浦和レッズ、JリーグYBCルヴァンカップを制覇

浦和レッズが2016年10月15日、1-1のまま延長線が終わり、PK線の末劇的にガンバ大阪を下し優勝しました。浦和レッズは2003年大会以来2度目の優勝となりました。選手、関係者、そしてサポーターの皆様、おめでとうございます。

さて、YBCルヴァンカップというと少し聞きなれない方もいらっしゃるかもしれません。昨年まではJリーグヤマザキナビスコカップと呼ばれており、1992年から続く由緒ある国内三大タイトルのひとつです。

ヤマザキとナビスコに何があったのか、少し調べてみましょう。

YBC=ヤマザキビスケットの略称

ヤマザキナビスコは1970年に山崎製パン(2212)、米ナビスコ社(現インターコンチネンタル・グレート・ブランズLLC)および日綿實業(現双日)の合弁会社として設立されました。このとき米ナビスコ社と技術および商標ライセンス契約を締結し「オレオ」、「リッツ」、「プレミアム」、「チップスアホイ」の4ブランド製品を生産しました。これに加えて「チップスター」などの独自製品も手がけてきました。

しかし2016年2月12日、このライセンス契約を2016年8月31日に終了させるという決定を行いました。その結果、先ほどのあげた4製品の製造は終了し、社名もヤマザキビスケットに変わりました。このヤマザキビスケットの略称が、YBCというわけです。

「オレオ」はなくならない

ちなみに「オレオ」「リッツ」「プレミアム」はモンデリーズ・インターナショナル社が継続して販売しています。筆者は(ここだけの話ですが)オレオが好物ですのでひとまず安心しています。

モンデリーズ社はこのほかクロレッツ、ホールズなどおなじみのブランドも扱っています。

ルヴァンは新生ヤマザキビスケットのカギを握る商品

山崎製パンにとって旧ヤマザキ・ナビスコは80%の持ち分を有する重要な会社でした。例えば2016年1-6月期にヤマザキ・ナビスコは売上高210億円、営業利益21億円を稼ぎだしています。この営業利益額は山崎製パン全体の営業利益195億円の1割強にあたります。ここから「オリオ」「リッツ」を手放すとなるとかなりの利益の喪失になることが想像されます。

そこで2016年9月1日から、従来の「チップスター」「エアリアル」などに加えて、戦略新商品としてクラッカー「ルヴァン」、「ルヴァンクラシカル」、サンドビスケットシリーズの「YBCスタンドパック」などを投入し、業績の下支え・押し上げを図ろうとしています。

このように「ルヴァン」はYBCにとって今後のカギを握る戦略商品です。ヤマザキ・ナビスコカップの後継名称をYBCルヴァンカップとしたところに、ヤマザキビスケットと山崎製パンのなみなみならむ意気込みが感じられます。

2017年12月1日以降に次の動きが出るか?

さらに、2017年12月1日以降は、契約の終了した4ブランド製品の類似製品の製造販売の制限が解除されます。当然YBC版の「オレオ」も出てくると期待されます。

最近日本の食品業界ではカルビー(2229)や明治ホールディングス(2269)のように業績と株価が急伸する企業が続いています。景気はなかなかぱっとしませんが、消費者のおいしいものへのこだわり、健康志向、時短志向は大変根強く、付加価値のある商品はしっかりと市場に受け入れられています。

山崎製パンも実は菓子パンなどの好調から業績がV字回復の途上にあります。この回復をさらに確かにするために、YBCもさらに付加価値のある商品を続々と提供してほしいと思います。

LIMO編集部