OPEC減産合意がラリーに水を差した一週間

先週(11月28日‐12月2日)の世界の株式市場はまちまちでしたが、主要国の株式市場は日本を除き軟調でした。週間騰落率は現地通貨ベースでTOPIXが+0.9%、米S&P500が▲1%、独DAXが▲1.7%、上海総合が▲0.6%でした。

経済指標は総じて堅調でした。特に米国では11月の雇用統計が継続的改善を示し、7‐9月期実質GDP成長率が上方修正されるなど金利上昇につながる指標が続きました。中国の製造業PMIもおおむねしっかりしている印象です。従来の基調が続いていると言えますが、ここにOPECによる減産合意が伝わり、裾野がひろがりつつあったラリーに水を差しました。

減産合意直後、市場は原油価格上昇、ドル高、米長期金利上昇という反応を示しました。しかし、このドル高・米長期金利高トレンドは、米国の雇用統計の消化やイタリアの国民投票に対する警戒感などから週末にはペースダウンに入ったようです。

株式市場も、日本は円安と銀行株高で上昇しましたが、米欧は下落しています。特に興味深いのは米国における物色動向で、銀行株や自動車株の上昇が目立つ一方で、ナスダック指数が▲2.7%下落しました。

 

先週の主要市場の動き

 注:現地通貨ベース、為替は円安がプラス、円高がマイナス

 

 

年初来の主要市場の動き

注:現地通貨ベース、為替は円安がプラス、円高がマイナス

 

アウトルック:ラリーは小休止か。銀行株の上昇余地が試されそう

今週(12月5日‐12月9日)は、まずはイタリアの国民投票の結果待ちとなりますが、トランプ氏当選後のラリーが小休止を続けるのか、銀行株が改めて相場をけん引するかが注目されそうです。

材料面ではECB理事会、米国の10月の製造業受注・耐久財受注、中国の11月の貿易収支などが想定されます。しかし、翌週に控えるFOMCに比べてそのインパクトは限定的になりそうです。

最大の材料と言えるのは、イタリアの憲法改正をめぐる国民投票の結果ではないでしょうか。この結果が同国の金融システムの強化策後退やEUに対する遠心力となる場合、世界的なリスクオフ相場になるのか、それとも欧州に限られたリスクオフ相場となり米国へ資金シフトが起きるのか、注目しておきたいと思います。

イタリアの国民投票が好感される内容の場合、次に考えたいのは相場の牽引役です。このところ米国の株式市場ではテクノロジー株の足取りの重さが気にかかります。米国の銀行株の上昇力が試されることになりそうです。

椎名 則夫