【疑問解決】 逆張り投資はダメなのか? 覚えておきたい3つのコツ

本当は上級者向きの逆張り投資だが...

個人投資家は逆張り投資家

日本の株式市場の投資主体別売買動向を見ると、トランプ氏が米大統領選を制して始まったラリーの間、海外投資家が買いの主体となり、個人投資家はほぼ一貫して売り越しを続けてきました。

個人投資家のスタンスは海外投資家と逆になることが多いと言われます。たとえば、2016年の12カ月を月別に見ると、

  • 海外投資家が買い越し、かつ個人投資家が売り越し:4月、7月、10月、11月、12月
  • 海外投資家が売り越し、かつ個人投資家が買い越し:1月、2月、3月、5月、6月
  • 海外投資家が売り越し、かつ個人投資家が売り越し:8月、9月
  • 海外投資家が買い越し、かつ個人投資家が買い越し:なし

となりました。海外投資家と個人投資家が同じスタンスになることはほとんどないこと、特に両者がともに買い越した月がまったくないのはとても興味深い現象です。

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月間のTOPIXの騰落を見ると、海外投資家が買い越した5カ月のうちTOPIXが上昇したのは7月、10月、11月、12月の合計4カ月でした。一方、海外投資家が売り越した7カ月のうちTOPIXが下落したのは1月、2月、6月、9月の合計4カ月でした。

このことから、やや乱暴かもしれませんが海外投資家のスタンスが日本の株価の方向を決める(海外投資家が買い越せば株価は上がり、売り越せば株価は下がる)と一般に言われています。

そして、海外投資家とは相場観が真逆になることが多い個人投資家は「株価が下がると買い、株価が上がると売る」傾向がある、つまり「逆張り投資」をしていると言われます。

逆張り投資はダメなのか!?

最近、逆張り投資は合理的な投資行動ではないという見解もあるようです。

個人の投資行動を見ると、値ごろ感をベースに、下がったから買い、上がったら売るばかりで、企業の本質的価値やその成長性、株価水準の妥当性を重視していないのではないかという指摘が見られます。

本当に逆張り投資は望ましくない投資スタンスなのでしょうか。

逆張り投資は上級者向き

筆者は、逆張り投資は、個人投資家の中でも上級者の投資スタンスだと思います。そして、大変合理性のある投資だと思っています。

まず、投資は投資成果を上げること、つまり儲けることが最大目的です。その基本は「安く買って、高く売る」ことです。海外投資家が売り浴びせて株価が下がっている時にしっかり買う、海外投資家が買い上がっている時に冷静に売る、これができるのは企業価値や株価評価、そして株価の特性についてしっかりした知見を持っていないとできないことでしょう。

次に指摘したいのは個人投資家のレベルです。個人投資家にはシニアの方が多いのではないでしょうか。そうした方はビジネスキャリアをしっかり積んでおり、経済や事業環境について必要十分な知見を持ち合わせています。特定の分野ではプロの運用者よりも深い知識をお持ちの方も多いのが実情です。

しかし、個人投資家に届く情報はプロの運用者ほど豊富であったりタイムリーであるわけではありません。知見はあるが、情報はひょっとして十分ではない、また十分な分析時間も取れない…。そういう環境であれば、メディアに流れる材料に乗って順張りをするよりも、投資規律をもって逆張りを行うほうが合理的な投資スタンスだと思います。

逆張り投資、失敗しない3つのコツ

とはいえ、逆張り投資は下がっている時に買うわけですからリスクは避けられません。また、上がって売った後にその株がさらに上がってしまうということも頻繁に発生します。

では、どういう心構えで取り組めばいいでしょうか。筆者の知る個人投資家で成功している方には、少なくとも次のような共通点があると思います。

まず、得意銘柄を絞り込んでいることです。よく知っている業界の銘柄や、相性の良い銘柄を見つけて、10銘柄くらいに絞り込み、その10銘柄について常に関心を払いしっかり研究しています。

次に、利益確定と損切りルールがしっかり守られています。持ち値から+20%上昇したら売り、▲10%下落したら損切りする、というシンプルなルールを徹底していると、大きな失敗を避けることができます。また、「難平するかしないか」と思い悩む時間が発生しません。

最後に、「休むも相場」を実践できることです。得意な銘柄が買いゾーンに入らない時には、見送りを決め込んでほかのことをします。攻めるときは攻め、休むときは休むというメリハリがある方ほど成功していると思います。

得意な10銘柄と言われて困ったらどうする?

ここまでお読みになって、「投資を始めたいけれど逆張り投資はちょっと難しい」と思う方もいらっしゃることでしょう。いきなり「10の得意銘柄」と言われても困ってしまいますよね。

そのような方もご安心ください。2つ手があります。

1つ目として、銘柄選択をするのではなく日本株全体や世界株全体を投資対象にし、3年後や5年後のリターンを狙うことにしてみましょう。3年後や5年後であれば世界の株価はたぶん上がっていると考えてよさそうです。では、これに対していつが安いのかと言えば、ピンポイントで当てることは無理としても、おそらく「今」が安いということになるでしょう。

そこで毎月こつこつ世界株のインデックス投信を買い続けてみると、底をピタリと当てることができなくても、結果として長期でしっかり値上がり益を得ることができるのではないでしょうか。投信を長期で積み立てる、という投資戦略です。

もう1つは、資産分散です。株の天底を当てるのが難しいというのであれば、内外株や内外債券に幅広く投資し、価格変動のぶれを少なくしてみましょう。それならば、あえて逆張りを考える必要がなくなります。バランス型の投信へ投資し、資産分散をするという投資戦略です。

いかがでしたか。ご自身のスタイルに合った投資方法を見つけて、資産形成を進めていただければ幸いです。

 

椎名 則夫

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椎名 則夫

早稲田大学政治経済学部を卒業後、東京銀行(現三菱東京UFJ銀行)入行。証券運用と法人融資に携わる。
シカゴ大学MBA取得。フィデリティ投信に入社、中小型株全般、医薬品・ヘルスケア、保険、通信、インターネットの企業調査に従事。その後モルガンスタンレー証券にて株・クレジットのリスク管理業務を行う。
日本証券アナリスト協会検定会員、CFA。