【2017年世界経済】海外資産のリスクとチャンスはどこに?

リスクオンで新興国に投資妙味あり

2016年も年の瀬を迎え、2017年の展望が花盛りとなっています。来年の見通しを踏まえてポートフォリオのリバランスを検討している方も多いのではないでしょうか。

海外ETFの普及などから、最近ではポートフォリオに海外資産を組み入れることも珍しくなくなっています。そこで、今回は2017年の世界経済を展望すると、どのようなカントリーアロケーションが浮かび上がるのかを探ってみましょう。

なお、以下では便宜的に、投資対象国は日本を除くG7(米国、英国、ドイツ、フランス、イタリア、カナダ)とロシアを除くBRICs(中国、インド、ブラジル)の9カ国に限定しています。

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成長見通しと先行指数で基本情報をチェック

まずは、景気見通しの基本情報としてOECD(経済協力開発機構)の世界経済見通しと景気先行指数を確認してみましょう。

11月にOECDが公表した世界経済見通しでは、2017年の世界経済の成長率は+3.3%と、前回9月の+3.2%から0.1ポイント上方修正されました。また、2016年は+2.9%が見込まれていますので、今年から来年にかけて成長は加速する模様です。

このように、成長見通しが上下どちらに修正されたのか、そして加速するのか減速するのかを確認します。すると、今回は上方修正と加速が見込まれているので、流れはリスクオンだと判断できそうです。この場合、よりリスクの高い新興国に投資妙味があることを示唆しています。

見通しが大きく上方修正された国を挙げると、ブラジルが+0.3%と最も大きく、米国、ドイツ、英国、中国の+0.2%が続いています。一方、フランスとカナダは横ばい、インドは+0.1%上昇と修正は小幅にとどまっています。

今年と来年の成長率を比べると、ブラジルが+3.4%で加速スピードで他を圧倒しています。カナダの+0.9%、米国の+0.8%が続きますが、ドイツ、フランス、イタリア、インドは横ばいから小幅なプラスとなっています。一方、英国は▲0.8%、中国は▲0.3%と成長が鈍化する見通しです。

10月のOECD景気先行指数を見ると、前年同月比で最も大きく上昇しているのがブラジルで+4.4%、インドの+1.9%、カナダの+0.8%が続きます。ドイツ、フランス、中国は小幅な伸びにとどまっています。一方、イタリアは▲0.7%、米国が▲0.3%、英国が▲0.1%と、この3カ国は前年を下回っています。

以上の数字を機械的に当てはめて判断すると、ブラジル、カナダ、インドあたりの投資魅力が高いと言えそうです。一方、英国やイタリアへの投資は避けたほうがよさそうです。

各国の政治経済状況を確認

もちろん、経済指標を機械的に当てはめて判断するのではリスクが高く、実際の政治経済状況を確認する必要があります。

ブラジルから見ると、2016年の経済成長率が▲3.4%、2017年は0.0%と予想されており、景気後退からの脱却期にあることが分ります。8月にルセフ大統領の失職が決定し、その後を受けたテルメ新政権が経済改革を進めていることが評価されています。一方、政局が依然として不安定であることがリスクとなります。

カナダ経済は原油価格への依存度が強いことから、堅調見通しの背景には原油価格の回復があります。したがって、リスクも原油価格となり、減産で合意したOPECをはじめとする主要産油国が合意を遵守するのかどうかが注目されます。

インド経済は現在、11月に実施された高額紙幣廃止による混乱の真っ只中にあります。インドの成長率は+7.0%を超える高成長が続いていますが、目先的には+6%台に落ち込むことになりそうです。

2017年のリスクとして、ほとんどの専門家が欧州の政治リスクを挙げています。特にイタリアは12月に国民投票が否決され、政局が不安定となる中で、公的資金による銀行救済が不可避となり、金融システムにも不安を抱えていますので、最もリスクが高いと言えるでしょう。

4月から5月にかけて実施されるフランス大統領選挙、秋に予定されているドイツ総選挙では、極右勢力の台頭が懸念されており、欧州は全般的に波乱含みとなりそうです。

また、最近では人民元の下落が再びクローズアップされており、中国の外貨準備が大きく減少しています。住宅バブルが崩壊すると言われて久しい中国ですが、今年も“チャイナリスク”は健在な模様です。

タイミングの見極めも大切

経済や政治の動きはすでに織り込まれている可能性がありますので、実際の株価指数の動きを確認して投資のタイミングを見極めることも重要です。

トランプノミクスで力強い成長が期待されている米国ですが、新政権の実力はまだ未知数であるにもかかわらず、トランプラリーで既に株価は上昇しており、“バスに乗り遅れた”観は否めません。タイミング的には冷静に押し目を待ちたいところです。

同様に、安定成長が見込まれるドイツも最近のユーロ安を追い風に、米国を上回るスピードで株価が上昇しています。一方、イタリアは国民投票のイベント通過で株価が急反発していますので、アンダーウェイトするならよいタイミングに見えます。

逆に、ブラジルはドル高による新興国からの資本流出懸念で株価が軟調に転じており、押し目買いのチャンスかも知れません。同様に、高額紙幣廃止に揺れるインドも買い場を探る局面と言えるでしょう。

ブラジルやイタリアといった国にピンポイントで投資をするのはちょっとリスクが高いと思われるかも知れません。また、メジャーな国ではありませんので投資がしにくい場合もあるでしょう。

このような場合、中南米や新興国で構成されたファンドをオーバーウェイトし、ユーロ圏や欧州を中心とした株価指数に連動したファンドをアンダーウェイトするといったリバランスも選択肢の1つとなりそうです。

トランプ新政権への期待はく落、欧州での政治不安、中国経済のハードランディングが2017年のリスク3本柱となりそうですので、米欧中の動きを注視し、世界経済の見通しが怪しくなった場合には臨機応変に対応する心構えも必要かも知れません。

 

投信1編集部

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投信1編集部

投信1編集部は、証券アナリストやファンドマネージャーとして長年の調査経験を持つメンバーで構成されており、金融・経済ニュースや投資に関する知識・アイデアをわかりやすくお届けします。