アンリツ株、中国の次世代通信規格への大型投資で目覚める

通信系計測器の世界大手、アンリツ(6754)の株価が出直りはじめました。きっかけは2017年1月6日付けの日本経済新聞が、中国の通信大手が次世代無線通信規格(5G)の大型投資を進めると報道したことです。

株価の推移を振り返る前に、業績の推移を押さえておきましょう。同社の当期純利益は2013年3月期に140億円の最高益を計上後、減益が続き2016年3月期は38億円にまで縮小しました。さらに、2017年3月期の会社計画は10億円まで減少するとされています。

次に、過去5年間の株価推移をチャートで確認してみます。

アンリツ(6754)の過去5年間の株価推移

ご覧の通り、株価も2013年春まで1,500円を超えていましたが、その後は一貫して下落基調にありました。

株価反騰の兆しが出た

同社は5Gに対する投資拡大や成長期待の大きいIoT、自動車関連の通信といった領域を成長ドライバーと位置付け、そのテストソリューションを提供する準備を着々と進めてきました。加えて、お膝元の日本でも2020年の東京オリンピックで5Gの商用化が期待されています。

このような背景があったため、先ほどの中国の投資の報道が株式市場に好感されたのだと思います。

最近の株価の動向を見るため、2017年1月6日から2年間、株価を遡ってみましょう。

アンリツ(6754)の過去2年間の株価推移

いかがでしょうか。中国の投資の報道が好感され、株価のトレンドが転換点を迎えた様子がおわかりになると思います。

赤線の13週移動平均線が、青の26週移動平均線を出来高を伴って上回ってきたことが見て取れます。これを一般にゴールデンクロスと言い、テクニカル分析では「買いシグナル」と考えられています。さらに、2015年6月からの下降するトレンドを上抜けたように見えますので、息の長い株価の上昇が期待できそうです。

当面の上値めどは730円?

では、株価の上値めどをチャートから考えてみましょう。

株価は、2016年10月末の540円の水準から2016年12月19日の640円水準まで約+100円上昇し、その後2016年12月26日に630円水準まで調整し、改めて急騰を再開しています。この630円に、先ほどの+100円上昇を加えた730円が当面の上値になりそうです。

上の2つ目のチャートをよく見ていただくと、株価は2015年に800円をはさんで一進一退を繰り返していました。特に750円から850円のあたりは滞留期間が長いので、このレンジを上抜けていくにはもう1つ新たな材料が必要になりそうです。

通信関係の投資については久しぶりに明るい話題が出ました。同社株価が1,500円に戻るような好材料が続くことを期待して待ちたいと思います。

 

LIMO編集部