長く続けるためにも、始めた後のサポートが充実したファンドを

三菱UFJ国際投信 山口裕士氏、四方利祐氏

NISAやiDeCo(個人型確定拠出年金)、積立NISA構想など様々な制度に後押しされ、ようやく投資家のすそ野拡大に向けた環境が整ってきています。

「預金から投資への流れが感じられる今、『eMAXIS最適化バランス』シリーズがおすすめ」と山口氏は言います。

eMAXIS最適化バランスシリーズはいわゆるバランスファンドのシリーズですが、投資家のリスク許容度に応じて5つの投信が用意されています。この中から個々人が最適な投信を選んで続けていけるように、初めての方向けにお薦めのファンドを提案するツール「ポートスター」と、長く投資を続けるためのお役立ちサイト「ポートステーション」が用意されています。

もう1つのお薦めとして四方氏が挙げてくれたのは「日本配当追求株ファンド(価格変動抑制型)(愛称:はいとう日本)」です。

価格変動のブレを抑えながらも配当による安定した収益の積み上げを目指している点が好評のようです。預金から投資への移行を検討されている方に適した投信かもしれません。

低コストの背景は歴史にあり

アセットマネジメントOne 陽田菜穂氏

陽田氏が薦めるのがアセットマネジメントOneのインデックスファンドの「たわらノーロード」シリーズです。

このシリーズは、国内・先進国・新興国それぞれに対して株式・債券・リートのインデックスファンドと、金融工学を用いて運用されるファンド(たわらノーロードplus)で構成され、その種類の豊富さと信託報酬の低さが注目されています。

一見、純資産総額の規模が小さく見えますが、陽田氏は「たわらノーロードシリーズはそれぞれのマザーファンドがあり、そのファミリーファンド形式で運用されていることを強調したい」と言います。たとえば、たわらノーロード先進国株式の純資産総額は55億円ですが、そのマザーファンドは約2,700億円(2016年11月末時点)。同投信シリーズの低コストの背景は、同社が機関投資家向けサービスとその規模の恩恵を受けていることにあると言えます。

陽田氏が薦めるもう1つの投信が「投資のソムリエ」です。同投信は国内外の株式や債券、REITなどの8資産に分散投資をするいわゆるバランス型ファンドですが、特徴的なのは「機動的配分戦略」です。その戦略では、市場の局面を分類することでリスク資産と安全資産の配分を機動的に入れ替えます。下げ相場の時に資産をしっかりと守るというコンセプトです。2016年のような相場変動のイベントが多い環境では、特にその特徴が活きるようです。

インフレに負けない準備、済ませましたか?

ピクテ投信投資顧問 小田嶋康博氏

「預金の代わりに、リスクを抑えながらインフレ率程度の利回りを安定的に稼ぎたいという『欲張らない投資』を目指す方向け」と断りつつ、小田嶋氏が自信を持つ投信は「ピクテ・マルチアセット・アロケーション・ファンド(愛称:クアトロ)」です。

インフレ率に「負けない運用」は、世界有数のプライベートバンクであるピクテの得意分野とのこと。これまで培ってきた超富裕層向け資産運用のノウハウを活かし、①グローバル分散投資、②魅力的な運用戦略への投資、③機動的な資産配分変更、④最新の投資手法の活用、という4つ(クアトロ)の戦略を実践している投資信託です。
 
その一方で、価格変動リスクを取ってより高いリターンを狙いたい方、長期投資が可能な方には「iTrustロボ」がお薦めという小田嶋氏。

ロボット市場は先進国の高齢化と技術革新によって、製造、医療・サービス、輸送・物流といった幅広い分野で市場拡大が期待されています。「iTrustロボ」は、ロボティクス市場の伸びを業績と株価に反映できる銘柄をグローバル株からボトムアップで洗い出し、投資をしている投信です。

