【注目の経済指標】米・中の景況感見通しに死角はないか

米ISM製造業景況指数、中国製造業購買担当者景気指数、米雇用統計

この記事の読みどころ

  • 米製造業の見通しは必ずしも楽観できない状況にあるようです。
  • 中国企業は、回復は鈍いものの落ち着きを取り戻し始めています。
  • 米国経済においては、一段と良好な雇用環境が継続しています。
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今週発表される経済指標の中から、特にマーケットインパクトを与えそうな経済指標をいくつかピックアップしてみました。ぜひ、チェックしましょう!

出所:各種報道をもとに筆者作成

楽観はできない米製造業の見通し

11月1日(火)23:00に、米国の10月ISM製造業景況指数が発表されます。

ISM製造業景況指数は、米サプライマネジメント協会(Institute for Supply Management。以下、ISM)が公表し、製造業300社以上の購買担当役員にアンケート調査を実施するものです。これは米国の主要経済指標の中で最も早く公表されるため、マーケット参加者からも注目されています。

前回、9月の同指数は51.6となり、景況感の節目となる50.0を上回る水準へ回復しました。ただし、楽観的な見通しを示すことが多い米ISMのブラッドリー・ホルコム委員長でさえも、「製造業のモメンタムはさほど力強くない」と指摘するなど、製造業は緩やかな回復局面と言えそうです。

今回、10月の同指数の市場予想は51.6と、前月を若干上回る水準となっており、今後の動向に注目が集まりそうです。

回復は鈍いものの、落ち着きを取り戻し始めた中国企業

上記と同じ11月1日(火)10:00に中国の10月製造業購買担当者景気指数、10:45に中国の10月Caixin製造業購買担当者景気指数が発表されます。

両指数ともに、米国のISM製造業景況指数同様、製造業の購買担当役員に対して実施したアンケート調査をもとに算出し、前者は大企業を対象に中国国家統計局が、後者は中小企業を対象に中国メディアの財新(Caixin)と英マークイット社が共同で公表します。

前回、9月の同指標は、製造業購買担当者景気指数が50.4、Caixin製造業購買担当者景気指数が50.1となり、景況感の節目となる50.0を上回る内容となりました。大企業、中小企業ともに、景気回復のペースは鈍いものの、徐々に落ち着きを取り戻す傾向が表れてきているようです。

10月の市場予想も、前者が50.4、後者が50.1と、揃って前月と同値になっています。

一段と良好な雇用環境が継続する米国経済

11/4(金)21:30には、米国の10月雇用統計が発表されます。米労働省労働統計局が公表する雇用統計のうち、マーケットでは「非農業部門雇用者数の変化率」と「失業率」に注目が集まります。

前回、9月の同指標は15.6万人(前月比)と、市場予想の17.2万人(前月比)を下回る内容となりました。ただし、失業率が5.0%と、ほぼ完全雇用の状況下、米労働市場の緩みもない中で15.0万人を超える労働市場の伸びは評価できそうです。

なお、米国の場合、移民を継続的に受け入れ人口増加が続いており、毎月15万人から20万人の雇用増が必要となります。詳細は、筆者が以前執筆した記事をご参照ください。

今回、10月の同指標の市場予想は16.9万人(前月比)、失業率は4.9%となっており、米国は好調な雇用環境が継続する見通しです。

【参考情報】各経済指標の元データ

米ISM製造業景況指数は米サプライマネジメント協会のウェブサイト、中国の製造業購買担当者景気指数は中国国家統計局のウェブサイト(英語版)、中国のCaixin製造業購買担当者景気指数は財新(Caixin)のウェブサイト(中国語版)、米雇用統計は労働省労働統計局のウェブサイトをそれぞれご参照ください。

 

岡野 辰太郎

1976年生。大学在学中、マイクロソフトのインターンシップへ参加。
横浜国立大学大学院卒業後、三菱UFJモルガン・スタンレー証券株式会社の投資ストラテジストとして、リサーチ業務に従事。
同社退社後、Webサービスの開発・運営を行う株式会社アーブを設立。モノづくりのクラウドファンディング「SpotLight(スポットライト)」を運営中。