この記事の読みどころ

  • 10月の日本株式相場は、円安進行などによるリスクオンの高まりから、堅調に推移しました。
  • 11月は序盤から企業決算に注目が集まりそうです。各社の通期業績予想の見直しなどが株式相場の大きな材料になるでしょう。一方で、米国大統領選にも注意が必要です。
  • 為替相場を睨みながら、出遅れ感のある好業績銘柄をコツコツ拾いたいところです。

先月(10月)の株式相場の振り返り

10月は、為替相場が緩やかな円安に振れたこと等から株式市場は好調に推移し、日経平均株価も半年ぶりの高値を付けました。徐々に17,500円から18,000円台へと上値を切り上げる準備ができた月でした。

リスクオンのムードが高まり、日経平均株価は半年ぶりの高値圏に

10月の株式相場は、日経平均株価が16,400~17,500円のレンジ内で推移しました。特に、後半は節目の17,000円を上抜けて、17,500円を伺う推移となりました。これは約半年ぶりの高値となっており、今後の上値切り上げへの期待が高まります。

10月は株式相場を押し上げる大きなイベントはなかったのですが、為替相場が円安に振れ始めたことに加え、2月決算期企業の上期決算が堅調に推移したことなどから、徐々にリスクオンのムードが高まったと考えられます。また、10月下旬からは3月決算期企業の上期決算も始まっており、株式市場に売り買いの材料を供給しています。10月は下旬から商いが活況になってきたことも特徴の1つと言えます。

ちなみに、日経平均株価を振り返ると、9月末の株価(終値、16,449円)との比較では、10月末終値は+5.9%上昇となりました。また、10月高値は同+6.1%上昇、10月安値は同+0.6%上昇でした。なお、2015年末と比較した10月終値は▲8.5%下落となっており、9月末よりマイナス幅が大幅に縮小しています。

日経平均株価の過去6か月の推移

2016年11月の注目イベント、注目セクター

11月は序盤から企業決算に大きな注目が集まります。各社の通期予想の見直しが最大の焦点ですが、一方で、米国の大統領選からも目が離せません。何かと忙しい1か月になりそうです。

企業決算に注目が集まる中、米国大統領選の行方は重要

11月は10月同様、金融政策に関する目立った予定はありません。その分、11月中旬まで続く決算発表が大きな材料になるでしょう。既に10月終盤から発表が本格化していますが、上期決算では、半年間の実績はもちろんのこと、通期の会社予想が見直される可能性が非常に高いため、その新たな会社予想数字が株式相場に与えるインパクトは大きいと考えられます。少なくとも前半は、決算一色になると考えられます。

決算発表が大きな材料となる中で、唯一で最大の政治イベントが、8日投票の米国の大統領選挙です。クリントン氏優勢と伝えられてきた選挙戦ですが、メール事件が再度捜査対象になるなど状況は混とんとしています。最後の最後までわかりませんが、まさかの“トランプショック”が起きる可能性にも留意しておいた方がよいかもしれません。逆に言うと、投票日直前になっても状況が変わらなければ、様子見スタンスが一段と強まるでしょう。

この他、米国雇用統計の発表や、日本の7-9月期GDP速報値の発表といった経済イベントもあります。特に、米国の雇用統計は、12月の利上げ実施が見込まれる中で相応の注目を集めるでしょう。

好業績銘柄の下値をコツコツ拾う戦略が有効だが、為替相場には注意が必要

前述したように企業決算に注目が集まると予想されますが、米国の大統領選挙や雇用統計の発表など、為替相場が読み難い状況が続くと見られます。そのため、円安で輸出関連株とか、円高で内需関連株のように、一方方向に決め打ちするのは少し危険です。各社の決算発表、とりわけ通期予想の見直しが出揃ってから考え直すのでも十分遅くはないと考えられます。

こうした方向感が見え難い中、やはり、出遅れ感の強い好業績銘柄をコツコツ拾っていくことが有効になると思われます。上期決算で下期の業績底打ちが見えるならば、来年から新商品投入が相次ぐ電機セクターへの注目度を増すことも一考に値しましょう。内需関連では、ここ数か月のパフォーマンスが今一つ冴えない医薬品やトイレタリーにも注視したいところです。

 

LIMO編集部