現場の味方。工具のCMで有名な高収益企業、モノタロウを大解剖

モノタロウの成り立ち、ビジネスモデル、株価、業績を徹底解説

Hirojin taja / WIKIMEDIA COMMONS

モノタロウ、不思議な名前の会社ですが、実はこの会社、2011年から5年間の売上高が約3倍、営業利益が約5倍に拡大している高収益成長企業です。

2拍子の行進曲調の音楽が流れるテレビCMで社名をご存じの方も多いかと思いますが、主力事業は現場で使う工具などを扱うネット通販です。工具のアマゾンといえばわかりやすいですが、工具などの間接資材をネットで販売することに誰よりも早く目を付け、また、誰よりも使いやすい仕組みに改良を積み重ねてきたところに、同社のすごさがあります。その姿をこれから解き明かしていきます。

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目次

1 テレビCMが評判のモノタロウは、“現場の味方”です
 1.1 モノタロウの主要顧客は製造業の中小企業
 1.2 モノタロウの最大の強みは、現場のニーズに合った品揃えの豊富さと即納体制
 1.3 日本の間接資材の市場規模は5~10兆円、競合はあるがまだまだ成長は可能
2 流通の非効率性という”鬼退治”を目指すモノタロウ
 2.1モノタロウの由来、社名に込められた想いとは
 2.2 なぜ、間接資材のネット通販なのか
3 モノタロウ、業績急成長の秘密
 3.1 売上高は年率26%成長、営業利益率は2桁の高成長高収益企業 
 3.2 業績拡大のけん引役は、顧客開拓と必要とされる商品の開拓
 3.3 株価は4年半で23倍、市場平均を大きく上回る株価指標
 3.4 今後のカギを握る持続的成長に向けた種まきに注目
4 鈴木社長も創業メンバーであり、楽天出身のECのエキスパート
5 モノタロウが求める人材は変化に挑戦する人
 5.1 新卒は総合職とITエンジニア職の2コース、中途採用には多彩な職種が
 5.2 従業員関連データ
6 読んでおきたいモノタロウ関連の書籍
まとめ

1 テレビCMが評判のモノタロウは、“現場の味方”です

MonotaRO(以下、モノタロウ)は、事業主向けショップMonotaRO.com及び一般般消費者向けショップIHC.MonotaROを運営している通信販売会社です。東証1部ではMonotaRO(3064)として上場しています。

最大の特色は、工具などの「間接資材」にフォーカスした通販会社であることです。間接資材は、工業製品の原材料である「直接資材」と比べて種類が多く、購買タイミングもバラバラです。商流も、メーカー、問屋、工具商と多段階で複雑であったため、購入量が少なくボリュームディスカウントを享受できない中小企業の現場では割高に買わざるを得ない商材でした。

この問題をいち早く見つけ出し、間接資材を一物一価で安く買える仕組みを作り上げたのが、“現場の味方”のモノタロウです。では、もう少し詳しく同社のビジネスモデルを見てみましょう。

1.1 モノタロウの主要顧客は製造業の中小企業

モノタロウは、インターネット等を利用した工場・工事用間接資材、自動車アフターマーケット商品の通信販売会社です。売上高(2016年12月期会社計画)は、海外子会社を含めた連結ベースで693億円、単独ベースで668億円となっています。また、顧客口座数は2016年9月時点で209万口座に達しています。

モノタロウの顧客属性の特色は現場系が多いことです。ちなみに、業種別内訳(2015年12月期、MonotaRO.comからの受注のみ、大企業連携を除く)は、製造業が46%、建設業・工事等が18%、自動車整備関連が14%、その他が22%となっています。

また、大量の小規模顧客を対象にしたロングテール型であることも特筆すべきポイントです。顧客の規模(従業員数)は50人以下が68%、51人以上100人以下が25%、100人以上が1%で、中小企業が中心となっていることからも、このことが読み取れます。

