日本人はお金に無頓着? 未換金の宝くじと休眠口座

年間500億円が銀行の利益となっていた休眠預金

換金されない宝くじ

師走になり、テレビで「年末ジャンボ宝くじ」のCMが目立つようになりました。年末の風物詩の1つですが、せっかく当たっても換金されないものが結構あるそうです。

たとえば、2015年12月のジャンボ宝くじでは、1億円以上の当たりくじ7本が未換金のままだとのことです(2016年11月末時点)。年末ジャンボだけにとどまらず、年に5回あるどのジャンボ宝くじでも、似たような状況のようです。

参考:時効当せん金について(宝くじ公式サイト)

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忘れてしまう、失くしてしまう、もらい物で気にとめていない、受け取るとかえって不幸になると恐れている等々、換金されない事情はいろいろ考えられるでしょう。こうした当選くじは1年が過ぎると失効してしまいますが、経済的利益に無頓着な人が一定の割合で存在していることを意味しているのかもしれません。

毎年発生する休眠口座から銀行が得ている利益は年間500億円

12月2日に「休眠預金活用法」という法律が参議院本会議で可決、成立しましたが、これも、経済的利益の機会逸失に関係する話かと思います。この法律は、金融機関で10年以上放置されたお金を(個人の私有から切り離して)民間の公益活動に充てるというものですが、具体的な制度設計はこれからのようです。

実際、毎年1,000億円くらいの休眠預金が発生するようです。ほとんどの金融機関は休眠状態になった後でも払い戻しに応じているので、その払い戻し分を差し引いた後の年500億円くらいが金融機関の利益となっていました。

今まではかなり無頓着でも、何とか取り戻せていた銀行口座の残高ですが、今後、「休眠預金活用法」の施行により、10年経過で確実に取り戻せなくなることも考えられます。

何をもって休眠口座とされるのか

それでは、何をもって休眠預金というのでしょうか。

銀行の預金には商法上の消滅時効が適用され、5年間権利行使がなかった場合に時効消滅します。信用金庫での預金は民法が適用され、10年で時効消滅とされます。なお、ゆうちょ銀行は途中で民営化した経緯もあり、2007年9月30日以前に預け入れて20年2カ月を経過している場合に、旧郵便貯金法の規定で払い戻しができなくなります。

いろいろ法律をまたがると分かりにくいためなのか、全国銀行協会では、「最終取引日より10年経過の1万円以上の口座に対し、10年経過した日から6カ月以内に通知を行い、それでも確認できずに2カ月経過した口座について銀行の利益とする」という通達を出しています。

ですが、あくまでガイドラインであり、実務上は時効消滅の10年を超えてもきちんと手続きすれば、払い戻しに応じているのがこれまでの主流でした。

また、金融機関ごとに独自のルールを設けているところもあります。

ユニークなのはりそな銀行です。2年以上、1度も預け入れまたは払い戻しがない普通預金口座を休眠口座と定義しています。

休眠口座になる少し前に郵便で案内をし、それでも一定期間取引がない場合に、休眠口座管理手数料を引き落とすとしています(残高が1万円以上の場合や、同一支店で定期預金や投資信託、外貨預金等の預け入れがある場合などは、引き落とされません)。もし手数料も引き落とせなくなると、解約となります。

りそな銀行のような例もありますが、きちんと手続きすれば、かなり長期間対応してもらえるという意味で、日本の金融機関は総じて優しかったと言えそうです。

海外では口座をアクティブにしておくには手間がかかる

米国やカナダ、オーストラリア等では、休眠預金を集約する仕組みができていて、一定期間動きがない口座は、早々に政府や自治体の管理に移ることが多いようです。

また、管理が移る前であっても、金融機関の方で口座がアクティブでないと判断すると、すぐに口座が凍結されます。

たとえば、ある銀行では、2年間引き下ろしや他口座への資金移動といった預金者のアクティブな行動がないとロックがかかります(お金が口座に振り込まれるのはアクティブな行動に見なされないことが多いです)。ロックがかかってしまうと、解除するために現地の店舗に行かざるを得なくなることすらあります。

海外の金融機関では、口座の開設以上に維持するための手間がかかるものです。

アクティブな口座に集約してすっきり気分で新年を迎えよう

今回の「休眠預金活用法」が成立しても、多くの人にはすぐに影響が出るものではないと思います。ただし、海外のように、今後は口座をアクティブな状態にするのに手間をかけなくてはならなくなる方向に向かうことが考えられます。

また、高齢者の増加等を背景に、口座がすぐにロックされるようなルールになると、動かしたい時にお金が動かせないといったトラブルが増えることも考えられます。

年末という季節柄、大掃除と一緒に、長年放置している口座がないか、届け出ている住所が最新のものになっているかを確かめてみるのはどうでしょう。また、めったに使わない口座は思い切って解約するのも一手です。口座の断捨離で、すっきりとした気分で新年を迎えられるのではないでしょうか。

 

藤野 敬太

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藤野 敬太

東京大学経済学部を卒業後、プライスウォーターハウスクーパースコンサルタント(現日本アイ・ビー・エム)等を経て、2001年から2013年まで、日興アセットマネジメントにて、アナリストおよびファンドマネージャーとして日本株ファンドの運用に従事。
現在は、オフィス・ラコルドの代表として、ファミリー向け・ファミリービジネス向けのコンサルティングおよびアドバイザー業務を展開する。
CFP(日本ファイナンシャル・プランナーズ協会認定)、1級ファイナンシャル・プランニング技能士、シニア・プライベートバンカー(日本証券アナリスト協会認定)。日本ファミリービジネスアドバイザー協会執行役員・フェロー