【攻防】日本郵政、政府の追加売却決定で死守すべき1,400円

中長期で中核となる日本郵便の採算改善は待ったなし

TK Kurikawa / Shutterstock, Inc.

財務省、日本郵政株の第二次売出しへ

財務省は2017年1月16日、保有する日本郵政(6178)の第二次売出しをするため、主幹事証券会社の選定手続きを実施すると発表しました。

財務省は2015年に第一次売出しを行い、現在同社株の80%を保有しています。2017年1月17日の日本経済新聞などによれば、1兆円を超える大型調達を検討している模様で、日本郵政株だけではなく日本の株式市場全体にも需給面で大いに影響を及ぼしそうです。

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発表後株価は▲5%急落、その後は落ち着きつつある

この報を受けて、日本郵政の株価は2017年1月16日に対前営業日終値比▲5%下落し、1,408円で引けました。翌17日はいったん急落は止まり、ほぼ横ばいで推移しています。

ここでは、まず上場以来の株価の推移を確認しておきましょう。

日本郵政(6178)の過去2年間の株価推移

いかがでしょうか。上場直後は1,800円から2,000円あった株価ですが、その後1,200円割れを経験し、ようやく出戻りつつある矢先の今回の発表です。財務省もさすがに株価の推移をよく見守っています。

日本郵政は1,400円が死守ライン

上場直後のハネムーンの時期を除けば、株価は1,400円をはさんで推移していることが先ほどのチャートから読み取れます。

その理由は、上場時の売出し価格が1,400円だったからだと考えられます。特に、個人株主で上場以来同社株を保有し続けているなら、株価がこれを下回るときは1,400円で「やれやれ売り」を出したと思います。逆に株価が1,400円を上回っている場合は、1,400円まで下落した時に買いを入れていたのではないでしょうか。

2016年9月現在の株主数は55万人を超えていますので、非常に多くの個人投資家が同社株を保有していると思います。上場時に1,400円で入手した方も多いのではないでしょうか。したがって、次の売出しを1,400円を下回る株価で実施すれば、現在の個人株主に損をした気分が広がる危険性があります。当然、経営者に対する視線も厳しくなります。

日本郵政側は何としても業績を改善し、株式市場の評価を高めておく必要があります。

課題は中核事業の日本郵便

日本郵政の主要子会社は日本郵便、ゆうちょ銀行、かんぽ生命保険ですが、2017年3月期の会社計画を見ると、経常利益7,700億円のうち実に95%がゆうちょ銀行とかんぽ生命保険の寄与分となっています。しかし、ご承知の通り、日本郵政はこれら2社の持ち分を将来減らしていくことが義務付けられています。よって、日本郵便の収益の自立が必要です。

そこで日本郵便の収益構造を紐解くと、金融窓口事業である銀行手数料や保険手数料が屋台骨となっており、郵便・物流事業や国際物流事業は日本郵便を支えるだけの体質にはなっていません。内外郵便・物流事業における抜本的な収益力強化は待ったなしです。

日本郵政株は配当利回りが3.6%と高く、PBRは約0.4倍と株価の下値不安は想定的に低いと認識されていると思われます。しかし、会社はこれに甘んじることなく企業価値をすばやく高めていく必要がありそうです。財務省の第二次売出しが成功するよう、上場時に同社に期待した個人株主がしっかり報われる状況が早く訪れてほしいと思います。

 

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