電通問題から考える「働き方改革」のビジネスチャンス

テレワークに本腰を入れる企業や官公庁、電通はどうか?

電通への強制捜査が示唆する政府の「働き方改革」への本気度

2016年11月7日に、厚生労働省東京労働局などが電通本社や支社を労働基準法違反の疑いで強制捜索しました。発端は昨年12月に起きた新入社員の過労自殺問題ですが、組織的に違法な長時間労働が行われていた実態を悪質と判断し、その是正を求めるためであると推察されます。

また、その根幹には「働き方改革」を実のあるものとしようとする政府の強い意志もあると感じられます。

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政府はテレワークの導入にも前向き

政府の働き方改革への本気度を示す一例が、各省庁へのテレワーク導入推進からも読みとれます。中央官庁の長時間労働は有名ですが、それを変えていくためにICTを活用し、場所や時間にとらわれない柔軟な働き方に変えていこうとしています。

また、11月は「テレワーク月間」とされており、テレワーク推進関係4省(総務省、厚生労働省、経済産業省、国土交通省)などで組織された一般社団法人日本テレワーク協会を中心に、テレワークの普及促進に向けた活動が行われています。

古くて新しいテレワークが今後のビジネスチャンスに

さて、そのテレワークですが、実はそれほど新しい言葉ではありません。日本テレワーク協会が2000年から毎年、テレワークの導入に積極的な企業や団体を表彰していることからも、その歴史の長さを伺い知ることができます。

とはいえ、政府までがテレワークの導入に本腰を入れたのは、働き方改革の気運が盛り上がった最近の出来事ではないかと思われます。また、企業サイドで、こうした“潮目の変化”を商機にしようとする動きが高まってきたのも、このところ特に感じられることです。

たとえば、日立製作所の場合、同社の100%子会社である日立ソリューションズが2016年9月1日から11月30日の間、社員3,000人を対象にテレワークの検証を行うと発表しました。

今回の実験では、従来の在宅勤務制度の利用条件を大幅に緩和しています。また、インスタントメッセージやオンライン会議、ファイル画面共有などのコラボレーション環境を最大限利用し、テレワークによるコミュニケーションの低下を防ぐことなども目指されています。

こうした検証から得られたノウハウを蓄積し、2017年からは、テレワークの導入で長時間労働の是正を目指す企業の支援サービスにも乗り出す考えです。

実際、日立がどのくらい働き方改革やテレワークの導入に対して真剣かを調べるために、同社のサイト内検索で、「テレワーク」を検索してみると335件がヒットしました。同様に富士通は334件、NECは136件となりました。一方、電通の場合はゼロという結果でした。

このことから、電通の働き方改革への意欲の低さを判断できるかはさておき、大企業の間でも働き方改革に対する熱量の差があるということは、考え方によっては、まだ大きなビジネスチャンスが残っているとも捉えられるのではないでしょうか。

 

和泉 美治

同志社大学文学部卒業後、エルコインターナショナル (現:京セラエルコ) に入社。英国バーミンガム大学にてMBA取得。
その後UBSフィリップスアンドドリュー証券 (現:UBS証券) に入社し、調査部にてエレクトロニクスセクターを担当。2002年より2013年までJ.P.モルガンにて産業用エレクトロニクス及び民生エレクトロニクスセクターを担当。
日本証券アナリスト協会検定会員。