ニコン株が決算発表延期の東芝より大幅下落! 気になる点は?

創業100年でものづくり力の再興を

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ニコン株、2017年のバレンタインデーに▲15%急落

ニコン(7731)の株価が2017年2月14日に▲15%急落して取引を終えました。

この日は東芝(6502)の決算発表が予定されていましたが、これが延期され市場のセンチメントが悪化していました。そんな中、当の東芝株は▲8%という大幅な下落となりました。しかし、その陰でもっと厳しい下落をした銘柄が散見されます。

その1つがニコンです。前日に2017年3月期Q3累計(4-12月期)決算を発表したばかりでしたが、これが市場に嫌気されたようです。

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ちなみに、Q3累積の実績は売上高が対前年同期比▲8%減、営業利益が同+67%増の422億円、親会社株主に帰属する四半期純利益(以下、純利益)は▲8億円の赤字でした(前年同期は187億円の黒字)。通期の配当予想は据え置かれました。これだけを見ると、そこまで悪いという印象は乏しいと思います。

しかし、通期見通しについては売上、利益ともに下方修正されたことは好感されませんでした。従来の通期会社計画に対して、新しい計画は売上高が▲6%の下方修正、営業利益が▲10%の下方修正、純利益は▲30億円赤字拡大の▲90億円の損失となりました。

FPD露光装置は販売が好調でしたが、デジタルカメラや産業機器が大きく減速したうえ、構造改革費用の上積みが必要になったことが背景にあります。

来期には構造改革による固定費削減効果が発現しますので、過剰な悲観論はどうかと思うのですが、一方で中期的な新しい柱が見えてきたのかと言われるとそうとは言えない印象です。次の飯のタネが見えないということを株式市場は心配していると言えるでしょう。

カメラファンに悲しい知らせ:DLシリーズ発売取りやめ

業績見通しの下方修正と並んで、カメラファンには悲しい知らせが届きました。発売を予定していたハイエンドコンパクトカメラ、DLシリーズの発売中止が発表されたからです。

このシリーズのカメラは、概観、性能面でなかなか魅力的でした。ニコンらしい質実剛健としたフォルムです。価格も10万円前後で筆者のような庶民には高い印象がありますが、顧客層はどちらかと言えばシニアがメインだと思いますので一定数量は売れたのではないでしょうか。しかし、経済性が成り立たないということで今回発売中止となってしまいました。

筆者が申し上げたいのは、実は単に期待の新しいカメラが出なかったというだけではないということです。会社発表に沿って考えてみても、このDLシリーズには何か”いわく”があったのではないかと思うのです。

DLシリーズの発表はなんと1年前

このDLシリーズ、ニコンにとっては重要な位置付けの商品だったはずです。

スマホの普及とスマホ搭載カメラの性能アップのために、コンパクトデジタルカメラの市場は急速に縮小していきました。その中でカメラメーカーは、コンパクトカメラとしては比較的大きな1インチサイズの撮像素子を使ったデジタルカメラを、プレミアムコンパクトとカテゴリー付けして商品を競ってきました。

特に、自社で撮像素子を調達できるソニー(6758)のRX100シリーズがロングセラーとして君臨し、それにキヤノン(7751)やパナソニック(6752)が対抗するという構図でした。その状況で、DLシリーズはニコンにとって大きな役割を期待されてきたのです。

DLシリーズは2016年2月23日に発表され、当初の発売予定は2016年6月とされていました。しかし、2016年4月20日に画像処理用のICに重大な不具合があることが判明したとして、発売時期未定に変更されたのでした。

それから約10カ月もたって、ようやく発売中止の発表になったのです。

消費者のニコンに対する期待はもっと高いのかもしれない

ここで言う”不具合”の本当のところはわかりませんが、いったん発売すると発表した戦略製品の基幹部品に不具合があるというのは、ニコンという高い信頼性をブランド価値としている企業(筆者の思い込みにすぎないかもしれませんが)にはあってはならないはずです。

デジタル製品の市場投入時期の遅れは致命傷になりかねません。100年企業であるニコンには、引き続き顧客の高い期待を超えることで、その期待に応える姿勢を貫いてくれることを希望します。

 

椎名 則夫

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椎名  則夫

早稲田大学政治経済学部を卒業後、東京銀行(現三菱東京UFJ銀行)入行。証券運用と法人融資に携わる。
シカゴ大学MBA取得。フィデリティ投信に入社、中小型株全般、医薬品・ヘルスケア、保険、通信、インターネットの企業調査に従事。その後モルガンスタンレー証券にて株・クレジットのリスク管理業務を行う。
日本証券アナリスト協会検定会員、CFA。