たとえば、クロスの張り替え代は1平米あたり1000円もあれば十分なところを、1平米2000円の請求をされたことがあります。さらにその工事は管理会社指定のリフォーム業者が施工するというのですから、開いた口が塞がりませんでした。

なぜ自分のお金で原状回復工事をするのに、業者を指定されなければいけないのでしょうか? 当然私はクレームを入れ、強気の交渉をしました。その結果、自分で探してきた業者さんに直接施工を依頼することができ、費用は業者が指定した額の半分以下に抑えられました。

こういったケースに巻き込まれるのは、なにも入居者だけではありません。悪徳業者は大家さん側にも必要以上のリフォームを提案してくることがあります。

たとえば、「最新のIHクッキングヒーターにしないと次の入居者は決まりませんよ? いっそのことキッチンごと入れ替えちゃいましょう!」とか、「3点式ユニットバスでは客付けできません。この機会にトイレとお風呂を分けましょう」などと、原状回復に便乗して家賃1年分以上もかかるような、高額なリフォームを提案してくることもあるのです。

もちろん、本当に必要なリフォームもあるでしょうし、グレードアップした方が入居者が決まりやすいということもあるでしょう。しかし、悪徳業者はオーナーの採算を考えてリフォーム提案をしてくることはほぼありませんから、言われるがままに進めるのはやめておいた方が良いと思います。

近隣の物件の設備や家賃相場と比較して、今の設備と家賃とのバランスが取れているのであれば、過度なグレードアップをしなくとも、やり方次第で入居者を決めることは十分にできます。そこを肝に銘じておきましょう。

なお、入居者を決めるための「空室対策」については、今回の本筋から離れてしまうため割愛しますが、私のYouTubeチャンネルで「空室が満室になる最後の一手」として詳しく解説していますので、ぜひご覧ください。