今、株式という柱を立てる時

日興アセットマネジメント 今福啓之氏

「株式という柱を立てる」という考え方が重要だという今福氏。その背景には、株価が短期的には乱高下しているように見えても、長期で見れば世界経済は拡大し、たとえば先進国の株式指数は右肩上がりだったという事実があります。将来、資産がしっかり増えているように、また、自分の夢を実現するために必要な資金を確保するためにはグローバル資産への投資は外せないポイントというわけです。

そうした考えの下に、今福氏は「グローバル・ロボティクス株式ファンド」を薦めます。同投信は、グローバルで成長性の高いロボティクス分野の株式に投資をしています。

今福氏が「ちょっとこだわり派向け」として2本目に薦めるのが「先進国資本エマージング株式ファンド(愛称:リード・ストック)」です。新興国市場のリスク、たとえばコーポレート・ガバナンス・リスクをコントロールしながら高い成長を取り込むため、先進国企業が出資している新興国企業の株式に分散投資する戦略を取っています。日本のスズキがインドに持つマルチ・スズキ・インディアなどがその例です。

また、より安定的に資産形成を考える方には「ファイン・ブレンド」もお薦めしたいとのこと。

統合型リゾート(IR)がテーマ。家族で未来を考えるのにお薦めの1本

三井住友アセットマネジメント 宗正彰氏

宗正氏がお薦めする投信は、「YOURMIRAI ワールド・リゾート」。 統合型リゾート(IR)法案が日本で成立することを予測して2年前につくられたといいます。日本でグローバルにIR銘柄へ投資するファンドは、現時点ではこの1本だけであり、最大の特徴とのこと。

統合型リゾートは、テーマパークや国際会議場、ホテルなどの家族で楽しめる複合施設なので経済効果が高く、インバウンド効果も見込めます。

現在、組み入れている国・地域のうち、日本の割合はアメリカに次ぎ第2位。日本にはスロットマシーンなどカジノ関連製品を輸出する企業もあり、IRによって日本の技術が日本で使えるようになるという見方もできます。

ちなみに、YOURMIRAIは“あなたの未来のために”というコンセプトのシリーズです。昨今「YOURMIRAI フレキシブル・ボンドアロケーション」に対する問い合わせも増えていると言う宗正氏。

これは日本初のIFA(金融商品仲介業)事業者向けファンドです。リキッド・オルタナティブという手法を用いた、欧米では長期の資産形成に必ず組み入れられるファンドですが、同様のファンドは現時点では日本にこれしかないとのこと。ファンドに詳しい方にも好評のようです。

相場の上げ下げが気になる方、パフォーマンス重視の方は注目

大和住銀投信投資顧問 栢光昭氏

栢(かや)氏が長期の資産形成という前提でお勧めするのは「ひとくふう先進国株式ファンド」です。このファンドは先進国株式のインデックスにそのまま投資するのではなく、その構成銘柄の株価の割安・割高を吟味し、ポートフォリオの値動きを相対的に抑えるようにひと工夫して運用しています。

同氏によれば「株式市場の下げ局面にも強く、上げ相場にもしっかりとついていこうというコンセプトであることと、低コストであることは、これから資産形成を始める投資家層が長期投資を考える際にも効率的」と言います。

また、栢氏がこれまでのパフォーマンスから今後も注目の投信として挙げるのが「J-Stock アクティブ・オープン」です。徹底したボトムアップリサーチを軸に、結果として高パフォーマンスが出ている投信です。運用を担当するのは、業界内でも知らない人は少ないのでは、という凄腕ファンドマネージャーです。

最後に、米国経済に注目されている方へ栢氏がお薦めしたいという投信は「米国コア・バランス・ファンド(愛称:USヒーロー)」。米国株と米国債券をブレンドした投信で、米国経済に期待をしつつも全部株式だけでは不安という方は検討してよいかもしれません。

実名では言えないけれど…実はこのファンド、気になってます!

今回の取材では、各社の担当者に「他社の気になる(いいなと思う)ファンド」もあわせて聞いてみました。