1.2 モノタロウの最大の強みは、現場のニーズに合った品揃えの豊富さと即納体制

モノタロウの最大の強みは、取扱い点数(アイテム数)が1,000万点と、他の追随を許さない品揃えの豊富さにあります。ホームセンターでは平均で3万点、多いところでも20万点程度ですので、モノタロウの突出度がイメージできると思います。

工具には、人それぞれのこだわりや好みがあります。また、トップメーカーの主力商品だけではなく、低価格品を求める人もいます。よって、ホームセンターでは取り扱わない極めてニッチな商品を多数取り揃えていることが強みとなるのです。

アイテム数の豊富さに加え、即納体制も見逃せない強みです。即納体制を充実させるためには、物流センターの強化が必要ですが、それが実現されればホームセンターで買っている顧客を呼び込むことが可能となります。

具体的には、2017年12月時点での直送品を含む当日出荷点数は45万点、翌日配送品は39.5万点に達しています。これらの数字がMonotaRO.comで最も目立つ左上の画面に表記されていることからも想像できるように、即納体制の充実は顧客に最も刺さる強みであり、また、同社が経営戦略上、最も重視している注力ポイントなのです。

上述した商品アイテムの豊富さと即納体制に加え、「紙のカタログが充実していること」も忘れてはならない強みであり、モノタロウがユーザーから支持されている要因の一つです。

すでに注文の約9割はネットからとなっていますが、紙のカタログも充実しているため、ネット以外に電話やファックスでも注文が可能です。これは、ネットに詳しくないユーザーにはとても優しい仕組みです。

また、紙のカタログはネットで注文しているユーザーにもメリットがあります。それは、ネットでは欲しい商品だけにしか関心が向きませんが、紙カタログでは”こんなモノもあるのか”という気付きをもたらしてくれるからです。

実際、アナログの利用が少ないように見えても、紙のカタログで新商品を紹介すると、ネットでもそのカテゴリーの売り上げが伸びるのです。つまり、顧客の潜在的な需要を呼び起こす力が同社の紙のカタログにはあるわけですが、このことも見逃せない強みの一つであると考えられます。

1.3 日本の間接資材の市場規模は5~10兆円、競合はあるがまだまだ成長は可能

上述のような強みを持つモノタロウですが、次に今後の成長性や競争激化のリスクについて考えてみたいと思います。

まず成長性ですが、日本の間接資材の市場規模は、正確なデータはありませんが5~10兆円とされているため、モノタロウにとってはまだまだ未開拓な市場が大きいことがわかります。

モノタロウの年間売上高は700億円弱で、競合のミスミグループ本社の「VONA事業」の2017年3月期会社予想売上高も1,044億円であるため、2社合計でも2,000億円に満たないのです。

このことから、まだ日本の間接資材市場はEC化率が低い、つまり、訪問工具商、金物屋などの占める割合が依然として高く、こうした多段階流通を構成する企業やホームセンターからシェアを奪うことで、成長の維持は可能ではないかと考えられます。

なお、アマゾンジャパンも2015年から間接資材分野のネット通販に進出していますが、売上高や取扱いアイテム数などは開示されていません。だだし、本・雑誌、ビデオ、パソコン・オフィス用品など多数あるカテゴリーの中で、「工業機器」、「研究開発用品」、「安全・保護用品」などの間接資材はあまり目立つ扱いとなっていません。そのため、モノタロウにとって大きな脅威となっているという印象を現時点では持つことができません。

2 流通の非効率性という”鬼退治”を目指すモノタロウ

ところで、皆さんは、なぜ、モノタロウという不思議な名前がつけられているのかをご存じでしょうか。実は、そこには同社が目指す姿への想いが込められているのです。そこで、次に社名の由来を紐解き、なぜ同社が起業するに至ったのかについて考えてみたいと思います。

2.1モノタロウの由来とは、社名に込められた想いとは

モノタロウという社名には3つの意味が込められています。

第1は流通の変革です。モノタロウという社名からは、多くの方が、まず「桃太郎」を思い浮かべると思いますが、この社名には、流通の非効率性を変革する、つまり桃太郎が行った“鬼退治”の意味が込められているのです。

