入学定員割れや”営業赤字”の深刻化で崖っぷちの私立大学

センター試験を控えた今、大学経営の実情を探ってみた

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センター試験を控えた受験生にクリスマスも正月もない

年末年始の長期休暇、及び、成人の日を含めた3連休が終わり、ようやく日常生活に戻りつつある人も多いでしょう。しかし、年末年始も最初の3連休も関係なく、それまでと変わらない日常を続けていたと思われるのが受験生です。

特に、1月中旬に大学入試センター試験(以下「センター試験」)を控える受験生には、“最後の総仕上げ”、“ラストスパート”の時期に当たるクリスマスやお正月、その華やいだムードは一切関係ないのかもしれません。

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実際、街のあちこちで参考書片手に勉強する若者を多く見かけますが、この光景は今も昔も変わっていないようです。

センター試験の日は悪天候の予報、試験会場には余裕を持って

2017年のセンター試験は、1月14日(土)と15日(日)に実施されます。最新の天気予報によれば、今年最大級の寒波が迫っているため、両日とも北日本や西日本地域で大荒れの天候となるようです。

試験で実力を十分に発揮するためには、体調管理に留意することは当然として、時間的な余裕を持って着席することも重要です。遅刻は問題外ですし、試験開始直前に到着しているようでは、その時点で勝負は終わっています。悪天候による交通機関の混乱は、いっさい理由になりません。

こうして大学受験シーズンが始まるわけですが、少子化が年々と顕著になる中、大学の経営状況はどうなっているのでしょうか。

少子化が進む中、何と私立大学の半数近くが入学定員割れ

文部科学省が公表した「私立大学の経営状況について(概要)」では、入学者数の減少が顕著であることが見て取れます。

入学定員に対する入学者数の割合(以下「入学定員充足率」)を見てみましょう。これが100%超となった(つまり、定員割れしていない)大学の割合は、平成6年度の95.3%に対して、20年後の平成26年度は54.2%にまで大幅低下しています。

ザックリ言えば、私立大学の半分近くは定員割れしていることになります。未発表の平成27年度は、さらに低下しているかもしれません。

出所:文部科学省「入学定員に対する入学者数の割合」

2割超の私立大学では、入学定員の8割を確保できず

次に、入学定員充足率のハードルを80%に下げてみます。文科省は、入学定員の8割入学を1つの判断基準にしているようです。“定員の8割確保できればよし”ということでしょうか。

すると、平成6年度は99.5%とほぼ全校が満たしたのに対して、平成26年度は78.9%に低下しました。これは、全体の2割超の私立大学で、入学定員に▲20%以上の欠員が生じたことを意味します。

恐らくここ数年は、多くの大学が入試の合格ラインを引き下げる等して、受験生に下駄を履かせた可能性があります。それでも、こうした厳しい結果が出ているのです。

大学の収支状況を「帰属収支差額」で見てみる

さらに、私立大学の収支状況を見てみましょう。ここでは、帰属収入(納入学費、寄付金、補助金等)から支出(人件費、教育研究費、減価償却費などほぼ全ての費用)を差し引いた「帰属収支差額」が重要です。

これは、事業会社の“営業利益”に近いものと考えていいでしょう。

4割弱の私立大学が“営業赤字”の状態に

この帰属収支差額がマイナスの大学、つまり、運営費用を学費収入等で賄えない大学は、平成4年度の52校(全体に占める割合13.8%)に対して、その21年後の平成25年度は215校(同36.3%)へと増加しています。全体の約4割弱が“営業赤字”という状況です。

また、帰属収支額に対する割合(=帰属収支差額比率、全学合計)は、同じく19.5%から5.4%へ大幅に悪化しました。事業会社に例えれば、営業利益率が21年間で3分の1未満に悪化したということでしょう。

『大学の2018年(平成30年)問題』が追い打ちをかける

こうした収支状況を見ると、学生数の減少が大学の経営状況を大きく悪化させてきたことが明確に分かります。そして、これにさらなる追い打ちをかけそうなのが、『大学の2018年(平成30年)問題』です。

これは、18歳人口の減少と大学進学率の頭打ちにより、2018年から大学志願者数の大幅減少が予測される問題を指しています。仮に、大学側が入試合格ラインをもう一段引き下げても、入学者数が一層減少することは不可避と言われています。

大学に対するニーズが大幅低下したわけではない

さて、冒頭に話題となったセンター試験ですが、意外や意外、受験者数はさほど減っていません。平成26年度実績の53万2千人は、過去最高となった平成15年度の55万6千人から▲4%減に止まっています。

センター試験の採用に踏み切る私立大学が増えたこともありますが、(私立に比べて)学費の安い国公立大学への強い志向が感じられます。いずれにせよ、大学に対するニーズが急速に低下しているわけではなさそうです。その分、大学側の“経営努力”や“経営手腕”が問われる時代になったことは間違いなさそうです。

何はともあれ、受験生の健闘を祈念します。

 

投信1編集部

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