シャープは米国での液晶大型投資で同じ失敗は繰り返さない?

投資主体はSDP、シャープは技術指導に徹する可能性が高い

Sorbis / Shutterstock, Inc.

トランプ大統領へのお土産? 米国で大型液晶投資の可能性が報じられる

いよいよ2月10日に、安倍首相とトランプ大統領との初の日米首脳会談が開催予定です。そこで注目されているのが、日本側がどのようなアメリカでの雇用創出策を提案するかですが、その一つとしてホンハイとシャープ(6753)が米国に大型液晶工場を建設する案が想定されます。

これまで米国での液晶工場の投資に関して、シャープからは正式な発表は行われていませんが、1月にはホンハイのテリー・ゴウ会長がシャープと共同で建設を検討していると発表しています。

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また、2月8日付け日本経済新聞では、米国での大型パネル工場新設について「シャープが主導するとの認識を示した」とも報じられています。

米国市場は、中国に次いで世界2番目の液晶テレビ市場です。ただし、隣国のメキシコにはテレビの組み立て工場はあるものの、基幹部品である液晶パネルについてはメキシコにもアメリカ本土にも工場はなく、すべて太平洋を渡ってアジアからの輸入となっています。

このため、”地産地消”という考え方に基づけば、アメリカに液晶パネルの工場を建設することが全く的外れということにはならないと思います。

シャープが決算説明会で語った注目すべき点

ここで最も気になるのは、上述の報道にある「シャープが主導する」の意味が、投資負担を含んだものであるのか、あるいは技術主導を中心としたものであるかです。実際、2月3日に開催された同社の2017年3月期第3四半期決算説明会でも、米国や中国でホンハイが進める意向を表明している大型投資に対するシャープの“立ち位置”に関して数多くの質問が出されました。

対するシャープの回答は明確で、投資を行うのはSDP(堺ディスプレイプロダクト)であり、シャープは、SDPから要請があれば技術支援を行うというものでした。キャッシュ(投資資金)は出さない、とういうことも明言されていました。

ちなみに、シャープは2016年12月にシャープが保有するSDP株の一部をホンハイに売却し、持分比率を4割弱から3割弱へ引き下げています。一方、これによりホンハイの保有比率は5割を超え、SDPはホンハイの連結子会社になっています。加えて、2018年1月5日付け日本経済新聞は、今後の積極投資に伴い資金需要が増加するため、SDPは「新規株式公開(IPO)を検討する」とも報じています。

こうした変化も考慮すると、ホンハイが進めようとしている中国や米国での液晶大型投資については、「資金・事業運営はSDPが行い、シャープは技術支援に徹する」という、決算説明会でシャープが表明した内容に説得力があると考えられます。

今後の注目点

シャープは、経営危機の元凶となった液晶に対して再び大型投資を行うのか?と不安に思われた方も多いのではないかと推察されますが、これまでの一連の経緯や2月3日の決算説明会でのシャープを見る限り、そうした過ちを繰り返す可能性が低いと考える筆者の見方をご理解いただけたのではないでしょうか。

今後注目したいことは、技術指導料はどの程度受け取れるのか、また、大型投資の結果、シャープはホンハイグループの一員としての「ボリュームディスカウント」を資材調達面においてどの程度享受できるのかなどの点です。

また、今回の米国での液晶投資が成功するためには、ガラス、カラーフィルターなどの部材メーカーの協力も必要と考えられます。そのため、こうした周辺企業も米国での現地生産を行うかについても注視していきたいと思います。

シャープの過去6か月間の株価推移

 

和泉 美治

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和泉 美治

同志社大学文学部卒業後、エルコインターナショナル (現:京セラエルコ) に入社。英国バーミンガム大学にてMBA取得。
その後UBSフィリップスアンドドリュー証券 (現:UBS証券) に入社し、調査部にてエレクトロニクスセクターを担当。2002年より2013年までJ.P.モルガンにて産業用エレクトロニクス及び民生エレクトロニクスセクターを担当。
日本証券アナリスト協会検定会員。