モノタロウが創業された2000年当時、既存の間接資材市場の流通は非常に複雑で、そのユーザーである中小企業は、非効率性ゆえに高い値段で買わされていたという現実がありました。そこを変革することがモノタロウのミッションの一つなのです。

第2は使いやすさです。モノタロウという社名には、豊富な品揃えと在庫商品の拡充により、欲しいものがいつでも全て手に入る姿もイメージされています。つまり、“モノが足りる”便利な社会というわけですが、その語呂合わせもこの社名の由来なのです。

第3はフォーカスする商材、つまり消耗品です。モノタロウは、直接資材以外の全ての商材を間接資材と定義づけ、そこをフォーカス領域としています。間接資材の代表例は消耗品ですが、英語ではメンテナンス・リペア・アンド・オペレーションと表現されるため、その頭文字MROを取ってMonotaROという名前が生まれたのです。

2.2なぜ、間接資材のネット通販なのか

このように、モノタロウという社名には、間接資材をネットで、何でも、安く、早く、手に入る仕組みを作るという想いが込められていることがおわかりいただけたと思います。

では、なぜ、そうした会社を作るに至ったのか。そのことを探るために、創業者で、現在はモノタロウの会長(非常勤)でありLIXILグループの社長でもある瀬戸欣哉氏が起業に至るまでの経緯を振り返りたいと思います。

瀬戸氏は1960年生まれで現在56歳ですが、大学を卒業後、住友商事に入社しています。その後、米国に赴任し、赴任先ではビジネススクールにも通うことになります。そこで当時勃興しつつあったインターネットを使うビジネスのアイデアを考えるうち、商社が主に扱う材料などの直接資材はインターネット販売には不向きである一方で、むしろインターネットに向いているのは間接資材であるという仮説を持つに至りました。

この気づきを得たのは、インターネットの本質は「検索」にあると考えたためです。

検索というのは、知らない知識を効率よく獲得するためのツールです。商社が扱う直接資材というのは、メガネの製造を例にするならば、フレームに使われるプラスチックの原料やレンズのガラスなどです。量産が始まれば、これらの材料は少数のサプライヤーから大量に購入されることになります。そのため、直接資材に関する知見は、すでに十分に蓄積されています。つまり、検索が不要な領域ということになります。

一方、間接資材というのは、メガネ製造の例を使えば、ガラスの研磨材や工場で使われる軍手、事務所で使われるコピー用紙などです。ビジネスを継続するためには必要不可欠ではあるものの、種類は膨大、購買頻度は不定期であり、年間の購入量は限られています。一方で、商品選択、見積価格の比較、発注などのために、現場で働く人はそこに多くの時間を割かなければなりません。

そこで考えられたのがインターネットの活用です。検索機能を充実させ、効率的に間接資材の購買システムができれば、そこには大きなニーズがあると考えたのです。そして、瀬戸氏はこのアイデアを実現するために、アメリカの間接資材カタログ販売の大手であるグレンジャー社と組み、社内ベンチャーとして起業するに至ったのです。

モノタロウは2000年10月大阪で創業されました。創業当初、瀬戸氏は住友商事の出向社員でした。また、出資比率は住友商事が51%、グレンジャー社が49%であったため、社名は「住商グレンジャー」とされました。

当初の社員は30人という小所帯で、商品点数を約20万点、顧客数を約40社に絞り込んでパイロットスケールで実験が繰り返されました。商品点数20万点、システムは安価なASP(出来合いの汎用ソフト)でスタートし、購入、検収、出荷、資金回収の流れも1件ずつ手作業で行われました。

そこで問題点を洗い出しながら改良を続け、1年後の2001年後半には商品点数を50万点まで増やし、同時に約7,000点を掲載する紙カタログも発行、顧客数を一挙に8,000社に拡大させています。

急拡大の過程では、カタログ作成、システム構築、物流システム、顧客開拓などの先行コストがかさみ赤字が続きましたが、創業5年目の2005年12月期に黒字化を達成しています。余談ですが、小さく始めて問題点を洗い出してから、大きく投資し事業を成長させるというスタイルは、この経験から生まれたものです。

