そのため、借主は部屋を借りる際に「仲介手数料は0.5ヶ月分しか払いません!」と主張することも実はできます。しかし、オーナー側から「仲介手数料を1ヶ月分負担してくれないなら、部屋は貸さないよ」と言われたら困りますから、長年の間、慣例的に借主が1ヶ月分の仲介手数料を負担することになっているのです。

前述のA社は、仲介手数料の半分をオーナーに負担してもらうことによって、「仲介手数料半額」としてライバル業者との差別化を図ってきました。

ところが、仲介手数料半額につられて契約しようとすると、結果的に余計な費用を請求してくる悪徳業者も中にはいます。つまり、先ほど例に挙げたように、契約時に様々な「初期費用」が自動的についてくるケースが多いということです。

たとえば、仲介業者指定の火災保険に入ることが契約の条件になっていたり、年数万円の24時間サポートに入ることが条件になっていたり、入居前の防カビ対策や排水管洗浄を勧められたり・・・といった初期費用があります。

これらは大抵の場合、オーナーが指定しているものではありません。仲介業者が独自に営業しているものがほとんどですので、当然その全てを断ることができます。それにも関わらず、流れでそのまま契約してしまう借主が多いため、ボッタクリが発生してしまうというわけです。

しかし、万が一、借主が仲介業者の営業に怒って契約が白紙になってしまえば、オーナーもたまったものではありません。そのため、仲介業者がどんな契約をしているのかを、オーナー側もしっかり把握しておくことが必要です。

また、あなたが物件を借りる側であれば、もし契約時に上記のような初期費用を請求された場合は、「必要ありません!」としっかり伝えることが非常に重要です。

もし「これをやらないと入居できません」などと言われたら、「それは任意でしょ?」と切り返せば良いでしょう。さらに食い下がって「大家さんが指定している」などと言ってきたら、「国交省のガイドラインでは消毒は貸主負担になっていますよね?」などと言い返せばOKです。

火災保険については、どんな物件でも加入が必須ですが、管理会社指定の保険に入る必要はありません。たとえ管理会社指定の保険へ加入することが契約の条件と言われても、自分で安い保険に入れば何も問題はありません。ここで食い下がられたら、「それは独占禁止法に違反しますよ!」とでも言って、軽くビビらせておけば良いでしょう。

まとめると、仲介業者が独断で指定してくる初期費用は、大抵の場合は断ることができるということです。ぜひこれは覚えておきましょう。