2017年2月初めにFinTech(フィンテック)関係者が驚愕する報道があった。ゴールドマン・サックスやバークレイズ証券で債券トレーダーだった甲斐真一郎氏がベンチャーキャピタルなどから18億円を調達し、業界としては10年ぶりにネット証券に新規参入するというのだ。

また、そのネット証券の立ち位置も既存のネット証券と異なる。フォリオは株式市場のテーマに簡単に投資ができたり、ロボアドバイザーを活用した資産運用ができるというのである。今回は同社代表取締役社長の甲斐氏を直撃した。

フォリオの考える次世代ネット証券とは

――新しいネット証券ということですが、どのような狙いで始めるのでしょうか。

株式会社FOLIO 甲斐真一郎 代表取締役(以下、甲斐):日本の個人投資家のためにテーマ投資などを通じて資産運用をより身近にしたい、またロボアドバイザーを活用することでより多くの人が簡単に資産形成を始めてほしいという思いがあります。

フォリオのサービスの特徴は、当社が使いこなせる先端テクノロジーを活用するというだけではありません。UI(ユーザーインターフェース)やUX(ユーザーエクスペリエンス)など、いわゆる使い勝手に関しても最大限に工夫と配慮をしています。

当社は、テクノロジーとデザインを掛け合わせることで、個人投資家の皆様が身構えることなく利用できるシームレスな投資環境を提供したいと考えています。もしかしたら、日本の金融業界ではエンジニアとデザイナーの良さを最大限に生かした取り組みと言えるかもしれません。

テーマ投資とはどのような投資なのか

――フォリオの掲げるテーマ投資とはどのようなものでしょうか。また、テーマ投資のポートフォリオの銘柄はどのように決定されるのでしょうか。

甲斐:たとえば、「自動運転」や「東京オリンピック」などのトレンド性の強いものや、「京都」などのご当地テーマといったもの、著名投資家の投資アプローチやポートフォリオに倣ったもの、バリュエーション(株価評価)を意識したものまで幅広くご用意していく予定です。

各ポートフォリオは当社が選出した10銘柄で構成されるようになります。この10銘柄は、当社のアルゴリズムで抽出した銘柄リストの中から業績をもとに厳選し、投資委員会を経て最終的に決定します。

当初は日本株を中心に展開しながら、先々は海外株式などより多くの金融商品を用いたテーマづくりをしていきます。

テーマ投資は投資家に人気があるのか

――素朴な疑問なのですが、テーマ投資に大きな需要があるのでしょうか。

甲斐:はい。相当強いと思います。たとえば、日本の大手運用会社が提供するロボティクスファンドやAIファンドには、純資産が1,000億円を超えるものがいくつもあります。中には3,000億円を超えているものもあります。以前ほどではないですが、投資信託も常に新規設定はあります。

ただ、比較的短期間に数百億円を集めるのは難しくなってきています。特に、最近の投資信託は信託報酬の安いインデックスファンドに注目が集まりやすいですからね。

とはいえ、そうしたことを考えても先にお話したテーマによる投資信託の純資産規模を見れば、投資家の熱量が高いことが分かります。それに、定性的な話ですが、株式投資に関する雑誌の特集にはテーマに関するものが非常に多いですよね。これもテーマ投資のニーズを示す一つの証左だと言えるのではないでしょうか。

当社の場合、テーマの品揃えが多いだけではなく、ポートフォリオに含まれる10銘柄も上級者向けに購入比率を変えられるようにしています。したがって、テーマだけではなく、個別の銘柄に思い入れがある場合にはその銘柄の成長も楽しんでいただくことができます。

テーマ投資の投資妙味

――そもそもの話で恐縮ですが、テーマ投資は儲かるんでしょうか。

甲斐:その時々の相場環境に依存するところも大きいので一概には言えませんが、一般的にテーマ投資のパフォーマンスは、テーマとしてのトレンドの強さと、そこに含まれる個別銘柄のパフォーマンスに依存します。

私たちは、テーマが期待されている背景などにも留意しながらテーマを選別していますし、各テーマを構成する10銘柄もしっかりと各社の業績を精査したうえで厳選しています。

テーマ投資は長期投資に向かないという話がありますが、それはアクティブ投資信託の運用手数料が比較的高めに設定されているという理由が大きいと思います。

しかし、私たちのテーマ投資はあくまで「個別株式のまとめ買い」なので、運用手数料は一切いただきません。他の証券会社と同様に、売買手数料のみをいただくという形を取っています。ですので、比較的長期的に保有しながらアクティブ投資を楽しめるんです。

さらに、まだアイデアベースではありますが、世界の著名投資家が勝ち続けているポートフォリオに倣うという投資のアプローチも考えています。当社ではこうしたアプローチも一つのテーマとして考えています。

たとえば、世界で最も有名な投資家であるウォーレン・バフェットは、自身が経営する保険会社バークシャー・ハサウェイのアニュアルレポートに投資をする際に注目すべきポイントを書いています。そうした投資基準に基づいて、日本株で「もしもバフェットが日本株に投資をしたら」というポートフォリオを構成すると面白そうですね。

フォリオは誰にとってのサービスなのか

――最後になりますが、今後どのようなユーザーにフォリオのサービスを使ってもらいたいのでしょうか。

甲斐:私たちフォリオは「資産運用をバリアフリーにする」ということを使命と考えています。これまで投資をしたことがない、あるいは投資はとっつきにくくてなかなか始められなかったという方にでも簡単に資産運用を始めていただけるようにしていきたいですね。

当社のテーマ投資は多くの方に興味を持っていただけるようなテーマを厳選して用意しています。これまでは、何か話題の出来事をニュースとして聞いたとしても、それを投資と結び付けられなかったという方も大勢いらっしゃるのでははいでしょうか。

そうした方でも、当社のテクノロジーとデザインを最大限活用していただくことで資産運用を簡単に始めることができるようにします。また、それぞれの投資テーマに共感していただくことで資産運用をより楽しいものにしていければと考えています。

――本日は長時間ありがとうございました。

甲斐:こちらこそありがとうございました。これから、フォリオをどうぞよろしくお願いいたします。

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LIMO編集部