2006年2月には社名をMonotaRO(モノタロウ)に変更し、同年12月に東証マザーズに上場しました(現在は東証1部)。同時に、住友商事は全持株をグレンジャーに売却し、現在はグレンジャーが筆頭株主となっています。

3 モノタロウ、業績急成長の秘密

ここまでモノタロウの歴史やビジネスモデルについて見てきました。次は業績や株価について見ていきたいと思います。

3.1 売上高は年率26%成長、営業利益率は2桁の高成長高収益企業 

まず、売上高の拡大には目を見張るものがあります。5年前の2011年12月期から2016年12月期までの5年間で売上高が約3倍、営業利益は5倍となっています。平均成長率(CAGR)は、売上高で年率26%、営業利益は36%となります。

営業利益率もほぼ右肩上がりで、2016年12月期には単体ベースで15%、連結ベースで14%に達しています。この営業利益率の改善は、粗利益率の改善と売上高販売管理費比率の“抑制”によって実現されてきています。粗利益率(単体ベース)については、2011年12月期の28%から2016年12月期には32%と約4ポイント改善しています。

この改善は、継続的な売上規模拡大による仕入条件の改善や、PB商品の強化によって実現されています。また、2016年12月期については、円高による輸入品の利益率改善も寄与しています。ただし、今後については質の高いPB品を開拓するためには、技術指導などのコストも発生する可能性が高いことや、円高メリットについても自社ではコントロールできない要因であるため、粗利益率が30%前後から大きく改善することは期待しにくいと考えられます。

一方、売上高販売管理費比率(単体ベース)については、2011年12月期の19%から2016年12月期には17%と約2ポイント抑制されています。販売管理費には、人件費、用務委託費、広告宣伝費、通信費、減価償却費など固定費的な性格が強い費用が含まれていますが、モノタロウでは、これらの費用を売上高の伸び率以下に抑えていることが伺えます。

以上のことから、今後モノタロウの営業利益率が急激に改善することは見込めないものの、増収を確保し続けることができるのであれば、まだまだ営業利益の絶対額を伸ばすことは可能であると考えられます。

3.2 業績拡大のけん引役は、顧客開拓と必要とされる商品の開拓

では、今後の売上成長はどのように達成されていくのでしょうか。そのことを考えるために、同社が重視している3つのKPI(重要業績評価指標)を見てみましょう。具体的には、商品点数、顧客数、顧客単価の3つです。ちなみに、このKPIはモノタロウの決算資料で毎四半期アップデートされています。

第1は商品点数の拡充です。顧客満足は「欲しいものがなんでも揃う」ことで満たされるため、商品点数は多ければ多いほど良いことになります。2000年の創業当初は20万点でスタートしたものが、2016年末には1,000万点まで拡大しているのは、そのことを意識した結果です。もちろん、商品点数が膨大になればその管理も大変ですが、そこを効率的にこなすことが差別化につながるのです。

第2は顧客数、つまり口座数の拡大です。ネット企業のモノタロウがテレビCMで広告を行うのは、モノタロウという社名の認知度向上と、それによる口座数の増加です。もちろん、テレビだけではなくラジオでの広告、また、当然ネットでのリスティング広告も口座数の増加に大きく寄与しています。

第3は顧客単価の上昇です。モノタロウの決算資料によると、2008年に口座を開設した顧客の購買額は毎年上昇し、7年後の2015年には約1.8倍に拡大しています。モノタロウで買い物をした顧客が、回数を重ねるごとに便利さや安さをより評価し、購買金額を年々増やしてきた傾向を読み取ることができます。そうした顧客満足を継続に高めることができるかも、成長のカギを握っていると言えます。

なお、モノタロウは上記3つのKPIを達成するための施策の一つとして、専門チームを作りPB商品の強化に取り組んでいます。モノタロウのPBは3つあり、低価格帯のブランドは「大阪魂」、通常のブランドは「MonotaRO」、高機能かつ高性能なブランドは「男前MonotaRO」となっています。

