世の中では高齢化社会への対応が大きな課題になっています。皆さんの身近なところでも、高齢の両親の介護、資産の管理、さらには相続にまつわる悩みを抱える方が少なくないのではないでしょうか? 今回は、次のようなQ&Aをもとに、「民事信託」のメリットについて紐解いていきたいと思います。

Q.私には、76才の父親がいます。父親は母に先立たれ、実家で一人暮らしをしています。最近、父親の物忘れが多くなり、病気がちになってきました。
父親は、実家の土地建物と貸家1軒を所有しています。父親が認知症になってしまった場合、不動産の管理は誰がすれば良いのでしょうか? 相続も心配です。事前にできる法的な対策があれば教えてください。

 

A.民事信託の活用をお勧めします。民事信託とは、簡単に言うと、財産を保有している人が、信頼できる家族・親族に自分の財産を託して、その財産を家族・親族のために管理処分してもらうという方法です。
家族・親族が認知症等で判断能力を失った場合、亡くなった場合に、スムーズに財産を管理・承継することができます。

そもそも民事信託は何をするもの?

民事信託には「委託者」「受託者」「受益者」という当事者が登場します。それぞれ定義は以下の通りです。

「委託者」(自分の財産を託す人)
受益者のために、信託行為により、信託目的、受託者がなすべき行為等を定めて、その有する財産を受託者に移転する者