【お金の増やし方・使い方】ロボ・アドバイザー活用の秘訣は運用計画とメンテナンスとフォローにあり

コンサルティングとアフターフォローをITで効率化

みなさんは「ロボ・アドバイザー」という言葉を聞いたことがありますか? ロボット・アドバイザーを略した言葉ですが、最近はさらに略されてロボアドとも呼ばれています。株式投資や資産形成に興味のある方ならご存知かもしれません。ただ、多くの方にとってはまだ耳慣れない言葉ではないでしょうか。実は今、資産運用業界に持ち込まれたFinTech(フィンテック)の一つとして、ロボ・アドバイザーは多くの注目を集めています。

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今回は、2016年9月にスタートしたばかりの新サービス「MSV LIFE」を運営するマネックス・セゾン・バンガード投資顧問株式会社(以下、MSV)の代表取締役社長、大原啓一氏にMSV LIFEの特徴やロボ・アドバイザーの活用法、私たちの資産運用がロボ・アドバイザーによって今後どのように変わるのかについて伺いました。

マネックス・セゾン・バンガード投資顧問株式会社 代表取締役社長の大原啓一氏

MSV LIFEのロボ・アドバイザーは他とはどこが違うのか

昨今、日本でもロボ・アドバイザーによる資産運用サービスが数多く立ち上がっています。これらロボ・アドバイザーの多くは、ポートフォリオを構成する際に必要な商品を選ぶ場面で活用されています。

しかし、大原氏によれば、MSV LIFEのロボ・アドバイザーはETFの品揃えの多さではない別の領域に重点を置いていると言います。

「私たちのサービスの最大の付加価値は、単に投資や運用ではなく人生設計であり、それと切り離すことができない資産運用の計画をロボ・アドバイザーでサポートすることです。目標を達成するための資産運用がどうあるべきか、と考えていきます。つまり、当社のロボ・アドバイザーは“ロボ・プランニング・アドバイザー”なのです」(大原氏)

>>【参考】ロボ・アドバイザーの資産運用初心者向け特徴と比較まとめ(株1)

資産運用のPDCA。計画策定に必要なリスク許容度測定

「資産運用にもPDCA(計画・実行・評価・改善)が必要です」(大原氏)

生命保険会社系列の資産運用会社出身で、資産運用に必要なプロセスを熟知する大原氏はこの点を強調します。資産運用のPDCAは“人間の”ライフプランナーであれば当然持ち合わせているプロセスですが、MSV LIFEはそのプロセスをロボ・アドバイザーの機能として取り込んでいると言うのです。

MSV LIFEでは、資産計画の「貯める」、「楽しむ」、「備える」という3通りの考え方、すなわち、今後の資産を増やすことに注力するケース、今ある資産を有効活用するケース、そのハイブリッド型に注目したプランニングを行います。MSV LIFEなら、こうした人生設計に応じた資産計画を作っていけると大原氏は自信をのぞかせます。

「資産運用を必要とする人が初めにしなければならないことは、目標や資産状況、リスク許容度に応じた資産設計の策定です。日本の資産運用では利回りばかりが重視される傾向がありますが、資産運用する目的は人それぞれ異なるはずです。その目標に向かってどのように資産運用をするのか、またその目標達成の可能性はどれくらいなのかを知ることが重要だと考えています。こうした考えは、米国ではすでにゴール・ベース・アプローチとして存在します。当社はこのプランニング・プロセスを大切にしています」(大原氏)

MSV LIFEの「資産計画のシミュレーション」画面(出所:MSV)

言われてみれば確かにその通りです。資産運用の目的やリスク許容度の評価が適切でなければ、その後の資産運用も投資家にとって最適なポートフォリオも構築できないでしょう。

また、間違ったリスク許容度評価をもとに構築したポートフォリオをその後運用したところで、投資家のニーズにそもそも見合った結果にならないこともあり得ます。つまり、ロボ・アドバイザーを活用する時には、目的をしっかりと確認すること、そしてリスク許容度の評価を事前に厳密に行うことが大切だと言えるでしょう。

ロボ・アドバイザーの長所をうまく使う

資産計画ができたら、次に最適な資産運用商品の選定が必要です。MSV LIFEでは、投資家のリスク許容度に応じて8つのポートフォリオの投資信託から自分の資産計画に合った内容の商品を選択することになります。

こうしたポートフォリオの構築プロセスは多くのロボ・アドバイザーがカバーしている機能と言えますが、その特徴はそれぞれ大きく異なります。

たとえば、世界中のETFを取り揃えていることを特長として訴えるロボ・アドバイザーサービス提供会社があります。もちろん投資経験があり、好みのタイプのETFがあるという方なら、こうした点は魅力的だと考えられます。一方、投資初心者が自ら選ぶのは難しいですし、そもそも同じリスク許容度で内容が異なる資産が組み入れられたポートフォリオを数多く用意する必要はない、という意見もあります。

つまり、これは投資家の考え方次第で長所にもなり、また短所にもなる点だと言えます。自分のリスク許容度と投資方針に合わせて選ぶ必要があります。

また、資産運用が一旦始まれば、運用結果に応じてリバランス(投資配分の比率を調整すること)が必要です。このリバランスは多くの投資家の皆さんも面倒だと感じることが多いのではないでしょうか。ロボ・アドバイザーはこのリバランスも行ってくれるので便利です。

資産運用は始めた後のフォローが重要

資産運用でありがちな問題は、当初のポートフォリオ構築や商品選びにじっくり時間をかけたものの、その後のポートフォリオのメンテナンスがなおざりになることです。勤務先で運用している401kや、今後さらに普及してくるであろう個人型の確定拠出年金にもメンテナンスの問題は付きまといます。

この点において、MSV LIFEでは当初計画の「目標達成確率」という概念を打ち出していることが特徴的です。利回りを表示するのではなく、達成確率を数字として見せ、必要に応じてアラートを発信することで資産計画の進捗を確認することができます。また、目標達成のためのアフターフォローを含めて投資家との接点をもたせる仕組みづくりをしています。

「お客様に気にしていただくのは、常にこの目標達成確率だけです。投資というよりも、貯蓄性保険のようなイメージですね。きちんと目標に向かって進んでいるかどうかについてフォローしていければと考えています」(大原氏)

MSV LIFEの「目標達成確率」の表示(出所:MSV)

編集部まとめ

いかがでしたでしょうか。ロボ・アドバイザーは登場したばかりのサービスです。今後、そのサービス範囲はさらに広がっていくでしょう。一方、より多くのETFにリーチできる点に重きを置くのか、MSF LIFEのように人生設計にとって必要な資産運用のプランニングやアフターフォローに付加価値を感じるのかは、個人投資家によって分かれてくるかもしれません。また、ロボ・アドバイザーのコスト(費用)についても、その対価を個人投資家が選別するようになっていくのではないでしょうか。編集部では今後もロボ・アドバイザーの技術変化と業界動向に注目していきます。

なお、MSV以外のロボ・アドバイザーなどについても以下の記事でまとめています。ご興味があれば参考にしてみてください。

>>【参考】資産形成初心者向けロボットアドバイザー/ロボアド企業まとめ-国内FinTechベンチャー編(Longine)

 

投信1編集部

投信1編集部は、証券アナリストやファンドマネージャーとして長年の調査経験を持つメンバーで構成されており、金融・経済ニュースや投資に関する知識・アイデアをわかりやすくお届けします。