トヨタの2017年計画に透けて見えるのは景気の不透明感?

例年通りの保守的な計画だからこそ深く考えてしまう

トヨタ自動車が2017年暦年の販売・生産計画を発表

12月15日にトヨタ自動車が「2017年暦年の販売、生産計画について」を発表しました。トヨタは毎年12月の中旬以降に、翌年(暦年)の販売・生産計画を発表しています。

今から20年程前は、ほとんどの自動車メーカーが暦年計画を発表していました。しかし、暦年計画の発表を止める会社が徐々に増え、現在ではトヨタ1社だけになっています。

おそらく、各社とも社内では暦年計画を策定していると推測されますが、トヨタのような対外的に堂々と発表している自動車メーカーはありません。なお、トヨタは連結子会社であるダイハツ工業と日野自動車の分も合わせて発表しています。

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暦年の販売・生産計画の有益性はやや疑問

ただ、この暦年計画の有用性は高いとは言えません。それは、決算年度(4月~翌年3月)とリンクしないこと、計画の詳細(地域別など)が全くないこと等が理由です。また、公表される暦年計画が非常に保守的でザックリとした数字であることも一因です。

正直なところ、ないよりはあったほうがいい、という程度でしょうか。それもあってか、各社が次々に発表を止めたのだと考えらえます。

保守的な数字が多い暦年計画

トヨタが毎年発表する暦年計画は、基本的には販売・生産とも前年並み、もしくは、前年を多少上回るような計画が多いのが実情です。販売と生産はそれぞれ国内と海外に分けられており、年によっては国内外の内訳の強弱がありますが、合計すると結局は例年通りのパターンが続いてきたと思われます。

ただ、最近はVW社(ドイツ)と販売世界一を競っていたため、注目度は少し高まってきた印象はあります。

トヨタの2017年計画も例年通りコンサバティブな印象

さて、今回発表されたトヨタの2017年の計画は、グローバル販売は2016年実績見込み比101%、グローバル生産も同100%でした。ダイハツと日野自動車を加えたグループ全体でも、同じく101%と101%になっています。

平たく言えば、前年(2016年)を少しでも上回ることを目標にした計画ということになります。なお、グローバル販売は国内販売と海外販売の合計です。グローバル生産も同様です。

トランプ相場の“追い風”を考慮しているのか?

この暦年計画は、どの程度詳細に積み上げられた数字なのか分かりませんし、かなりアバウトな印象もあります。しかし、作成されたのは恐らく11月末以降と推測されます。

つまり、今回の米国大統領選のトランプ氏勝利による金融市場の変化を踏まえて作成された可能性が高いと言えます。ただ、足元の為替相場(117~118円/ドル)を、ある意味で都合よく解釈すれば、もっと強気な計画になっても不思議ではないと思われます。

それでも、微増の計画ということは、2017年の経済環境がどうなるのか“よくわからない”ということではないでしょうか。

国内の軽自動車市場は引き続き低迷するのか

もう一つ気になったのが、今年8月にトヨタの100%子会社になったダイハツの国内販売計画です。2017年の国内販売計画は2016年実績比で100%、横這いの計画です。

しかし、軽自動車市場の低迷により、2016年の国内販売は2015年比で▲7%減の非常に厳しい結果になる見込みです。

普通、これだけ減少すると、翌年は挽回を目指して強気の計画を掲げるものです。それでも横這い見通しというのは、国内の軽自動車市場の先行きに対して懸念を持っているものと考えられます。軽自動車だけで決められるものではありませんが、2017年の消費動向が心配になってしまうのは、少し考え過ぎでしょうか。

 

投信1編集部

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