PB商品のページを作ると、検索エンジンで検索した時のランディングページが増えることになります。検索キーワードとそれに対応するページが増えていくため、モノタロウの存在が、これまで以上に見つけてもらいやすくなるのです。つまり、検索時のヒット確率を高めていくSEO対策の一環なのです。

また、モノタロウで欲しい商品が見つかったという体験をしたユーザーは、将来的には検索エンジンから検索をスタートするのではなく、最初からモノタロウのサイトに来て、その中で検索を始めることになります。そうしたユーザーが積み上がっていけば、アマゾンなどの競合他社に対しても大きな参入障壁となることが期待できると思います。

3.3 株価は4年半で23倍、市場平均を大きく上回る株価指標

次に株価を見てみましょう。2006年の上場以来の株価推移を見ると、2012~13年頃から上昇ピッチが高まっていることがわかります。

上場来高値は2016年6月10日の4,025円であり、2011年12月末の173円からわずか4年半で23倍に上昇しています。なお、2016年年央以降の株価ややや軟調ですが、2011年12月末対比では14倍の水準と、長期では申し分のない上昇率を現在も維持しています。

ちなみに、直近の2017年1月時点の時価総額は3,000億円強です。また、PERは50倍、PBRは33倍と、いずれの株価指標も市場平均(PERは16倍、PBRは1.3倍)に比べ非常に高いものになっています。株価指標が高いことは、それだけ株式市場での評価が高いことにもなります。具体的には利益成長率や資産・資本効率、つまりROEやROEの高さを評価していることになります。2016年12月期のROEは40%強、ROAは約20%です。

3.4 今後のカギを握る持続的成長に向けた種まきに注目

今後の成長を確かなものとするために、同社では国内事業への継続的な投資、大企業市場への展開と海外市場への展開の2つの方向性に取り組んでいます。

国内事業への継続的な投資:モノタロウは、物流センター(ロボットを活用した自動倉庫システムなど)やITインフラへの投資を継続的に行っています。とはいえ、2015年12月期実績の設備投資額は約6億円、減価償却費は5億円に留まり、それほど大きな負担とはなっていません。これはリースなどを活用しているためであると推測されます。

短期的に最も注目される投資は、茨城県笠間市に建設中の「笠間ディストリビューションセンター」(延床面積:1万7,000坪)です。稼働開始は2017年4月からの予定で、兵庫県尼崎市にある「プロロジスパーク尼崎3」(同1万3,000坪)、宮城県多賀城市にある「多賀城ディストリビューションセンター」(同2,500坪)に次いで3番目の倉庫になります。なお、「多賀城ディストリビューションセンター」は2017年6月に閉鎖される予定です。

笠間ディストリビューションセンターは、同社の中で最大の延床面積があり、稼働時には最大50万点の在庫商品を持つことが可能になるため、モノタロウの国内での競争力をさらに高めることが期待されます。

大企業市場への展開:現状、モノタロウの顧客は中小企業が中心ですが、これを社内に購買システムを持つ大企業にも広げる取り組みを行っています。2010年からは、オフィス用品などの通信販売事業を手がけるアクスルの運営購買システム「SOLOEL(ソロエル)」と連携し、大企業ユーザーは同システムを経由してモノタロウの商品の購入が可能となります。こうした大企業連携のユーザー数は、2016年12月期Q3 末時点で 284社(前年度末比+63社)、Q3累計で売上高は 39.5億円 (前年同期比+60%)となっています。

また、2014年からはモノタロウ自身も、大規模事業者向けに直接「モノタロウ ONE SOURCE」という購買システムの提供を開始しており、2016年12月期Q3時点での導入済み企業は7社(前年度末比+3社)となっています。

ちなみに、このシステムの導入費用はスタンダード版(利用アカウント300以下)で、パッケージ基本料が225万円(月額制を選択した場合は6.25万円)、パッケージ保守料が3.75万円、アカウント利用料(アカウント毎)が1,000円となっています。

