大方の予想に反して、米国にトランプ大統領が誕生することになりました。その結果、ドナルド・トランプ氏が大統領選挙戦で掲げてきた政策などへの思惑から、為替市場も株式市場も変化しつつあります。

今回はそうした変化について、個人投資家向け金融経済メディアLongine(ロンジン)編集部に聞きました。

――トランプ氏が米国の次期大統領に就任することで、株式市場はどのような反応をしているのでしょうか。

Longine(ロンジン)編集部(以下、Longine):まず、セクターとしては薬品、金融などの動きが活発です。一方で、食品セクターが下落しました。

――なぜそのような動きになったのでしょうか。

Longine:これまでの「オバマケア」の政策が変更され、製薬メーカーへの価格プレッシャーが和らぐのではないかと期待されつつあります。一方、食品に関しては米国のTPP参加の実現性に不透明感が漂ったからでしょう。

加えて、財政支出を伴う政策への志向から長期金利が上昇しているため、金融セクターへの関心が高まっています。また、円安に向かっていることで輸出関連銘柄の値動きも活発化しています。

――これまでの動きとは何が違うのでしょうか。

Longine:アベノミクス以降、円安にともない輸出関連企業の株価も上昇しましたが、その後円安は一服し、結局は内需関連銘柄が堅調に推移した経緯があります。

しかし、トランプ氏が次期大統領に決まると、その流れが変わりました。為替市場は再び円安に転じ、景気を刺激するような政策を実行するのではないかという期待もあいまって、設備投資関連銘柄も大きく上昇しました。

――今後をどう見ればよいのでしょうか。また、注目セクターは何でしょうか。

Longine:まずは、2017年1月以降トランプ氏がどのような政策を実行するのか見極めが重要になります。ただ、外部要因によって再び円安に向かったというのは、円安と株高を様々なアプローチで狙ってきた日銀からすれば、恵みの雨といったところでしょう。

この環境下で、さらに日銀が追加施策を打ってくるのか、それとも一旦円安・株高に落ち着いたのを機にこれまでの金融政策の出口戦略を練りに行くのかの見極めにも注目したいところです。

また、トランプ氏が選挙戦中の発言にどこまで本気で取り組んでくるのかを見極める必要がありますが、防衛関連企業の電機・機械セクターには今後注目される銘柄が出てくるでしょう。

さらに、これまでTPP関連で恩恵を受けると期待されていた食品セクターでの銘柄の動きには要注意ですが、長期的に見た場合はブランドが確立していて成長機会のある銘柄については買い時になるかもしれません。

今回の大統領選挙の前後で東証33業種の株価がどのように反応したか、関連企業にはどのような銘柄があるのかをさらに詳しく知りたい方は、Longineで分析をしていますのでご興味があればご参照ください。

――ありがとうございました。

【参考】

>>【トランプ後の新世界】株式市場は結局何を期待しているのか-33業種から分析

>>【トランプ大統領誕生】日本株で影響を受けそうなセクターと銘柄を考える

 

LIMO編集部