにその逆の場合は、「米国の企業業績に暗雲、今後が心配」などと表現されることになります。

実際、11日のニューヨークダウ工業株30種平均(以下、ダウ平均)が大幅な下落となった要因は、同社の決算が冴えなかったために今後の相場への警戒感が高まったとする解説がいくつか見られました。

アルコア決算当日の株価とダウ平均の相関性は?

では、アルコアの決算と、その後の米国株式市場の動向にはどの程度の相関性があるのでしょうか。そのことが気になって眠れない、という方も多いのではないかと考え、2008年から2015年までの過去8年間のQ3決算が発表された当日の株価騰落率と、その日から年末までのダウ平均の変化率を調べて見ました。

結果は以下の通りです。

興味深いことに、今年10月11日のアルコア株の下落率は2008年からの9年間で最悪なもので、リーマンショックがあった2008年のQ3決算当日の下落率を上回るものでした。また、その2008年の年末までのダウ平均の下落率が▲7%であったという事実も気になるところです。

今回の急落は景気減速によるものではないことに留意したい

とはいえ、冷静に見ると、2010年のQ3決算においては決算当日にアルコア株は下落したものの、その後のダウは上昇しています。また、2008年のQ3決算時は、“100年に1度”と言われたリーマンショックの直後という特異な経済状況であったということにも留意が必要です。

そして、最も重要な点としては、11日の株価急落は業績見通しの下方修正に対して過剰反応であった可能性がある、ということではないかと思います。

ちなみに、今回、アルコニック(注)の北米市場の自動車やトラック向け、及び航空機向けについては2016年Q4の売上について慎重な見通しが示されましたが、自動車向け全体については、中国向けの好調等により見通しは据え置かれています。

また、航空機エンジン向けについては需要は堅調で、下振れは客先の製造工程の要因によるものとされています。このため、景気全体の大幅な減速の影響を受けての下方修正ではないことには注意が必要であると思われます。

こうした点を踏まえて、今後のアルコアの株価動向や、今後、本格化する米国での四半期決算に注目していきたいと思います。

(注)アルコニックは、アルコア社が製造の上流部門と下流部門に分け、分社化した下流部門を受け持つ新会社の名称

 

和泉 美治

同志社大学文学部卒業後、エルコインターナショナル (現:京セラエルコ) に入社。英国バーミンガム大学にてMBA取得。
その後UBSフィリップスアンドドリュー証券 (現:UBS証券) に入社し、調査部にてエレクトロニクスセクターを担当。2002年より2013年までJ.P.モルガンにて産業用エレクトロニクス及び民生エレクトロニクスセクターを担当。
日本証券アナリスト協会検定会員。