海外市場への展開:国内で順調に売り上げを伸ばしてきたモノタロウは2011年に韓国子会社を設立し、ECサイト「NaviMRO」を開始しています。また、2013年10月にはシンガポール、2015年1月にはマレーシア、2016年10月にはインドネシアでも同様な取り組みを始めています。さらに、米国では2010年10月にグレンジャー社の全額出資を受けてZoro Tools社を設立し、そこからコンサルフィーを受け取っています。

2016年12月期時点での海外売上高は5%以下に留まりますが、日本と同様なニーズがあることが確かめられていますので、今後の成長には期待が持てそうです。

4 鈴木社長も創業メンバーであり、楽天出身のECのエキスパート

モノタロウの鈴木雅哉社長は、立教大学を卒業後に住友商事に就職。最初の配属先は鉄鋼部門でした。そこで上述の瀬戸氏と出会い、瀬戸氏が立ち上げた社内ベンチャーにも出向、販売促進を担当し瀬戸氏の右腕として活躍することになります。

その後、2006年にモノタロウが上場したと同時に住友商事は出向者を引き上げたため、鈴木氏もいったんはモノタロウを離れるものの、ネットビジネスの可能性を感じて楽天に転職。その後、約1年を経て2007年にモノタロウに再就職しています。

創業12年後の2012年には、創業社長の瀬戸氏からバトンタッチされて社長に就任しています。その時点で瀬戸氏は51歳、鈴木氏は37歳で、直前の肩書は執行役マーケティング部長でした。社長就任後は、「自社ブランドの拡大と海外戦略」を成長戦略の切り札として掲げ、10年後に当時の売上高の4.5倍の1,000億円の年商を目指すことを宣言しています。

信条は「自主性」であり、トップは方向性を示すことを役割とし、マイクロマネジメントではなく“任せる”経営スタイルを取っています。

5 モノタロウが求める人材は変化に挑戦する人

モノタロウのウェブサイトで採用ページを見ると、求められる人材は「常に自ら変化させ、新しい技術や考え方を積極的に取り入れる柔軟さと強い気概が求められます」とあります。それは、モノタロウは成長企業であり、会社の売上規模が急激に大きくなっていることや、インターネット通販の世界では新しい技術が毎年のように生まれ変化が激しいためです。

一方で、社風はオープンでお互いをリスペクト(尊敬)することを重視していることも述べられています。変化を恐れず、挑戦することに喜びを感じることができる人にはっても働きやすい職場のようです。

5.1 新卒は総合職とITエンジニア職の2コース、中途採用には多彩な職種が

2017年3月に大学及び大学院を卒業・終了見込みの方の募集要領はこちらに詳細が記載されています。一方、中途採用については、物流、IT、データサイエンス、マーケティング、バイヤーなどの多くの職種があります。詳細についてはこちらをご覧ください。

5.2 従業員関連データ

2016年9月末時点での連結ベースでの正社員は 327名、アルバイト・派遣社員は890名です。また、2015年12月期の有価証券報告書によると、全体平均年齢は35.9歳、平均勤続年数は5.2年、平均年間給与は504万円となっています。また、離職率も低く、直近3年間の平均では3%程度です。

6 読んでおきたいモノタロウ関連の書籍

以下にご紹介する書籍には、モノタロウ創業者の瀬戸欣哉氏による、間接資材の活用でコスト削減を実現する具体例が述べられています。購買部門の方は必読ですが、これからモノタロウを導入しようとお考えの方や、モノタロウを深く理解したい投資家やビジネスマンにもおススメの1冊です。

製造コスト削減の盲点

まとめ

いかかがでしたか。モノタロウという会社が、日本の製造業を支える中小企業の現場の味方として成長してきたことがおわかりいただけたと思います。

また、これまでも急成長を遂げてきていますが、日本の間接資材市場のEC化の余地が大きいこと、顧客満足度を高めるために長年にわたり同社がビジネスモデルの磨き込みに取り組んできたこと、日本で証明されたこのビジネスモデルは海外でも十分に通用する可能性が高いことなどから、まだまだ成長余地が十分に残っていることもご理解いただけたと思います。

今後もモノタロウの活躍に注目していきましょう。

 

投信1編集部

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