“あの男”は気になるが、経済のファンダメンタルズは好転中

米中の経済指標をおさらいし、注目銘柄を考える

Susan Montgomery / Shutterstock, Inc.

タイトルの“あの男”とは言うまでもなくトランプ大統領ですが、今週は突然の中東・アフリカ7か国からの「入国禁止令」の発動により経済界も大きく揺れ動きました。

とはいえ、株式市場は大きくは調整しておらず、弱気相場には転じていません。おそらくその背景には、堅調な経済のファンダメンタルズと企業業績好転への根強い期待があるためと考えられます。“あの男”は無視できない存在ですが、以下の3つの記事から底堅い経済の現状をおさらいし、注目銘柄について考えていきたいと思います。

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米国のGDPは堅調

まずは、“あの男”のお膝元、米国経済を見てみましょう。1月末に米商務省が発表した2016年第4四半期の米国の実質GDP(国内総生産)は、前期比年率で+1.9%でした。市場予想(+2.2%増)や、前期実績(+3.5%増)は下回りましたが、住宅投資の回復や個人消費の底堅さが確認され、悲観的な内容ではありませんでした。

ただし、以下の記事で指摘されているように、「トランプ新政権の通商政策次第では純輸出が先行き大きく低迷する可能性があること」、「減税策などトランプ政権への期待が大きく後退した場合には急速に消費者マインドが悪化する可能性があること」、「住宅ローン金利上昇による住宅投資への悪影響」などには注意しておくことが必要なようです。

足元の米国経済は堅調の様子ですが、今後はやはり“あの男”の政策遂行能力次第ということになりそうです。

出所:今週の重要イベント前にGDPで経済状況の復習(ピクテ投信投資顧問)

中国の生産活動も堅調

次に、日本の隣国で世界第2位のGDPを持つ中国の現状を見てみましょう。2017年2月1日に中国国家統計局によって発表された2017年1月の製造業購買担当者景気指数(PMI)は51.3。前月(2016年12月)の51.4からわずかに下がったものの、市場予想(51.2)を上回りました。一方、非製造業PMIは54.6と前月(54.5)を上回っていました。

ちなみに、以下の記事で指摘されているように、「PMIは50が経済活動の拡大・縮小の目安」となりますので、中国の生産活動は概ね堅調と判断してよいと考えられます。

問題は今後もこうした心地よい水準を維持できるかですが、カギを握るのは為替政策です。輸出を伸ばし景気の拡大を維持するためには、人民元安が望まれるところですが、それをすると、米国から為替操作国に認定されてしまうリスクが高まります。

また、“あの男”に言われるまでもなく、中国としてもこれ以上中国からの資本逃避を防ぐためには、金融政策はやや引き締め気味とし、人民元安を避ける政策を取らざるを得なくなっています。

やや引き締め気味の金融政策が維持される中で、今後も穏やかな景気拡大を継続できるかが中国経済を見る上での注目ポイントとなりそうです。

出所:中国PMIは心地よい水準では(ピクテ投信投資顧問)

目先の注目銘柄は設備投資関連か

最後は、再び“あの男”の国のビジネス環境の変化を見てみたいと思います。この記事によると「NFIB(全米自営業連盟)による12月の『中小企業楽観指数』は105.8と、2004年末以来の高水準に達している」とのことです。

この統計から読み取れるように、米新政権の経済対策に対する米国中小企業経営者の期待は非常に強いものがあります。よって、今後中小企業が劇的に設備投資を拡大することが期待されます。

また、新政権が「アメリカ第一主義」を掲げ、輸入製品に「国境税」(Border Tax)を課す動きが高まっているため、米国の企業だけでなく、日本を含む海外企業も米国での生産設備拡充に動くことも予想されます。

つまり、中小企業から大企業、さらにグローバル企業までが米国内での設備投資を増やす可能性が高まっているということです。

もちろん、元々は中国やメキシコで行う予定であった設備投資が米国に移るだけ、という冷めた見方もできますが、いずれにせよ、短期的には米国内での設備投資ブームの恩恵を受けられる可能性がある企業には注目していきたいと思います。

出所:トランプが仕掛ける未知の「設備投資ブーム」に挑む(楽天証券)

 

投信1編集部

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