インフラ投資への注目が高まる

2016年11月11日付け日本経済新聞電子版に、トランプ次期大統領は「田中角栄さんみたいだ」という、半導体シリコンウエハー大手・SUMCO(3436)橋本眞幸会長の発言が紹介されていました。

トランプ氏のインフラ投資を積極化させる姿が、1970年代に田中角栄元首相が取り組んだ日本列島改造論と重なるという見立てです。また、積極財政論者の比喩として、あえて田中元首相が言及されたのは、最近の「角栄ブーム」とは無縁ではないと思われます。

こうした世の中の雰囲気に加え、最近は道路の陥没や送電線火災など、社会インフラの老朽化対策が待ったなしと感じさせる事故が多発しています。そのため、トランプ氏が日本の角栄ブームを再点火させるかはともかく、2017年は日本でもインフラ投資への注目が一段と高まることが予想されます。

官民連携による”稼ぐインフラ構築”が重要性を増す

とはいえ、インフラ投資をしようにも、先立つもの(お金)が無いことは日本もアメリカも同じです。国家財政に余裕がないためです。

そうした中で注目したいのが、PPP(Public Private Partnership)、つまり官民連携によるインフラ投資です。

具体的には、PFI(Private Finance Initiative:民間の資金、経営能力、技術力を活かして公共施設の建設・運営・維持管理を行うこと)や、DBO(Design Build Operation:公共部門が資金調達を行い、民間が公共施設の設計・建設・運営を行うこと)などがあります。

これらは、事業リスクを事前に査定して、税金だけではなく民間資金も投入し、投資に対するリターンを確保しながら行う「公共投資」のスキームです。

トランプ氏はビジネスマンであることから、借金を積み上げるだけのインフラ投資を行うとは考えにくく、おそらくTPP(環太平洋戦略的経済連携協定)には反対でも、一字違いのPPPには積極的に取り組むのではないかと推察されます。

財政が悪化する日本でも、こうした発想に基づく社会インフラへの投資がこれまで以上に望まれるところです。

PFIの活用に積極的なメタウォーター

では、日本では具体的にどのような分野や企業が官民連携のインフラ投資に携わっているのでしょうか。

その一例として挙げられるのが、2014年に東証1部に上場したメタウォーター(9551)です。同社の前身は富士電機(6504)と日本ガイシ(5333)の水環境事業部門で、主力事業は上下水道処理設備のEPC(設計・調達・建設)と管理運営事業です。

「水インフラ」を主力事業としていることで容易に想像できるように、同社の顧客の大半は自治体です。また、その自治体は高齢化による住民の減少などで財政に余裕はありません。

一方、水インフラは他の公共インフラ(鉄道、バス、郵便など)と異なり、利用者が減少してもやめられず、また、料金値上げも容易ではない「安定供給責任」が極めて高いインフラです。こうした制約条件下で同社が取り組んでいるのが、PFIなどPPPの積極的な活用なのです。

2017年は、これまで以上に老朽化したインフラへの投資の必要性が感じられる1年になると予想されますが、民間の知恵を取り込んだ”稼ぐインフラ投資”が活発化することを期待したいと思います。

なお、メタウォーターについて詳しく知りたい方は、個人投資家向け金融経済メディアLongine(ロンジン)のレポート『【メタウォーター(9551)は持続的な成長が期待できる水インフラ企業として注目開始(2016年01月29日推奨終了)】』をご参照ください(無料記事)。

 

和泉 美治