日本ハムファイターズが日本一、各地で優勝記念セール

今年のプロ野球は、日本シリーズを制した北海道日本ハムファイターズが10年ぶり3度目の日本一となって幕となりました。そして、優勝決定翌日から、全国の日本ハム直営店やスーパーなど約1万1,000店舗で優勝記念セールが実施されました。

記念セールの内容は各店舗によって異なるようですが、大阪の百貨店に入っている直営店では、ローストビーフやウインナーなど約10種の商品を2~3割引きで販売したと報じられています。

プロ野球の優勝記念セールには、今回のファイターズのように、親会社(日本ハム)が自社製品の特売を行う場合だけでなく、優勝にあやかって行われるケースもあります。

たとえば、今年セ・リーグで広島東洋カープが優勝した後、市内の百貨店やスーパーで行われた記念セールも、ある意味では、優勝にあやかったセールと言えましょう。もっとも、広島カープは“市民球団”という旗を掲げていますので、市民に向けた立派な優勝記念セールだと思われます。

優勝記念セールは最早めずらしくない、規模も縮小傾向?

しかし、近年では優勝チームと全く関係ない店が記念セールを行うことも度々です。これも、あやかり組と言えるのかもしれません。いずれにせよ、現在ではプロ野球のチームが優勝した時の記念セールは、めずらしくなくなっています。

ところで、この優勝記念セールですが、一昔前に比べると、その規模やインパクトが小さくなっているような気がします。残念ながら正確なデータはないのですが、そう感じている方も少なくないのではないでしょうか。実際、日本ハムの優勝セールを見る限り、身動きが取れないような混雑までには至っていません。

大々的な優勝記念セールの始まりは西武ライオンズか

私事で恐縮ですが、筆者は小学校5年生から約15年に渡って、西武鉄道沿線(主に西武新宿線)に住んでいました。その間、1982年に西武ライオンズ(現在の埼玉西武ライオンズ)が福岡からの本拠地移転後、念願の初優勝を果たしました。

その時、西武百貨店や西友ストアー(当時)で行われた優勝記念セールは、まさしく、渋谷のハロウィーン時のような大混雑になったのを覚えています。大勢の買い物客が押し寄せてパニックに近い状態でした。ご記憶にある方、あるいは、体験した方もいらっしゃるかもしれません。

ちなみに、筆者の母親は野球のルールも知らなかったにも拘らず、西武ライオンズのファンとなりました。

今、振り返ってみると、大々的な優勝記念セールというのは、この西武ライオンズが先駆けだった可能性があります。それまでプロ野球の優勝チームと言えば、巨人、中日、南海、阪急、西鉄など、球団経営の母体(親会社)が新聞社や鉄道会社でした。

もちろん、阪急なども百貨店を有していたので、相応のセールはやっていたかもしれません。しかし、さほど大規模なものではなかったと推測されます。

当時のセゾングループは球団経営とはほとんど無関係だった

実は、当時の西武ライオンズも、球団経営の母体は西武鉄道であり、西武百貨店や西友ストアーを始めとする流通事業(セゾングループ)は、ほとんど関与していませんでした。しかし、いざ優勝すると、それまでなかった大々的な記念セールを実施し、それが大成功となったのです。

それ以降、西武ライオンズに限らず、優勝後の記念セールは人々の楽しみの1つになったのではないでしょうか。その観点では、当時のセゾングループの発想には目を見張るものがあります。

優勝記念セールの規模縮小は悪いことではない

さて、そのような優勝記念セールの規模が徐々に小さくなったように思われるのは、それ自体がめずらしくなくなったことが挙げられます。また、最近は優勝しなくとも“応援感謝セール”等のような記念セールも頻発しており、ある意味マンネリ化したことがあるかもしれません。

さらに、優勝記念セールがめずらしかった当時と比べて、プロ野球の球団経営が大きく変わったことも見逃せません。以前に比べると親会社への依存度が低下し、球団経営の独立採算が定着したことが考えられます。良い意味で、親会社と球団との距離が広がったとも言えるのではないでしょうか。

 

LIMO編集部