株価急落のシマノ、自転車部品の不振を釣具で補えず

高収益性に定評ある“自転車業界のインテル”は反転攻勢に出るか?

拡大が続く世界の自転車市場

地球環境への配慮が注目されてきた近年、世界中で大きく伸びている乗り物が自転車です。

自転車市場も、2008年秋に発生したリーマンショックの影響を受けて、いったんは落ち込みました。しかし、燃料価格の上昇や健康志向の高まり等に加え、地球環境への配慮が進んだ結果、現在は全世界で年間1億3,000万台以上(推定値)の自転車が生産されています。ちなみに、自動車の年間生産台数は約9,000万台程度です。

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伸長著しい高級スポーツタイプの自転車市場

世界の自転車市場が拡大する中、特に伸長著しいのがスポーツタイプとMTB(マウンテンバイク)です。スポーツタイプ自転車のイメージとしては、ツール・ド・フランス等の競技大会で見られるような高級タイプが中心になります。

スポーツタイプ市場は、欧州や中国で急速に拡大しています。通称“ママチャリ”が多い日本ではまだ少数派ですが、年々着実に存在感を高めています。

昨年、自民党の谷垣禎一幹事長(当時)が趣味のサイクリング中に事故を起こし、政界が大騒ぎとなりました。現在もまだリハビリ中のようで、政界復帰の目途が立っていない状況です。

谷垣氏は大の自転車好きとして有名ですが、その“愛車”が高級スポーツタイプ車です。事故の詳細は不明ですが、スポーツタイプ車ならば相当なスピードが出ていたと考えられ、軽症でないことも納得できます。

「自転車業界のインテル」と称されるシマノの圧倒的な存在感

こうした自転車市場の拡大、とりわけスポーツタイプ車の伸長を背景に注目されているのが、自転車部品メーカーのシマノ(7309)です。円安という追い風はあったものの、2015年12月期まで4期連続の最高益更新を達成しました。

シマノは、自転車を趣味とする方には説明不要のお馴染みの企業です。しかし、多くの人には馴染みがないかもしれません。

シマノの自転車部品(変速機、ブレーキ、ハブ等のコンポーネント)は、高価格スポーツタイプやMTB、中高級普及タイプ等で圧倒的な強みを持っており、このセグメントでの世界シェアは80%以上と推測されています。一般消費者だけでなく、多くのプロ競技選手にとってもシマノの部品は必要不可欠となっています。

シマノが「自転車業界のインテル」と称される由縁がここにあります。

2016年12月期は大幅な減収・減益を強いられる

さて、そのシマノですが、2月14日に発表された2016年12月期決算は、売上高が対前期比▲15%減、営業利益は同▲24%減と、大幅な減収・減益となりました。営業減益は5期ぶりとなります。

円高の影響を受けたことに加え、スポーツタイプ自転車の需要停滞に伴う在庫調整を余儀なくされたことが主要因です。釣具部門は利益を伸ばしましたが、自転車部品部門の落ち込みをカバーするには至りませんでした。

輸送機器セクターで群を抜く高い収益性は維持

シマノの特徴の1つが高い収益性です。前年(2015年12月期)の営業利益率22.4%は、輸送機器セクターでは群を抜いていました。

今回の営業利益率は19.9%となり、約▲2.5ポイント悪化しましたが、それでも極めて高い収益性を維持しています。高い品質とブランド力が定着しているため、熾烈な価格競争に巻き込まれていないことが背景にあるようです。

2017年12月期の会社予想は微増収、営業利益も微増益見通し

決算発表と同時に公表された2017年12月期の会社予想は、売上高は同+2%増、営業利益も同+2%増でした。前提となる為替レートは、110円/ドルと120円/ユーロ(前年実績は各々109円、120円)です。

また、会社予想の営業利益率はちょうど20.0%となりますが、この数字(営業利益率20%)にこだわる会社側のスタンスが読み取れます。

在庫調整が着実に解消され、2017年は反転攻勢に打って出るか?

決算発表の翌日、シマノの株価は急落となりました。一時は前日比▲7%超下落する場面が見られ、その後やや戻したものの、終値も同▲4.4%安で引けています。久々の大幅下落となりましたが、業績回復が鈍いことへの懸念が出た可能性があります。

しかし、2016年の大きなマイナス要因だったスポーツタイプ車の過剰在庫は、多くの市場で既に解消されているようです。2017年は思った以上に出荷が増加する可能性は十分あると考えられます。もちろん、為替相場の動きを注視する必要はありますが、反転体勢は整いつつあると見ていいでしょう。

「自転車業界のインテル」に対して、世界中の投資家の注目が集まるトレンドは、まだまだ続きそうな感じがあります。

シマノの過去2年間の株価推移

投信1編集部

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