日本の小売業界には大きな変革の波が押し寄せている

近年、日本国内では人口減少や高齢化、及び、生活様式や行動の多様化にともない、様々な変化が起きています。現在、その変化が最も顕著に表れているのが小売業界ではないでしょうか。

街中を見ても、30年くらい前まで当然のように存在していた肉屋、魚屋、八百屋などを見ることは稀になり、「National」「東芝」等の看板を掲げていた電気屋も見かけなくなりました。こうして消えていった店は、百貨店やスーパーに代替されていったのです。

ところが、ユニクロやニトリに代表される専門小売店が伸長したことや、ネット販売が急速に普及した影響等により、今度は百貨店やスーパーマーケットが苦境に陥り、店舗閉鎖が相次いでいます。現在、多くの百貨店は、休日でも閑古鳥が鳴いています。その百貨店に代わって台頭してきたスーパーマーケットも、食料品売り場以外は人影が疎らな日が多くなりました。

自動車販売店は旧態依然だが、苦境に陥るケースは少ない?

そのような中、大きな変化が全く起きていないように見える小売業の1つが、自動車販売店(新車ディーラー)です。実は、自動車販売店も、ネットが普及し始めた1990年代後半には、“これからはクルマもネット販売の時代になり、販売店舗は消滅する”と言われた時代がありました。

しかし、あれから約20年弱が経ちましたが、新車のネット販売は全く普及せず、販売手法は旧態依然のままです。もちろん、クルマを買う前の情報収集ではネットが大活躍していますが、ネット画面上でクリックして購入する行動様式は皆無と言っていいのではなでしょうか。

やはり、1台が数百万円するクルマをネットで購入することは、決断し難いと言えるのかもしれません。それでも、国内の新車販売市場が縮小する中、新車販売店が次々に閉鎖するようなニュースは聞こえてきません。なぜでしょうか?

意外に多い国内の新車販売ディーラー店舗数

日本国内に、新車販売の店舗数はどれくらいあるのでしょうか。実は、直近の正確なデータは存在しないのですが、約16,000~17,000くらいと推察されます。国内シェア首位のトヨタ自動車だけでも5,000店舗以上あると見られます(注:2003年時に公表されたのは約5,800店舗)。

ちなみに、これに加えて、中古車ディーラーが約45,000店舗、整備事業者が約70,000拠点あると推定されます。全て合計すると、コンビニ店舗数を大きく上回ることになるのです。

年間300台の新車販売で店舗経営は成り立つのか?