【逆張り投資】安値拾いは恥ではないが、役に立つのか?

2016年の騰落率1位はブラジル、では最下位は?

Alf Ribeiro / Shutterstock, Inc.

投資を始めるのなら割安な銘柄を購入したいと考えるのが人情というもの。とはいえ、単純に値下がりした銘柄を買えばよいわけではありません。世界における2016年の勝者と敗者を振り返り、2017年の投資戦略を考えてみましょう。

2016年の騰落率1位はブラジル、では最下位は?

2016年に最も上昇したのはブラジルのボベスパ指数で+63%、ロシアのRTSが+50%で続きました。ブラジルではルセフ前大統領が罷免され、テメル新大統領による政治的安定とリセッションからの脱出が期待されました。ロシアは国家収入の大半を石油・ガスが占めていることから、エネルギー価格の上昇がそのまま反映された格好です。

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原油価格上昇の恩恵は他の産油国にも波及しており、カナダとノルウェーの株価は共に+20%程度まで達しています。意外なところでは英国が+14%と大きく上昇しました。英EU離脱でポンドが大きく下落したことから、輸出企業を中心に株価が堅調となりました。

一方、最も大きく下落したのがナイジェリアで-41%。武装勢力による石油パイプラインの破壊活動などで海外からの投資が振るわず、20数年ぶりに景気が後退する見通しです。主要国では中国が-19%、イタリアが-13%と大きく下げています。

商品では原油、通貨はレアルがそれぞれトップに

株価指数以外に目を向けると、商品では原油価格が+45%と他を圧倒しました。ただし、ややマイナーなところでは、天然ガスが+60%と原油を上回る伸びとなりました。一方、農産物には厳しい1年となり、小麦が-13%、コーンは-2%と値を下げています。

通貨では、対ドルで見るとブラジル・レアルが+21%、南アフリカ・ランドが+12%となりました。この2通貨は頭が一つ抜けており、3番手の日本円は+2%となっています。一方、英ポンドとメキシコ・ペソが共に-17%となり、最弱通貨を争いました。

ダウ平均銘柄では逆張りは有効?

ダウ平均構成銘柄のうち、前年のパフォーマンスが低い銘柄が高い銘柄を翌年にアウトパフォームする傾向にあることはよく知られた話です。もちろん、ワースト銘柄がベスト銘柄を“必ず”アウトパフォームするわけではありません。あくまで傾向としての話です。

たとえば、過去6年の平均値で見ると、前年ワースト銘柄の翌年の騰落率は+20%とベスト銘柄の+9%を大きく上回っています。

2015年のワースト銘柄だったウォルマート(ティッカー:WMT、以下同)は、同年の-27%から2016年は+16%へと急回復しています。一方、2015年ベストのナイキ(NKE)は+31%から2016年は-17%に転落しています。

ダウ銘柄では、2016年のボトム圏にいたのがコカコーラ(CO)とウォルト・ディズニー(DIS)です。一方、トップ集団を形成したのはキャタピラー(CAT)、ユナイテッド・ヘルス(UNH)、シェブロン(CVX)でした。

まずは“ギャンブラーの誤謬”を理解する

2016年を踏まえて、2017年の投資を展望する場合には、まず“ギャンブラーの誤謬”を頭に入れる必要があるでしょう。

ギャンブラーの誤謬とは、簡単に言うと、投資家は無意識に平均への回帰を期待しているということです。具体的には、株価が3日連続で上昇すると、“そろそろ”下がると考える傾向にあるということです。

投資家の心理を研究している行動ファイナンスでは、平均への回帰には懐疑的です。相場の話だと分かりづらいのですが、コインを9回投げて9回とも表が出た場合、10回目に表が出る確率を考えると理解しやすいでしょう。10回目に表が出る確率は2分の1なのですが、それまで9回連続で表が出たことを知っている人は、“そろそろ”裏が出るはずだと思いがちです。

”下がったから買い”は危険

2016年に大きく値上がりしたブラジルと原油の2015年のパフォーマンスを見ると、ブラジルが-43%、原油が-30%となっており、逆張り戦術が的中したことを示唆しています。

ところが、2014年を見ると、ブラジルが-17%、原油が-46%と急落しています。したがって、2014年に大きく下げたブラジルと原油を2015年に買っていた場合、2016年が始まる頃には資産の大半を失っていたことになります。

つまり、単純に“下がったから買い”というのではやはり危険ということです。ブラジルにしても原油にしても、何かをきっかけとして反発しており、ブラジルで言えば政権交代の動きであり、原油であれば産油国による生産調整の動きであったわけです。

2016年の勝ち組はブラジル、ロシア、カナダ、ノルウェイ、英国で、負け組は中国とイタリアとなりました。投資対象国としては中国とイタリアが魅力的とは言えますが、中国では人民元、イタリアでは不良債権が警戒されていますので、これらの動きにアンテナを張る必要がありそうです。

トランプ次期大統領は英国がEU離脱を選択したことを「素晴らしいことだ」と述べていますが、その理由として、ポンドが下落したことを挙げています。米国がドル安を模索するのであれば、ドルの下落に賭けてみるのも価値があるかも知れません。

“後の雁が先になる”との故事は投資アドバイスとしても示唆に富むのですが、ファンダメンタルズを疎かにしてよいわけではありませんので、必要な情報はしっかりと収集したいところです。

 

投信1編集部

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投信1編集部は、証券アナリストやファンドマネージャーとして長年の調査経験を持つメンバーで構成されており、金融・経済ニュースや投資に関する知識・アイデアをわかりやすくお届けします。