11月1日から郵便局やコンビニでは年賀状の発売が開始されています。株式相場についても、そろそろ2017年のことを考えだしても“気が早い”ということにはならないでしょう。今回は3本の記事から2017年の相場を考えたいと思います。

2017年、日経平均は2万円を目指すのか

2017年に日経平均は1万9,700円程度(中心値)を目指す動きになるというのが、以下の記事におけるメインシナリオです。この記事では、日経平均と「円換算ダウ平均(ダウ平均×ドル円)」の相関性が高いことに着目したアプローチにより、シナリオ別に日経平均が予想されています。

米国の穏やかな景気回復が継続し、日米金利差が拡大して1ドル115円(2016年11月3日時点では102.6円)となり、米ダウ平均が1万9,500ドル(同1万7,962ドル)となれば、上述のように日経平均は1万9,700円程度(中心値)を目指す動きになると試算されるとのことです。

もちろん、円安にはなったがダウ平均は上昇しない、円高になりダウ平均も下落など、様々な組み合わせも考えられるため、このシナリオ通りになる保証はありませんが、「頭の体操」としてこうした記事も参考にされるとよいと思います。

出所:大胆予想!2017年の日経平均シナリオ(楽天証券)

大統領選の行方は気掛かりだが、とりあえず米GDPは順調

さて、いよいよ11月8日に米国で大統領選挙が行われます。結果は日本時間の9日昼ごろには判明する見通しです。

政治イベントで金融市場が大混乱に陥ることだけは避けてほしいと願うばかりですが、6月の英国民投票のように、結果次第では一時的な混乱が起こることも覚悟しておいた方がよいのかもしれません。

とはいえ、大統領選挙の結果で一夜にして米国経済が変調をきたすということもありませんし、日経平均は来年は2万円を目指すという見方もあるため、狼狽売りは禁物です。

実際、10月28日に発表された7-9月期の米GDPデータは前期比年率で2.9%と、市場予想(2.6%)を上回っており、まずまずの内容でした。個人消費はやや市場の伸びを下回ったものの、大統領選の不透明感が影響した可能性も想定され、過度な懸念は不要と考えられます。詳細については以下の記事をご参照ください。

出所:米国GDP、市場予想を超えるなど、まずまずの内容だが(ピクテ投信投資顧問)

話題の「高圧経済」とは

来年の相場を考えるうえで、何といっても重要なのは米国の金融政策です。そこで、最後にFRB(米連邦準備制度理事会)のイエレン議長が10月の講演で発言して話題となった「高圧経済(high-pressure economy)」について触れたいと思います。

この言葉の意味は、簡単に言えば「インフレ容認政策」であり、金融緩和と財政政策により総需要を高め、労働市場の逼迫した状態を認めるということです。

イエレン議長は、そうした状態を作りあげることが、リーマンショック以降続いている長期停滞から脱するための最善策であると考えており、この見方は、現在の米国だけではなく日本を含む多くの先進国の中央銀行に共通したものとなっています。

では、なぜ今、この発言が注目されているのでしょうか。その理由の1つは、米国では12月に利上げを行うことがコンセンサスになりつつあるタイミングであったからです。

金融市場では、インフレを容認する発言であるため12月利上げ見送りに対する前振りと捉える見方と、9月の利上げを見送った理由の後講釈と捉える向きに分かれていますが、果たして正解はどちらでしょうか。

いずれにせよ、この記事にあるように日米金利差は拡大し円安になる可能性が高いということは頭の片隅に入れておきましょう。結果が出るまで、あと2か月を切っています。

出所:12月利上げにブレーキ? 「高圧経済」は日本に影響するか(投信1)

 

LIMO編集部