「プレミアムフライデー」構想、期待薄なのはなぜ?

消費低迷の最大要因は余暇時間の不足ではない

「プレミアムフライデー」構想が本格検討へ

「プレミアムフライデー」という言葉を聞いたことがあるでしょうか?

これは、政府(主に経済産業省)と経済界が、消費拡大への取り組みの一環として計画している施策の1つです。具体的には、月末の金曜日は“ノー残業デー”を超越し、早い時間の退社を促進し、買い物や旅行などに充てる「プレミアムフライデー」構想のことです。

たとえば、月末の金曜日は午後3時を退社時間として、街に繰り出すことを奨励すれば、飲食を中心に消費拡大につなげることが可能と判断しているようです。また、月曜日に有給休暇を取得すれば、3泊4日の旅行も行きやすくなるという意図もあると考えられます。

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2017年2月から試験導入か?

まだ正式決定ではないようですが、2017年2月から導入する話があります。最初は試験導入という形になる可能性もあるでしょう。ちなみに、2017年2月の月末金曜日は2月24日になります。

これは新しい試みであることは確かですから、成功するか失敗するかは、やってみないとわかりません。ただ、このままでは、期待した効果は上がらないと考えられます。もし、午後3時に退社したとすれば、その分早く帰宅するだけではないでしょうか。

消費低迷の最大要因は余暇時間の不足ではない

まず、現在の消費低迷を引き起こしている最大の要因は、余暇時間の不足ではなく、可処分所得の不足と考えられるためです。実際、政府が1999年から導入してきた“ハッピーマンデー”の導入による3連休の増加施策を見ても、現在は既に効果がなくなりつつあります。

たとえば、1年間の3連休の回数と、国民1人当たりの宿泊旅行回数、及び、1人当たり宿泊数の推移を見ると(いずれも国内旅行のみ対象)、特にリーマンショック以降は連動性が小さくなっています。明らかに景況感にリンクしていると言えましょう。

それに追い打ちをかけていると見られるのが、訪日外国人旅行客数の増加に伴う宿泊施設(ホテル等)の価格高騰です。一説には、大都市圏や人気観光地のホテル宿泊料金は、アベノミクス始動前に比べて2倍超に高騰していることも珍しくないと言われています。価格が割高になる週末の3泊4日の小旅行がどれだけ増加するか、はなはだ疑問が残ります。

“プレミアム”の称号で懸念される割高感の強まり

また、“プレミアム”と称することも少なからず問題があるのではないでしょうか。プレミアムという言葉には、“高級な”という意味が含まれています。飲食店が突然の大幅値上げに踏み切るとは考え難いですが、価格帯を高めに設定してくる可能性はあるでしょう。

そして、低価格帯の飲食店、たとえば、最近人気が高い串カツや焼き鳥などの店は、金曜日はもともと混んでいます。午後3時に退社しても、定時で退社しても、そして、少し残業したとしても、こうした店の集客に大きな違いが出るとは思えません。せめて、“リラックスフライデー”くらいのほうがいいのではないでしょうか。

ただ、ダメだ、無理だと批判してばかりでは意味がありません。実際に導入すると、予想外のところで思わぬ効果が出ることもあり得ますから、まずは来年2月以降の結果を待ちたいと思います。

ハッピーサースデーはどうだろうか?

では、停滞する消費を刺激する良い施策はないのでしょうか? 既に働き盛りのピークを過ぎた筆者の勝手な意見ですが、3連休を増やす現在のハッピーマンデーをやめて、木曜日を休みとするハッピーサースデーにするべきです。

まだまだエネルギッシュな若年世代に理解していただくのは難しいかもしれませんが、1週間のうち水曜日や木曜日に休日があると、何となく一段落という気分になってホッとします。もし、木曜日が休みならば、“あと1日出社すれば週末だ、よし、頑張ろう”となります。この点では、火曜日が休みというのはあまり好ましくありません。

そして、木曜日に英気を養えば、金曜日も仕事の終わりにヘトヘトにならず、街に繰り出そうという意欲が湧いてくるかもしれません。また、余裕がある場合は、金曜日に有給休暇を取得して、小旅行にも行けます(価格は安くならないと思いますが)。

いずれにせよ、消費活性化の施策には広く意見を募集するのも一考に値しましょう。

 

投信1編集部

投信1編集部は、証券アナリストやファンドマネージャーとして長年の調査経験を持つメンバーで構成されており、金融・経済ニュースや投資に関する知識・アイデアをわかりやすくお届けします。