5Gに中国が大型投資-日本の通信大手は3Gの轍を踏まないか?

5G関連銘柄が広がっていくために必要なこと

5G関連銘柄としてアンリツなどが買われる

2017年1月6日付け日本経済新聞は、「中国通信大手3社は2020年までに3千億元(約5兆円)規模を投じ、次世代の無線通信規格である第5世代(5G)の通信網を整備する」と報じました。

このニュースを手掛かりに、通信機用テスターのアンリツ(6754)及びアルチザネットワークス(6778)、システム開発を行うアイレックス(6944)などの5G関連銘柄の株価が急上昇しました。

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そもそも5Gとは

では、そもそも5Gとはどのようなものなのでしょうか。また、現在の主流である4Gとはどこが違うのでしょうか。

そこで今回は、個人投資家向け金融経済メディアLongine(ロンジン)のレポート『【5Gとは何か? 投資機会を探る】』を参考に、5Gとはどのような技術なのかを見ていきたいと思います。

このレポートによると、5Gの特色は高速大容量、同時多接続、低遅延にあるとのことです。まず、高速大容量というのは通信の“サクサク感”がさらに高まるということで誰でもイメージしやすいと思います。

一方、同時多接続というのは少し馴染みがない言葉かもしれませんが、オリンピックスタジアムなど大勢の人が集まる場所でも同時アクセスが可能になるということです。

また、低遅延というのは、自動運転車のブレーキ制御や触覚デバイスを活用した遠隔手術などで発揮されるスペック(性能)ということになります。

つまり、5Gが実現すると、スマホで4K動画のようなリッチコンテンツを、新国立競技場のような数万規模の人数を収容する場所で観客が一斉に同時にアクセスしたとしてもパンクしない、堅牢なモバイルネットワークを作ることが可能になります。

また、触覚通信、AR(拡張現実)、リアルタイム翻訳機能なども、現在のものよりもさらに性能がアップします。

このように、5Gはスマホの高速化・高機能化だけではなく、IoTを活用した「全てがつながる社会」に向けた新しいネットワークソリューションの実現にも寄与することになるのです。

5G関連銘柄が広がるために必要なこと

こうして見ると、5Gはこれからの暮らしや社会を大きく変えていくポテンシャルがあることがわかります。また、できれば2020年の東京オリンピックまでには準備を整え、多くの外国人の方に日本の通信技術をアピールできればと期待せずにはいられません。

ただ、やや気掛かりなのは、今日の5Gのニュースで注目された銘柄が、開発用テスターを製造するメーカーなどのどちらかと言えば中小型株ばかりで、NTTドコモ(9437)、NEC(6701)、富士通(6702)などの大型株にまで物色が広がらなかったことです。

おそらく、その理由は、5Gは現時点ではまだ開発段階であり、国際標準として確立していないことが大きいと思われます。

また、上述のLongineのレポートにあるように、3Gは日本で最初に商用化したのにもかかわらず、NECや富士通などのベンダーが海外市場をビジネスチャンスとすることができなかったように、5Gでも同じことが繰り返されると株式市場は懸念しているのかもしれません。

いずれにせよ、5Gの開発競争はまだ始まったばかりで、現時点で勝敗が決まったわけではありません。このため、今後は開発動向だけではなく、国際標準の動きや、そこで日本メーカーが優位なポジションを確保するための取り組みなどにも注目していきたいと思います。

 

和泉 美治

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和泉 美治

同志社大学文学部卒業後、エルコインターナショナル (現:京セラエルコ) に入社。英国バーミンガム大学にてMBA取得。
その後UBSフィリップスアンドドリュー証券 (現:UBS証券) に入社し、調査部にてエレクトロニクスセクターを担当。2002年より2013年までJ.P.モルガンにて産業用エレクトロニクス及び民生エレクトロニクスセクターを担当。
日本証券アナリスト協会検定会員。