12月のFOMCでイエレン議長の“最後っ屁”はあるか

次の金融政策が予想以上の大きなマグニチュードとなる懸念も

米国大統領選でトランプ氏が勝利、議会では共和党が過半数を占める

既にご承知の通り、米国大統領選は事前予想に反してトランプ氏の勝利となりました。トランプ氏の勝利というよりは、ヒラリー氏の敗北という方が適切かもしれません。また、大統領選以上に注目されるのが、上院・下院ともに共和党が過半数を占めたことです。これにより、米国の政策が大きく変わる可能性が高まりました。

これからは、“誰が大統領でも日米同盟は揺るぎない”のような平和ボケは通用しないかもしれません。早速、金融市場では連日のように大きな値動きが出ています。

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トランプ政権の正式始動は2017年1月中旬から

トランプ氏は勝利しましたが、実際にトランプ政権が始まるのは2017年1月中旬(就任式は1月20日)からです。つまり、あと約2か月はオバマ政権が続くのです。トランプ氏が選挙公約で掲げた様々な政策が、明日からすぐに実行されるわけではありません。

一方で、オバマ政権にとっても、残りわずか2か月間に実施できる政策はそう多くないはずです。ということは、これから2か月間は静かな動きとなるのでしょうか。

12月開催の今年最後のFOMCに注目が集まる

いや、トランプ政権の正式発足まで、何か大きな動きがあっても決して不思議ではありません。特に、12月13~14日に予定されている連邦公開市場委員会(FOMC)は要注目と言えましょう。

米国の金融政策を決定するFOMCは、開催のたびに注目を集めてきました。そして、年内最後の開催となる12月のFOMCは、利上げ実施の有無など従来にも増して注目度が高いと見られます。

大統領選でトランプ氏はイエレン議長を中傷・非難し続けた

そこで気になるのが、大統領選に勝利したトランプ氏とFRBイエレン議長との関係です。トランプ氏は大統領選に立候補以降、事あるごとにイエレン議長を批判し続け、挙句の果てには「恥を知れ」と罵り、交代や更迭(クビ)を明言しています。

実際には、FRBは議会や政府から独立していますので、大統領が簡単に人事を決めることはできません。イエレン議長の任期は2018年2月まであるため、そこまでは確実に議長職にあります。

しかし、任期満了後の新FRB議長は政府が任命しているのが実情です。これは、日銀総裁を事実上、日本政府が任命しているのと同じです。そのため、イエレン議長は現在の任期満了後、たった1期で交代となる可能性が高まっています。

トランプ次期大統領の金融政策に対する基本スタンスは、金融緩和と言われています(注:ただ、選挙運動中は低金利政策を非難する発言もあり)。これは、自身が不動産業を営んでいることのみならず、低金利で調達した資金をインフラ投資に回すべきという考えが強いためです。この点は、金利引き上げを模索するイエレン議長と異なると見られます。

はらわたが煮えくり返っているはずのイエレン議長

いずれにせよ、イエレン議長は自らに対するトランプ氏の批判や言動に対して、はらわたが煮えくり返っていたはずです。そのトランプ氏が1月から大統領になるのは、憤懣やる方ない思いであることは容易に想像がつきます。

しかも、約1年後には事実上の更迭となる可能性が高いとなれば、オバマ政権の最後のFOMCで思い切った金融政策に打って出るかもしれません。後は野となれ山となれ、品のない言い方をすれば“最後っ屁”です。

想定以上にマグニチュードの大きい金融政策も

このような個人的な感情論という観点から見ると、12月のFOMCでは金融市場が想定している以上にマグニチュードの大きい金融政策に踏み切る可能性も否めないのではないでしょうか。

トランプ氏が勝利したからこそ、注目度がいっそう層高まる今年最後のFOMCから目が離せません。なお、そのFOMCの翌週には、今年最後の日銀金融政策決定会合が開催されます。

 

投信1編集部

投信1編集部は、証券アナリストやファンドマネージャーとして長年の調査経験を持つメンバーで構成されており、金融・経済ニュースや投資に関する知識・アイデアをわかりやすくお届けします。