個人、4カ月連続日本株を売り越し

日本取引所グループの公表した株式月間売買動向を見ると、個人投資家の日本株離れが加速していることがわかります。7月以降売り越しに転じた個人は、10月まで4カ月連続で日本株の売り越しを続けています。

月別に見ると、7月が▲3,900億円、8月が▲2,126億円、9月が740億円、10月が▲7,661億円(二市場一・二部等合計)となっており、10月の金額が大きくなっています。この中にはJR九州のIPOに関係する売りがあると思いますが、それを差し引いても売り越し基調と言って差し支えないでしょう。

株式市場は英国のEU離脱ショックの下落以降、じり高基調にありました。この期間に着実に個人が株式を売り上がっているのです。

投資信託も10月は大きな売り越しー”逃げる”個人は計算ずく?

個人の投資スタンスを考えるうえでもう一つ重要なのは投資信託の売買状況ですが、10月は▲2,558億円という大きな金額の売り越しになりました。2,000億円を超える売り越しは2014年11月以来のことです。

こう見ると、「貯蓄から投資へ」という近年の掛け声はうまくいっていないように思えます。これを日本人のリスクを嫌う気質やリスクテイク力の乏しさと解釈することも可能かもしれませんが、筆者の経験で言えば「全体としての個人はきわめて合理的」です。逃げるは恥どころか、計算づくとみるべきでしょう。

業績懸念か、それとも資産取りくずしか

では、なぜ今、個人は日本株を売るのか考察してみましょう。

一つには、当面の企業業績に対する慎重な見方があるのかもしれません。4-9月期を終えて10-3月期に業績に本当に底打ち感が出るのか十分な自信が生まれない中で、じり高で上昇してきた株を売ることが適切だと判断したのかもしれません。

これに関連しますが、今後ドル高が続くよりは円高になるかもしれないという考えがあるのかもしれません。円高の場合、日本株は総じて下落しますので、この下落に備えているのかもしれません。

あるいは、日本株から預金、国内債券、国内不動産、海外株式、海外債券などの他の資産へ、資産の配分を再構築しているのかもしれません。もちろん、資産を取り崩して消費などに充てているのかもしれません。

なお、投信の売り越しは、以上のような要因に加えて、運用コストとパフォーマンスに投資家が厳しい目を注ぎ始めているのかもしれません。

次の株価下落局面で個人は戻ってくるのか

もともと個人は短期逆張りの傾向が見られるため、株価が下がる時にはリバウンド狙いの買い越しを行う傾向もあります。11月第1週は米大統領選の不透明感の高まりから株価が急落しました。ここで個人が戻ってくるのか、これが一つの試金石になるでしょう。

しかし、個人が投資信託も含めてしっかり日本株に投資を続けるにはもう少し企業側の変化を期待したいと思います。個社ごとにROEを高め、株主還元を強化するだけではインパクト不足になりつつあります。グローバルに見て業界トップ3に入るような、積極的な事業展開をできる企業がもっと増えていいのではないでしょうか。

 

LIMO編集部