日経平均は一時、19,000円台に回復。連日の高値

2016年12月9日の東京株式市場で、日経平均株価の終値は、前日より230円90銭高の18,996円37銭となりました。1月4日に付けた年初来高値(18,951円)を上回り、一時、19,042円と、19,000円台に回復しました。取引時間中に19,000円台を付けたのは昨年の12月30日以来です。

4日にイタリアで実施された憲法改正の是非を問う国民投票で改憲反対派が勝利し、改憲派で欧州連合(EU)再建を唱えてきたレンツィ首相が辞意を表明しました。これにより、反EUの流れが広がるのではないかという懸念からリスク回避の動きが強まり、5日の日経平均も前週末比151円09銭安となりました。

ただし同日の欧米金融市場では、これも織り込み済みといった印象で、むしろ、イベント通過によってリスク選好の動きが再び強まり、相場は総じて上昇しました。これを受けて、6日には日経平均も反発。週末まで4連騰となりました。

トランプ次期米大統領の経済政策などへの期待から、米株高や円安・ドル高が続いています。9日の米株式市場ではダウ工業株30種平均など主要な米株価指数が連日で過去最高値を更新しました。同日のニューヨーク外国為替市場でも、円相場は大幅に続落し、1ドル=115円30銭前後で引けています。

来週の動きはどうなるでしょうか。注目されるのは、13~14日に開かれる米連邦公開市場委員会(FOMC)ですが、1年ぶりに追加利上げが行われるとみられています。欧州の不透明感も一歩後退といったところで、しばらくは世界的な株高、円安傾向は続くでしょう。

日本株についても先高観が強くなっています。買いも活発です。9日は株価指数先物・オプション12月物の特別清算指数(SQ)算出日だったとは言うものの、売買代金は3兆9,249億円と、高水準になっています。海外勢の資金流入も増えているようです。

高値圏で推移しているため、タイミングが難しいところですが、チャンスがあれば積極的に活かしたいものです。

イタリア国民投票の影響は小さく、力強く上昇

今週の動きをテクニカル面から見てみましょう。週初5日には、イタリアの国民投票の結果を受けて下落し、ローソク足の実体が5日移動平均線を下回るような形になりました。

このまま上値を押さえられるような動きなると18,000円付近までの下落もあるだけにその後の動きが懸念されたところでしたが、6日には再び5日移動平均線を上抜けました。さらに、7日、8日、9日と窓をあけて力強く上昇しました。

一段上を探る展開も、悩ましいエントリーポイント。調整があれば押し目を狙いたい

来週の動きはどうなるでしょうか。週初はまず、心理的な節目となる19,000円を再度超えるかどうか、超えた場合にサポートされるかどうかが意識されます。

足元はやはり上目線でしょう。19,000円で下値を支えられ、さらに一段上を探る展開になると考えられます。上値のめどとしては、2015年12月にもみあった19,100円前後になります。ここを抜けると節が少なく、20,000円や、2015年12月1日の高値(20,012円)まで視界が広がっています。

とは言うものの、どこでエントリーするか悩むところです。RSIや騰落レシオなどの指標はずっと過熱感を示しています(大幅な上昇局面ではそうなりがちです)。高値圏が続いていることから利益確定売りが出やすい状況です。ただし、少しでも調整が入るとすぐに押し目買いが入り、さらに上昇するといった動きが続いています。

押し目買いのチャンスとしては、12月1日の高値(18,746円)まで調整した後の跳ね返り、5日移動平均線(18,600円前後)にサポートされてからの反発などになるでしょう。

下原 一晃