中国には油断大敵、日本は世銀ビジネス環境ランキング34位

「ビジネスのしやすさ」の評価向上には大胆な規制緩和が必要

世界銀行が2017年版ビジネス環境報告書を発表

2016年10月25日に世界銀行は、世界各国のビジネスのしやすさをランク付けした2017年版のビジネス環境報告書を発表しました。英語のタイトルは「Doing Business 2017, Equal Opportunity for All」で、副題の”Equal Opportunity for All”から、大企業だけではなく、中小企業、ベンチャーも含めたビジネスをしやすさを格付けしたということが理解できます。

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残念ながら、日本の全体評価は昨年の32位から順位を落とし、34位という結果に終わりました。安倍政権では、2020年までに先進国(経済協力開発機構加盟国・OECD)で3位以内という目標を掲げています。しかし、その区分で見ても23位と、昨年の24位よりは上昇したものの、まだ目標到達には程遠い状況です。

起業のしやすさなど10項目が評価対象

気になるのは、どのような項目で評価が行われているかですが、世界銀行では、以下の10項目から評価を行っています。

  1. 起業(Starting a Business)
  2. 建設認可(Dealing with Construction Permits)
  3. 電力調達(Getting Electricity)
  4. 資産登記(Registering Property)
  5. 資金調達(Getting Credit)
  6. 少数株主保護(Protecting Minority Investors)
  7. 納税(Paying Taxes)
  8. 国外との取引・貿易(Trading across Borders)
  9. 契約履行(Enforcing Contracts)
  10. 破産処理(Resolving Insolvency)

ちなみに、日本の項目別の順位は、「起業」が89位、「建設認可」が60位、「電力調達」が15位、「資産登記」が49位、「資金調達」が82位、「少数株主保護」が53位、「納税」が70位、「国外との取引・貿易」が49位、「契約履行」が48位、「破産処理」が2位で、「電力調達」と「破産処理」では健闘が見られます。

規制緩和が重要

今年の総合トップのニュージーランドは、起業、建設許可、資産登記、資産調達、少数株主保護の5つの項目で1位を確保していました。金融緩和や、インフラ整備も大切なことではありますが、こうして見ると、日本が順位を上げていくためには、目に見えない規制を緩和していくことが重要であると感じられます。

世界のGDP大国の順位は?

では、日本以外の世界のGDP大国の順位はどのようになっているでしょうか。すると、アメリカ:8位、中国:78位、ドイツ:17位、イギリス:7位となっており、世界GDPトップ5のなかで、34位の日本を下回るのは中国だけ、という結果でした。

ちなみに、中国は「起業」では127位(日本は89位)、「建設許可」では177位(同60位)、「電力調達」では97位(同15位)と日本に負けていますが、「資産登記」では42位(49位)、「資金調達」では62位(同82位)、「契約履行」は5位(同48位)と、日本よりも高いランクを確保しています。現時点ではまだ中国をリードしているものの、油断大敵と言えるのではないでしょうか。

また、超大国であるアメリカはともかく、せめて人口などから見た国のサイズが近い欧州勢に対しては、もっとビジネスのしやすさという評価の開きを縮小させるための努力が必要であると思われます。

 

和泉 美治

同志社大学文学部卒業後、エルコインターナショナル (現:京セラエルコ) に入社。英国バーミンガム大学にてMBA取得。
その後UBSフィリップスアンドドリュー証券 (現:UBS証券) に入社し、調査部にてエレクトロニクスセクターを担当。2002年より2013年までJ.P.モルガンにて産業用エレクトロニクス及び民生エレクトロニクスセクターを担当。
日本証券アナリスト協会検定会員。