年末から年初のこの時期は「相場見通し」に関するレポートが多く発行され、さながら「情報洪水」の様相です。ただでさえ忙しい中、あまりにも多くの情報がありすぎて手が付けられないという個人投資家も多いのではと考え、2017年を考える上で押さえておくべきポイントを以下の4記事から整理してみました。

日本株にとって最大の関心事は米国の金利動向

1月20日に発足するトランプ新政権は、どのような政策を打ち出すでしょうか。世界中が注目するところですが、現時点では「積極財政・高成長・高インフレ・高金利」に向かう政策が打ち出されるであろうことが市場のコンセンサスとなっています。

また、米国金利がどこまで上昇するのかは日本にとっても他人事ではありません。その理由は、以下の記事にあるように、「ドルは米金利が各国金利に比べて相対的に高い時期に買われ、円安となるため」であり、日経平均株価は円安になると上昇するからです。

加えて、「日銀による長期金利の固定操作は、デフレのうちは緩和縮小(テーパリング)だが、インフレになるとヘリコプターマネーになる」という興味深い指摘がなされています。

つまり、日銀が現在の緩和策を続け、アメリカがその政策を容認している限り、円安傾向が続くことが期待できるということになります。”ヘリコプターマネー”は危険な試みかもしれませんが、日本の株式などのリスク資産の大幅な上昇、つまりバブルを引き起こすことも考えられるので、今後の日銀の金融政策にも注目したいところです。

もちろん、そうした円安政策をトランプ新政権が容認し続けるのか、また、アメリカの景気が金利の大幅な上昇により腰折れするリスクはないのかなどを考慮する必要があります。当面は、米国金利がどこまで上昇するのかに最大の注意を払いたいと思います。

出所:第484回 「2017年のドル/円相場見通し【通貨の動きを説明できるファクターは1つしかない】」(楽天証券)
出所:2万ドル直前のNYダウ 金利上昇にどこまで耐える?(楽天証券)

潜在的な中国リスクも注意したい

1月4日の大発会の日経平均は大幅高となりました。その前日の3日から取引が開始されたアジア・中国市場も総じて上昇し、明るいスタートとなりました。

これは、1月1日に発表された中国の製造業PMIが堅調であったのが一因です。昨年は同指標の悪化でスタートし、そのことが2016年前半の世界的な株安のきっかけになったので、ほっと一安心といったところです。

とはいえ、2017年の動向を占う上で中国経済の行方から目を離すことはできません。この記事では注視すべき中国のリスクとして、1)中国の成長率の鈍化、2)過剰債務問題、3)米国トランプ次期大統領の対中国政策の3点を指摘しています。

これらのリスクが、いつ、どのように顕在化していくかを正確に予測することは現時点では困難です。しかし、リスクが顕在化した場合は、2016年前半の下げ相場を思い出すまでもなく、世界的に金融市場の攪乱要因となる可能性が高いため、中国の動向のチェックも忘れないでおきたいと思います。

出所:【中国PMI】2017年取引初日、昨年の二の舞は避けられたが(投信1)

政治イベントはリスクでもありチャンスでもある

2016年は政治イベントに振り回された1年でしたが、2017年も無視できない政治イベントが相次ぎます。

具体的には、トランプ次期米大統領の就任、米国予算教書の発表、オランダ総選挙、英国のEU離脱通知期限、フランス大統領選、ドイツの連邦議会選挙、中国共産党大会開催、日本の衆議院選挙などですが、悩ましいのは政治イベントの結果予測が、昨年来、非常に難しくなっていることです。

とはいえ、この記事で指摘されているように、「選挙においては、格差など経済的な問題が人々の投票行動を決める大きな要因になると思われることから、金融政策・財政政策・構造改革などが景気を安定・加速させ、企業収益を改善させ、株式などのリスク資産価格を上昇させるエンジンとなる可能性」も考えられます。

とりわけ、米国や日本では雇用情勢が逼迫しているので、政策次第で「賃金の上昇→個人消費回復→(消費回復に対応するための)企業の設備投資回復という好循環」が生まれると期待することもできます。

このため、政治イベントを過度に警戒するだけではなく、それをきっかけにしたポジティブな変化の可能性にも目を向けたいと思います。

出所:「柏原延行」の Market View (アセットマネジメントOne)

 

LIMO編集部