資産運用と「コインの表が出る確率」、どう考えればいいの?

ネイマン・ピアソン統計学とベイズ統計学の違いとは

コインの表が出る確率-標準的な統計学の考え方

突然ですが、次の質問について考えてみてください。

質問:コインを投げて、10回連続で表が出ました。次に表が出る確率はどれくらいでしょう?

「10回連続で表が出たんだから、さすがに次は裏がでるのではないか」と、つい考えてしまうものの、答えは50%です。何回連続で表が出ようが、次に表が出る確率は50%、裏が出る確率も50%です。

これが、スタンダードな統計学(ネイマン・ピアソン統計学)の考え方です。

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コインの表が出る確率-ベイズ統計学の考え方

しかし、現実にコインを10回投げて、10回連続で表が出たら、読者の皆さんはどのように考えるでしょうか。

上述のように、「次も50%の確率で表が出るだろう」と考えますか? 「10回連続で表が出るなんておかしいぞ。このコインには何か表が出やすいような仕掛けがされてるんではないか? そうすると、次も表が出る確率は50%より高いかもしれないぞ」と、疑いたくもなるものです。

これは、ベイズ統計学に近い考え方です。

ネイマン・ピアソン統計学の例においては、コインを投げて表が出る確率が50%、裏が出る確率が50%と事前に分かっているから、何回連続で表が出ようが次に表が出る確率は50%、と言えます。

しかし、このように、事前に次に何が起きるかの確率が分かっているという状況は現実世界では稀です。正しい確率は事前に分からないから、何度も試行を繰り返して、その結果を都度反映して正しい確率に近づけていこうというのがベイズ統計学の考え方です。

ちなみに、このベイズ統計学は、今話題の人口知能、AIに深くかかわっている学問です。コンピュータの計算能力が上がり、世界中に膨大なデータが存在する現代において、その膨大なデータを集めてきて高速で計算を繰り返すことで、次に起きることの確率予測の正確性を上げることができます。

たとえば、上のコインの例で言うと、1秒間に100万回コインを投げて毎回の計算結果を計算し、データを更新していくことで、このコインに表がどれくらいの確率で出やすい仕掛けがしてあるのかを計算することができます。

資産運用における過去のパフォーマンスをどう考える?

さて、上の例を資産運用に当てはめて考えてみましょう。今、あなたが保有している株式が10日間値上がりを続けているとします。明日、この株式の値段は上がるでしょうか? それとも下がるでしょうか?

1つ目の考え方は、上で説明した標準的な統計学の考え方を使い、「過去10日間株価が上がり続けていることは、明日株価がどうなるかとは関係ない。ゼロベースで考えよう」というものです。

一方、2つ目の考え方は、上のベイズ統計学の考え方を当てはめ、「過去10日間株価が上がり続けているということは、この会社の将来が有望であると多くの人が判断しているということだ。明日も高い確率で株価が上がるに違いない」というものでしょう。

どちらの考え方がしっくりきますか?

これは、どちらが正しいとも間違っているとも言えませんが、時と場合に分けて使い分けることが大事でしょう。

たとえば、為替や短期の株式売買等、多くの外部要因が影響を及ぼす取引の場合、1つ目の考え方、つまり、「今までの傾向は無視して確率的に考えよう」という考え方が向いているかもしれません。

コインの例で言うと、強風が吹き荒れていたり、コインが落ちる床がデコボコだったりといった外部要因が、次に表が出るか裏が出るかに大きな影響を及ぼす場合、今までのパフォーマンスは無視して確率統計的に考えた方が良い、ということです。

一方、長期保有を前提とした成長企業の株式の取得や、経済成長著しい市場への分散投資のように、状況の分析が今後の予想にとっても役立つ場合もあるでしょう。

こちらもコインの例で言うと、時間をかけてコインの重心の位置を調べたり、表面や縁の加工具合を調べることができるのであれば、その調査結果を予測に組み入れるべきだろう、ということです。

未来予測の際に過去をどう捉えるか

未来予測はいつの時代も難しいものです。今まで観察された白鳥が全て白色だからと言って、明日観察される白鳥も白とは限らないのです。しかし一方で、今まで観察された白鳥がすべて白なら、明日観察される白鳥が白である確率が高いのも確かでしょう。

完全に正しい未来予測はできないものの、過去をどう考えるかに関するある程度の指針を持っておくことで、ベターな未来予測ができるのかもしれません。

また、過去のパフォーマンスに引っ張られがちな資産運用において、過去をどう捉えるかという指針を持っておくことで一定のリスクは回避できるのかもしれません。

以上、投資型クラウドファンディングを通じて世界のお金の流れを変えるクラウドクレジットでした。

参考文献:
「完全独習 ベイズ統計学入門」 小島 寛之 2015
 Taleb, N. N. (2007). The black swan: The impact of the highly improbable. New York: Random House.

 

クラウドクレジット

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クラウドクレジット

世界の資金需要者と個人投資家をつなぐ金融プラットフォームをつくるフィンテック企業として2013年1月に設立。
2014年6月から投資型クラウドファンディング・サービス「クラウドクレジット」を提供。当初はラテンアメリカのペルーに投資を行うファンドを提供し、2015年からはフィンランドやスペインをはじめとする欧州諸国の個人向けローンに投資を行う。
2016年はアフリカでの投融資を開始し、五大陸で投融資を行うプラットフォームになることを目指す。